悪役令嬢を相手に頭脳の戦いをするつもりでした
悪役令嬢に婚約破棄、ざまぁとまあいつものあれです。
お暇でしたら気楽に頭を空っぽにして心を清く保ってからどうぞ。
「エルキース! キミとの婚約を破棄する!」
タイコーン王国が首都にそびえる王城で行われていたとあるパーティ。その場で、突然第二王子が自身の婚約者を指さして叫んだ。
「……はい?」
「聞こえなかったか? 婚約を破棄する、といったんだ。この私、ヘンリー・ロ・タイコーンとバラジョフ公爵令嬢、エルキース・ビ・バラジョフの婚約を、この場で白紙にするのだ!」
多くの高位貴族が集まるパーティで、突然のあまりにも無作法な宣言。
普通の貴族の常識から考えてあり得ない、どんな理由であれ自らの権威を損ねる結果にしかならない暴言。貴族の婚姻とはいくら王族であっても個人の一言で覆せるものでは無く、普通だったら現段階で既にバラジョフ公爵家と王家との間に深い亀裂が入ることは間違いない大問題だ。
「婚約破棄……それはもしや、そちらのノルマ様のためでしょうか?」
エルキースは冷めた目で、婚約者であるはずの王子の後ろでいかにも庇護欲をかき立てられるような、同性目線でいうとあざとさ満載の表情をしている令嬢を見る。
彼女はレチール・ズ・ノルマ。今は男爵家の令嬢として貴族に名を連ねているが、元は父親のノルマ男爵が平民に産ませた子であり、つい最近庶民暮らししていたところを自分の娘として迎え入れた少女である。
美人というより可愛い、と呼ばれる愛くるしい顔立ちと、小柄な身体。守ってあげたいという欲をこれでもかと刺激する容姿をしているご令嬢であった。
反面、貴族社会になれてない分礼節に著しく欠けており――というより、平民でもそんなことはしないとしか言えない娼婦のような真似をして高位貴族の子息達を片っ端から誘惑し、見事籠絡していると、貴族的に見てもある意味評判の少女なのだ。
その手腕は見事なもので、本来この場に来ることすらできない立場でありながら、熟練のテクニックを駆使して今の立場を築いた女傑であると評価してもいいほどの手際である。ある意味得がたい才能と言えるだろう。
事実、貴族達が集う学園において、ヘンリー王子と頻繁に逢い引きし、他の子息達とも同じように過激なスキンシップを繰り返しているのだ。
そう、今もレチールの周りを固めるように並んでいる子息達を相手に。
「そのとおり。貴女の存在は、もはやレチールを害することにしかならない。ここらで引いていただけませんか?」
レチール男爵令嬢が落とした男とされる内の一人、宰相の息子であるエスナ・ド・リョロウが一歩前に出て来た。自分の婚約者を無視して。
「それでは道理が通りませんわね。最低限、バラジョフの娘として、私が婚約者に相応しくない……という証明をしていただかねばはいそうですかと頷くことはできませんわ」
「ほう。ならば、レチールに対して数々の嫌がらせを行った……その罪で、というのはどうだ?」
更に出てきたのは、騎士団長の息子であるサイク・デ・ダンフ。
なんでも、エルキースがレチールに……一男爵令嬢でしかない少女に嫌がらせを繰り返しており、それが婚約破棄の理由になるというのだ。
証拠も何も無いのだから、頷くことなど当然できない。エルキースがレチールを疎んでいたのは確かだが、この程度では足りないと、もっともっと協力して頑張ってみろとむしろ嘲笑うのだった。
「ほ、本当です! わ、わたしは、貴女に嫌がらせを……」
「だから、証拠。というか、たかが男爵令嬢が殿下と……それにリョロウ様にダンフ様との会話に入ってくる資格があると思っているの?」
容赦なし。これ以上無いくらいの敵意をぶつけるエルキース。
涙を浮かべて怯えるレチールと、ド迫力で君臨するエルキース。どうみても被害者レチール、加害者エルキースの構造であった。主にエルキースの威圧のせいで。現実には多くの令嬢から婚約者寝取った極悪女なのに。
「わ、私は、階段から突き落とされたんです! 貴女に!」
「だから?」
「え……」
「突き落とした証拠は? 話が進まないわね」
健気に訴える男爵令嬢と、威圧する公爵令嬢。事情を知らない人間が見れば100%エルキースこそが悪だと断言する構図である。
「だいたい……そんなに殿方を侍らせて喜んでいるような、恥も何もないある意味貴族に相応しい色狂いが何を言ったところで、誰に信じて貰えると?」
「い、いろぐ……。え、えっと……み、皆は信じてくれています!」
あんまりな言葉に一瞬素に帰りそうになったレチールだが、そこは演技派。演技力と身体だけでここまで成り上がってきた女舐めるんじゃ無いと、すぐさま気弱な令嬢の仮面を被る。
証拠も何もないのに、公爵令嬢を殺人未遂で訴える男爵令嬢。普通に考えたら処刑ものだが、ここだけ見れば自分を囲む男達の助力でか弱い少女は威圧する令嬢に立ち向かっていた……と見えることだろう。
