やはり攻撃!攻撃は全てを解決する!!
Eランクダンジョンでは初心者二人に簡易的な説明を要所要所でしていく。のほほん、まったりな異世界人共が全て一気に学習できる訳ではないので、基礎中の基礎だけしか伝えていない。
更に、これはランディーの要望であった魔法陣の野外勉強も兼ねていた。
ミスリル製のナイフに組み込んだのは『クラウド』。
雲を産み出し、天候を発生させる魔法。
だが、この魔法は中々奥が深い。
今回は『クラウド』に一定範囲の水の魔素を集めるように指示する術式を組み込む。
更に一定範囲に火の魔素を集める術式を組み込んだナイフも用意。
植物系モンスターが出現した範囲で、ランディーが火の魔素を集める術式を組んだナイフを投擲。地面や天井に刺さる。その範囲外に水の魔素を集める術式を組んだナイフを投擲。
そして、魔法を発動。
水の魔素が希薄になったせいで、植物系モンスターも心なしか弱った様子だ。
この範囲で火属性の剣士が『フレアボール』を発動すると。
「うお!? なんか威力が上がったような」
この範囲は今、水の魔素がなく、逆に火の魔素が多くなったので剣士が実感している通り、外的要因の補正による威力上昇になる訳だ。
「へー、マジかぁ」と感心するランディーの傍ら。
剣士も面白い具合にモンスターを倒しまくってるので、きっと『魔過痛』になるだろうから薬を渡しておこう。
俺独自の治癒知識に関して治療師の方は、えらく感服していた。
「薬草を服用して治癒の向上なんて発想……しかも、複雑な配合を簡易的にする方法を発見されているなんて素晴らしいです! 是非、今度ご教授お願い致します!!」
「あ、あー……夜に『勉強会』を開いているので、そちらに来てください」
自主的なのはいいが、個人個人相手するのは面倒なので、まとめて相手する勉強会をやるようになった俺。
この治療師以外にも現在参加者は十数名かいるが、大体は魔術師か治療師だな。
そんな具合でEランクダンジョンを攻略中。
俺のレベルが1上昇した。
ジョサイア
職業:魔術師 Lv.31
属性:光魔法 Lv.20
HP:1500/1500
MP:42000/42000
物理攻撃:200
魔法攻撃:562
防御:20
筋力:20
俊敏:70
防御・筋力に変動なし、今回はMPの上限は上がらなかったな。
爆的に上昇してるのはHP・俊敏・物理攻撃・魔法攻撃。
この三つが重点的に上がっているのを見て、やっぱりと俺は確信を得る。
光属性の魔術師は回避アタッカー型だ。
攻撃を回避し、攻撃をする。物理攻撃が自棄に上がっているのも、魔法攻撃が通用しないモンスター相手の保険だろう。
(いや、面倒だな……)
傾向が判明したとはいえ、俺は効率的なモンスターの討伐とダンジョンの攻略を追求していた。
長期戦上等タイプじゃあない。
何より、物理攻撃できる杖がな……
こればっかりは仕方ないのか……ステータスがどうなるかはランダム仕様だから。
無事、Eランクダンジョンの攻略を終了。
パーティは解散し、俺は午後のCランクダンジョンに向けた昼食を取る事に。
ランディーが「一緒に食わね?」と誘ってくるが貴族連中が出入りするレストランに平民の恰好で入れるほど度胸はない。あとテーブルマナーの知識が俺にはない。なんで丁重に断った。
「おまたせしました。『ピルヌサークル』です」
この間とは別の小料理店で注文したのは、元居た世界でいう『マルゲリータ』的な料理だ。
ピザより小さめの生地に『ピルヌ』っていうトマト的な赤野菜のソースとチーズ、香辛料をまぶして焼いた感じの奴だ。
ふと、外が騒がしいのに気づく俺。
どうやら路上で武器販売があって、貴族から平民まで寄ってたかってる。
あーっと……この国は路上販売禁止じゃないのか。
どうやら、移動式の露店で色んな国を渡り歩いてるタイプの奴みたいだ。
「さぁさぁ! お貴族様から冒険者の方も見てってくだせぇ!! 安いものから、滅多にない希少素材で作った武器まで様々でっせ!」




