完璧な国っすね~~~~、ソロ活動不可という点に目をつぶればよぉ~~~~~
俺達が午前中にギルドへ帰還し、受付嬢が驚いていたが、お構いなくクリストフが報告した。
いつもの可動式シールドによる荷台に、『しびれフォックス』の討伐部位や他にも狩ったモンスターの討伐部位や爪や毛皮など、素材などに加工できる素材を乗せてきた。
鑑定と換金をして貰い、クエスト完了の手続きをするクリストフ。
それから、俺はクリストフ達には――付き合わない。
ハインツがどこかの畑でスキル上げに勤しんでいる筈だと教えて、俺はこれ以上、首を突っ込まなかった。
むしろ、当然だろう。
俺はクリストフ達とは初対面、ハインツとは対面すらしてない。縁もない無関係な人間。
彼らの関係は、彼らだけで解決するべきで、俺は場違いだ。
「今回は色々教えてくれて助かった」と、クリストフから一人分のクエスト報酬と換金の分け前を貰って、円満にパーティ解散となる。
あまりにも冒険者の基礎を知らないクリストフ達。
奴ら、モンスターの死骸処理をするべきだとも知識になかった位だ。
モンスターの死骸は放置しておくと、モンスター特有の毒素を発生させて、動植物に悪影響を及ぼす要因になりうる。
新聞を読んでいれば、義務教育を受けている貴族なら、多少は知っている筈なのにな…
俺は、クリストフが一つ報告し忘れている事を、受付嬢に伝える。
「すみません。討伐部位を数えて貰えれば分かると思いますが、報告された『しびれフォックス』の数を上回る七十三体を発見、討伐しました。個人的な見解ですが、付近にある風系統のダンジョンが活性化する予兆かもしれません」
「あっ。ご丁寧に、ありがとうございます! 七十、ですか。確かに多過ぎますね。のちほど、ギルド職員が調査に向かいます」
あったことは、ちゃんと報告する。
ビックリするが、これが出来ない奴が異世界で腐るほどいる。
その後。
経験値稼ぎの清掃活動と修復活動を終え、俺は遅めの昼食をとった。
庶民に親しみありそうな年季入った小料理店で『バグム・ジュ』を注文する。
俺の元居た世界でたとえるなら『チーズ入りオニオンスープリゾット』。
米っぽい穀物『バグム』はタイ米みたいに細長く、チーズは砂糖が入ってるかの如く甘く、オニオンスープはしょっぱい。
久々に昼食を街で優雅に食べた気がする。前世以来だ。
サラリーマン時代は、気分転換に色んな店に足を運んで食べていた。
仕事で忙しい中、食事くらいしか楽しみがなかったからな。
本来は、こういう食事をA帝国で実現させたかったんだが……
ソロ活動ができないのが最大の糞要素なW国。
しかし、俺は一つ見落としていた。
それはW国内で『魔法陣』に関し、とやかく言われない点である。
再三述べているが『魔法陣崩し』という技術が発見され、時代は『陣なし』が主流となっている。
だから、俺が『魔法陣』を使っていると。
古い技法だ。
魔法陣を使うなど危機感がない。
陣なしで魔法が使えないなら、魔術師を名乗る資格がない。
などと散々ネチネチ言われ続けるたびに、暴力的なまでな結果を残して相手を黙らせたが。
清掃活動の際は「人魚の魔法陣を使うなんて」と変な意味で驚かれた。
ホーリーボールを発動させる際に用いた球体状の魔法陣。
アレが人魚の魔法陣だ。水中で魔法を留める為に、ああいう形になった。
今時、魔法陣の種類が分かるのは珍しい。
人々は「ここにはエルフの方がいらっしゃるから」「珍しいかもしれないけど、この国では魔法陣の授業が残っている」「魔法陣の方がちゃんと魔法が発動するから」などなど言う。
本当の今更だが、ギルドの職員も、庶民の冒険者たちも、クリストフ達ですら「魔法陣を使うのは珍しい」などとは言ってこなかった。
エルフと共存関係にあるから魔法陣差別になりうる発言を控えているのか?
にしては、違和感あるが……
ただ、俺にとっては好環境だ。
ストレスを感じないどころか、魔法陣を使って評価を下げられる事がない。
そう考えると最高な国なんだけどな~~~~、ソロ活動できない点は除いてよぉ~~~~~
ここまで読んでくださった方、ブクマ登録、評価をして下さった方、誤字報告をして下さった方、ありがとうございました。
細々と淡々と続けていくので応援よろしくお願いします。
ざまあ要素は、じわじわとやって来るので気長にお待ちください。