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使えない奴は追放される。当たり前だよなぁ?


(まずい…このままだと……)


俺は焦っていた。

このままではギルドから追放されると――






俺は俗に言う『転生者』という奴だ。

日本で()()()サラリーマンをやっていた三十代男性。

出勤途中、交通事故に巻き込まれて死亡。


意識が覚醒した時、俺は『ジョサイア』という少年に生まれ変わっており、そのジョサイアがいる世界は俺のいた元居た世界とは異なる――魔法やモンスターが実在する異世界だった訳だ。

成程、これが巷で流行りの異世界転生とやらか。


山中にポツンとある田舎村で生まれた俺は、両親に対し、勉学に励み肉体を鍛え、冒険者として出世することを誓った。

それを聞いた両親の顔といったら腑抜けなもので……

「好きに生きたらいいのよ」「無理をするな」「冒険者は危険だから」「村に残ってもいい」

とかなんとか。

甘々のゆとり世代みたいな感性を持っていた。

村の連中も総じて平和ボケ思考で、俺を変わり者呼ばわりする有り様。

こんな村に居続けたら、それこそアホになる。


十五歳になると、己に秘められた魔法と職業(ジョブ)の能力が解放された。

俺の職業は『魔術師』。

しかし、問題は魔法の属性――俺は『光』だった。


何故か、光と闇は珍しい風潮があるが、それはこの異世界も同じようで。

加えて、男で『光』なのは相当珍しい。

基本的に『光』は女が多く、『闇』は男が多い。


……もう本当に、ある意味、地獄だった。

光魔法専門の学校で男は俺一人だけ。生徒も教職員もほぼ女。

ハーレムだと浮かれる馬鹿はアニメと漫画の見過ぎた。女が群れになっていると糞だぞ。


一番の問題は教育環境ではなく俺の魔法属性が光であること。

光属性はイメージ通り、回復・援護専門。

文献上、攻撃魔法と記載されてる『ホーリー』の取得は光魔法レベル10。

このレベル10に到達するまでに、五十年かかって出来るか怪しい程なんだとか。


俺はある仮説にたどり着いた。

魔法を使えば使うほど経験値が入り、レベルが上がる。

無駄に魔法を使うのではなく、たとえば回復魔法『ヒール』で正しく治癒に成功すれば経験値になる。


そして、ファンタジーによくある『魔法陣』。これを活用すれば経験値獲得は加速した。


魔法陣はカッコイイ模様ではなく『計算式』であり『プログラミング』だ。

体内で処理される魔力処理を文字化、魔法陣を展開、魔力を注げばオートにやってくれる。


難しいとされる魔法の組み合わせも、空気中にある魔素(魔力の粒子)を自身の魔力する面倒な処理も、自身の魔力波長に合わせた術式を構築し魔法の効力上昇も簡単だ。


こんな便利な魔法陣だが、問題点は魔法陣の術式を丸暗記し、正しく魔法陣を展開させなければならない事だろう。

他にも、二百年前に『魔法陣崩し』という技術が発見され、陣なしが主流の時代へ変化していったのだ。


まあ……俺はプログラミングは得意だったから魔法陣の方が楽だ。

感覚とか、そういう方が分かりにくい。

無論、『魔法陣崩し』の対策もある。パソコンのウイルス対策と同じだ。むしろ、こういうのを疎かにする方が正気を疑うな……


話は長くなったが。

魔法陣による魔法のコストパフォーマンスを収得した俺は、糞学校から飛び級卒業。

上京ならぬ世界の中心に位置する『A帝国』へ進出した。





「クソッ! 何故なんだ!!」


帝国に進出して二年……俺の光魔法のレベルは9でストップしていた。

9に到達するまで時間はかからなかったが、大凡一年、レベルは上がる気配がない。

しかも、だ。

ギルドの奥から職員が話しているのを耳で挟んだ。


「ジョサイアの奴、まだ『ホーリー』を取得できてねぇんだと」


「まともなクエスト受けられない奴を居座らせ続けるのはな」


ああ、クソが! 俺が一番わかってるんだよ!!

未だ、単独のダンジョン攻略ができない!! 雑用とか他パーティの臨時サポートで同行するだけ!!!

こんな使えない奴、クビにしない方がおかしいってな!

追放するだろ! 追放!!


早く、一刻も早く『ホーリー』を収得して、物にしなければ……

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