???
『一つお聞きしたいのですが、何故貴方はガルダという彼に知識を与えたのでしょうか?』
久々にクソ神から話しかけられたかと思えば、今回は初めて奴と対話する形になった。
相変わらず向こうの姿は不鮮明で、中性的な声が響く。
しかし、久方ぶりの質問で妙な事を尋ねて来た。
何故?
変に引かれたとかどういう感覚の類か?
俺はよく分からないので「アイツは話を聞く奴だったから教えただけだ」と答えた。
A帝国の連中は大概がロクでもない連中で、まあ、なんというか。
ろくでなしの中でも、まともに近い部類というか。
思えば真面目な奴だったな、と。
真面目で職務に忠実だったが人付き合いは……悪い方か?
話は聞いているが、ただ黙って耳を傾けているだけで相槌をしないもんだから、話を聞いてないと勘違いされる妙な奴だった。
それを聞いたアイツは『成程、そうですか』と意味深に返事をする。
『どうでもいい話になりますが、実は彼もまた、貴方と同様に落とし子の一種です。それも私の兄の』
これには、ちょっと驚いた。
ギョッとする気味悪さも覚える。
クソ神も不思議そうに『自棄に他の私の落とし子とも縁があるんですよ』とぼやいている。
兄弟同士で縁があるってか……? 俺としちゃ本当に意識していなかっただけに、嫌な気分だ。
『恐らくまた敵同士として再会するでしょうが、それまで万全の体勢を整えて下さい』
なんて告げられた。
しかし、案外本当なのかも分からん。
ランディーがE王国侵入を目論んでいるのは事実。
そして、次の侵入は『ディザイア』の遊び半分では済まされない可能性が高い。
何故なら――E王国には世紀の問題児たる擬人化師が残した災害指定武器『ユグドラシル』が封印されているからだ。
気軽に封印を解かれれば『ユグドラシル』の植害により大地が枯れ果て、E王国どころか周辺国が砂漠化しかねないだろう。
……流石にしないとは思いたいが。
☆
「ワシはこれから『ムゲン』を探しに行きたい」
災害指定武器スリンゲルラントことルラが、ようやく落ち着いた様子でランディーに告げる。
ランディーは怪訝そうに「ムゲン?」と聞き返した。
「君と同じ擬人化された仲間?」
「ああ。主が最後に擬人化した武器、でもある」
過去を思い出したのか、暗い表情でルラは言う。
ランディーはちょっと首を傾げた。
「『アルティメットウェポン』の事? 究極最強の武器にして『暴君』の称号を持つ。そんでもって擬人化師が産み出した中で唯一の男だった」
「そうじゃ……奴が現れた事でワシらも、主もギクシャクしてしまって。思えば、ムゲンに酷い当たりをしてしまった。謝りたいのじゃ」
「ん~。用はハーレム集団に突然無関係な野郎が湧いて出てきちまったようなもんだから、しゃーないよなぁ」
でも、とランディーが言う。
「君たちが封印されてる場所って大概記録されてるけど、『アルティメットウェポン』……ムゲン君に関しては君たちが倒したとか、壊したとか言われているぜ?」
「違う! 奴は自ら消えたのじゃ。主の命令を無視してな」
「え? でもさ。擬人化した君たちは、主に絶対服従状態でしょ? スキルの効果で」
「それも噂に過ぎん。ワシらは自ら主に従ってただけ。故に主も、スキルの勘違いをしてしまったのじゃ。それで――主はムゲンに殺された」
伝説の擬人化師の死。
彼の逸話も相まって女性関係のもつれではないかと憶測されていたが、真相はあっけなくも残念ながら当然な結末。
暗い顔色のルラに、ランディーは再度確認する。
「えーと、本気で探す?」
「何度も言わせるでない。あの頃にはもうワシらの関係性も何もかも崩壊しておったのじゃ。ムゲンは全て終わらせた。奴を恨む理由はない。……貴様こそワシの姉妹たちの封印を解いてくれるのだろうな」
「……ま。そこは安心しなよ。あと、一人自力で解いてる子がいるらしいぜ。(ガルダのおっさんが下見して判明したんだけど」
「は!?」
軽いランディーの発言に驚愕しながらも、ルラは「アイギスの奴か?」と心当たりはあった。
ただ、軽く受け流しつつ、ランディーは「こっから色々大変だな~」と呟いた。
☆
一方、その頃。
ジョサイアが元居た惑星『地球』にて悲惨な事故が起きていた。
修学旅行中の生徒教員、バス搭乗員が乗っていた車両に落石が降りかかり『35』名が死亡。
ちょうど、まとめて死んだ35の魂を確保した神が言う。
「惑星の調査は彼に任せ、次の実験に取り掛かりましょう」
これにて『自称:副業が軒並みクビになって本業の冒険者もクビになって絶体絶命の俺だが『ホーリー』の威力がクソデカなので問題ありません~いいから俺に経験値を稼がせろ~』略して『クソデカホーリー』は完結です。
ちょうどよく100話で締めたかったのですが、長すぎたので分割となりました。
申し訳ございません。
いやどう見ても途中打ち切りでは?伏線とか色々やり残したことあるのでは?
と突っ込みはあるでしょうが、一応、ジョサイアが主人公という視点だとここで完結になります。
ジョサイアが主人公で残された伏線などは回収できないので、別主人公になります。
所謂、続編みたいになりますが、この作品が分からなくても読めるような仕様にして、再度展開していくつもりです。
一先ず、なろう小説にて一作完結できました。
完結までに色々ありましたが、皆様の応援あって頑張って来れました。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
まだ続いている他作品か、次回作でお会いしましょう。