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水の中に、ダンジョンがっ!?


河原では、まあ好き勝手とんでもない状態だ。

俺の元居た現代社会のバーベキューよりも酷い有り様だ。

鬼人達だけではなく、ゼムなどの酒好きは真昼間から飲み明かしているし。川に入って魚や蟹を取り放題。

そこんところの法整備がないから、無法地帯になってはいるが、W国側からすれば勝手に特産品をタダも当然で採って食われている状況だ。


鬼人たちはキチョウの登場に「お嬢!」と呼んで、取れたての蟹を解体し、魚を捌き、火をつけて米を焚いている……まあ法的に問題がないんだよな。問題が。

だから、悪いと俺も指摘できない訳で。


ごった返している状況下、クリストフとセドオアを探そうと俺は思った。

アイツらなら、まだまともに対話できるだろうと期待していたんだが……


「おい! 陰陽師!! こっちじゃ、こ奴はとと様に仕えている陰陽師のメイセンである!」


キチョウは俺とコイツを、同じ魔術師同士対面させたかったんだろう。

M国の(コッチ側でいう)宮廷魔術師にあたるとされる鬼人は、長身だが他の鬼人とは異なり細身で、用心の為、飲んでいないんだろう。

酒の臭いがしない。

メイセンと呼ばれた黒髪二枚目顔の鬼人は無言で会釈をする。


俺も自分から「ジョサイアと申します。職業は魔術師で冒険者としてギルドに所属しております」と挨拶した。

目を離せば、キチョウの姿はなく、俺はポツンと取り残された状況。


仕方なくメイセンと呼ばれた陰陽師兼魔術師に尋ねる。


「ええっと……彼らは如何でしょうか? 皆様にご迷惑おかけしていませんか」


少々、眉をひそめてメイセンは言う。


「いえ。良き友好関係を築けているかと」


雰囲気も悪くない、むしろ心地よいんだろうな。

誰も彼も浮かれている。

ようやく、遠目からクリストフとセドオアの姿を確認出来た。

進まれるがまま酒を飲んでいる。

ハインツの姿がない……今日は畑にいそうだな。奴の性格的に。


すると、メイセンから言われる。


「此方も、キチョウ様がご迷惑をかけ申し訳ない。ノナガ殿と国王殿会談が続き、キチョウ様もお暇になっておられるのです」


「嗚呼、そうでしたか。何故ギルドの方にお顔を出すか、疑問に思っておりましたが。そのような事情が」


そしたら、賑やかだった宴会の場から不穏な声が。


「お嬢様~? あれ、お嬢様がいらっしゃったような?」


「酔いが回り過ぎておるのか! お嬢はついさっきまでそこに……」


まーたか。

と思ったが、もしやと思いヘルコヴァーラの杖の花を飛ばし、スキャンで索敵。

案の定、川の中にキチョウの反応が。


一瞬、溺れているかと思ったが、それとは違う!


「何だと!? ()()!!?」


キチョウはBランクモンスターの『海魔』に囚われていた。

そう()()()()だ。

此処らはE王国との国境付近のBランクダンジョンはねえ。

他周囲にダンジョンがある報告も……まさか水の中、川にダンジョンが!?

だが、今は重要じゃない! 俺はある発想を思いつく。


『海魔』とは、ほぼ水――毒素の水で構成された竜か蛇に似た形状を作るモンスターだ。

弱点は毒素の水に入っている核。

だが、核は毒素の水の中を自在に移動する。極めつけは生物を毒素の水に捉え、人質にする戦法を取る。

これでは、ますます『海魔』に囚われた者――今回だとキチョウを取り戻すのが容易ではないと分かる筈。


だが、先行して飛ばしてあった『杖の花』から『ホーリー』を発動した。

核が蠢くよりも先に。

核がキチョウを盾にするよりも速く、光速で威力だけは自慢の『ホーリー』が的確に貫いた。

無論、『スキャン』などの補助あっての成功だが、これによりキチョウは解放された。


それでも、奴は毒素の水を飲みこんでしまったらしく咽こんでる。

俺は『シールド』でキチョウを運びながら、全員に向かって叫んだ。


「全員、水辺に近づくな!」


俺の次に気づいたのはメイセンだった。

俺が「海魔」と叫んだのを聞いてか、水辺に対し、式神を用いて光速に硬度あるシールドの結界を張る。

コイツも、俺と同じ光属性だったのか……


水辺より無数にモンスターが飛び交い、宴会ムードの鬼人たちも身構える始末。

とにかく――海魔に飲み込まれたキチョウだ。

俺は完成したあの『サイクル』付与の特効薬を使う事にした。

皆様、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

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