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神様って、ホントくそ


『お久しぶりです。まずは、こちらを』


『これは()()()()()()()()なのですが』


『貴方は杖の花に術式を多く書き込めないのを不満に思っていたようですが』


『発想を変えて術式の短縮化を図るべきでしょう』


『これは貴方が魔導書で処理している洗濯機とやらの短縮術式です』


『これだけなら杖の花一つに組み込めますし、洗濯程度の作業で魔導書一冊は必要なくなります。コストカット、と呼称されてましたか。これは』


『何故? 私が術式の考案をしたのか??』


『好きなんですよね。こういうの』


『はあ。これ以上しないで欲しい……ですか?』


『ああ、私と同じで術式の研究は貴方の趣味でしたね』


『ですが、私も単に趣味や好みでそちらの世界の術式を研究していた訳ではありません』


『知的生命体は自星を中心とした周辺天体及び銀河からエネルギーを採取・利用する段階へ進化しなければ、将来的に滅亡し、周辺銀河からの侵略に対抗できないのです』


『現時点で、遥か未来の話をされてもというような感覚をしてますね。ですが、件の術式が関係してきます』


『簡略して説明すると、貴方のいる世界においては――あらゆるエネルギーのコントロールに術式が通用します』


『しかしながら……肝心の魔法陣及び術式が後退してしまっている』


『このままでは、宇宙貿易の一歩も踏み出せません』


『まずは、短絡的な彼らにも通用する成果を出して下さい』


『貴方が趣味でやろうとしていた最新鋭の使い魔です。貴方の世界でたとえるなら人型ロボットクラスに到達させて下さい』


『それを公表すれば、流石に無視できる代物と扱われないでしょう』


『あと、二つほど』


『どうやら貴方は私が自決を要求したのに不満があるようですね。貴方の元の生命が人間ですから、そのような感覚なのでしょうか』


『構いませんよ。自決せずとも。そちらの世界での人間寿命も百年程度でしょう。百年程度なら何も問題ありません。私の感覚で百年など刹那に等しいですから』


『もう一つ。何故、私が世界の調査を行っているのか。についてですが』


『趣味です』





神って糞だな。

全部がクソじゃあないんだろうが、確かアマテラスも太陽神なのに引き籠って迷惑かけたりしたし、そんなもんなのかもな。


そんな具合で起床した俺は、部屋の中央で浮遊したままの杖に近寄る。

昨日より杖の花が増えているような――と感じた矢先、一つ二つと幾つか杖の花が花弁のように落ちる。

……こいつは。

成程、花瓶の花みてーにさして置いておけば、魔導書よりも見栄えがいい。

にしても『杖の花』はボロボロ落ちるな。


昨日、書庫から借りた杖関連の文献に目を通すと、どうやら『杖の花』と杖はリンクでき、遠隔操作も可能らしい。じゃあ、マッピングにも『杖の花』が使える。

むしろ、今まで『ファミリアー』で補っていたの全部『杖の花』で補えるじゃねーか。


だからと言って『ファミリアー』は用無しになった訳じゃない。


「最新鋭の『ファミリアー(使い魔)』……ねえ」


出来たらいいな程度の話じゃすまないんだよな。

糞神みてーに幾ら術式を簡略化したところで、やはり元となる記録媒体。魔導書なども重要だ。

……今はそれどころじゃねえ。

朝食と冒険者共の衣服、シーツとかの洗濯、何より連中を叩き起こす作業が待ってる。


とにかく、まずは朝食だ――と廊下をでた矢先。

廊下全体に泡立った液体洗剤みてーなのが溢れかえって、酷い惨状だった。

えぐえぐ泣きながら緑短髪の女一人、モップやら雑巾やらで片付けている。そいつの部屋らしい扉は完全に外れて、壁に立てかけられてた。


ええっと、この女……確か『薬剤師』のリーナだったか?


「どういう状況だ、リーナ」


と俺が話しかけると、砂漠でオアシスを発見したようなテンションでリーナが言う。


「ジョサイアさん! ごめんなさいっ、魔法でどうにかして貰えませんか!!」


「だから、まずどーいう状況なんだよ。これは」


「あ、あわあわ。ごめんなさい。昨日、ジョサイアさんが作ってるような洗剤?というのを自分でも作りたいなと思って薬品混ぜてたら爆発しちゃって。こんな泡だらけに」


なんで爆発!

爆発じゃなくって、化学反応……いや魔力反応で暴発って奴だろ。

まあ、この際はどうでもいい。こんなんじゃ、朝食どころじゃねえ……


「はぁ……ここは俺が片付ける。お前は台所で朝食の準備。食器出して、野菜洗い。米洗って蒸し器にセットまで頼んだ。あと、魚捌けるならやってくれ」


「わ、わかりました! ……それにしてもジョサイアさん。Cランクダンジョンって、やっぱり大変なんですか? 爆発で皆さん起きたのに、ジョサイアさんだけ起きなかったじゃないですか。そんなにお疲れに??」


「………まあな」


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