実際にやっていることは貴族の婚約者を横取りして逆ハーレム作っている命知らずであっても、弱さを前面に押し出すことで絶対的強者である公爵令嬢に元庶民の娘は張り合っているのだ。中々の度胸である。
そのまま押し問答のグダグダ展開になるかと周囲の貴族達が冷静に戻ろうとしたとき――最初の婚約破棄宣言から沈黙を守っていたヘンリー王子が動いた。
「ちょっと待ってくれ」
「ヘンリー様……!」
声を上げた王子に、レチールが歓喜の声を上げた。
本来、彼女の予定では王子の婚約破棄宣言の後、自分を新たな婚約者にすると宣言されるはずだったのだ。それが、ヘンリー王子が中途半端なところで言葉を切ってしまったせいで自分の地位が中途半端なものになってしまったため言い争いに勝てないのだと思っていた。
というか、自分の罪を否定し惨めに縋るように弁解するだけだと思っていた公爵令嬢が、告発された罪を否定も肯定もせずに煽りに走るとか想定外である。
だが、そんなレチールの希望はあっさりと砕かれるのであった。
「私は別に、婚約破棄の理由が彼女だとは言っていないぞ?」
「え」
「正直、キミはもういいんだよね」
レチールは「何言ってんのこの人?」と本気で困惑の目を向けた。
今まで散々甘い言葉を囁き、時には淑女として正直どうなんだろうと自分でも思うようなスキンシップを駆使して籠絡したのだ。
事実、ヘンリー王子からも「テメェが王子じゃなかったら目玉抉ってるぞコラ」と言いたくなるようなスキンシップ……あるいはセクハラを散々笑顔で受け入れてきたのである。
それなのに、今更何故そんなことを言うのかと考えていた。
「へ、ヘンリー様……? 何を、仰っているんですか?」
「一年前まではよかったんだけどさぁ……ほら、最近育ってきたじゃん?」
「はい?」
レチールは恐怖した。優雅で品行方正であるはずの王子の言葉とはいろんな意味でとても思えない発言に。
「私はね、レチール……そして、エルキース……ババァには興味ないんだよぉぉぉぉぉっ!!」
………………レチールの思考は停止した。
「昔のエルキースはもう天使だったよ! ちっちゃい身体に天使の笑顔、未成熟な肉体から醸し出される抗いがたいフェロモンに、まな板のようなお胸の魔性の魅力! もう文句の付けようがなかったよ! でもさぁ、もう育っちゃったじゃん。なにその駄肉だらけの胸。もう見たくも無いんだよ」
「……今遠回しに胸が小さいって三回言わなかった? というか、同じ歳ですよね? 殿下とエルキース様」
「はぁ……昔はよかった。同い年だからラブリーな天使といくらボディタッチしても子供の戯れだったのに、今じゃどいつもこいつも胸に贅肉付けて迫ってくるんだよ? もうホラーだよ?」
なお、今のヘンリーとエルキースは共に18歳。もう身体だけなら大人と言える年齢であり、エルキースは高身長でスリム、しかし巨乳というある種の理想的なプロポーションを有している。
しかし、それはヘンリーの理想では無かったのだ。
「そんな中でさぁ、とても同世代とは思えない童顔、寸胴、貧乳という最高の魅力を持ったレチールが現れたんだよ」
「あ゛?」
レチールから女の子が出しちゃ行けない音が出た。
レチールは、一般的に幼児体型と呼ばれるタイプである。貧しい暮らしをしていたこともあり栄養が足りていなく、成長が遅かったのだ。しかし最近貴族の一員となったことで食生活が改善され、徐々に大人の女性へと成長している最中なのである。
自分が大人の色気というものに縁が無いタイプであることは自覚しているので、誘惑の手段も子供が庇護欲を誘うようなものを選んでいるのは確か。だが、だからといってガキっぽくて幼児体型で胸が小さいと言われて怒らないわけではない。
「いやもう天命だと思ったね。神は私を見捨ててはいかなかったと!」
「神様にえん罪で訴えられろ!」
「いや、有罪だ。だってさ……いくら理想の女の子を見つけても、結局育つんだもん……」
ヘンリーは絶望の表情を浮かべた。レチールはヘンリーから一歩距離を取った。
「育っちゃダメでしょ。いくら元が良くても育ったらさぁ」
「それは自然の摂理!」
「あーもうやだ。全部ヤル気無くした。もう知らない。この騒動で責任取って王族止めて用務員にでもなる。大体さ、10歳以上は基本ババァなんだよ。奇跡的にそこを超えてもさぁ、結局20歳までにはババァになるんだよもう」
ふてくされるヘンリー。婚約破棄も、要するにエルキースもレチールも『自分の守備範囲から外れたからもう女とかいらね』状態になったと言うことだったのだ。
……忘れているかも知れないが、ここは高位の貴族が集まる城のパーティ会場である。そんな場所でこんなことを赤裸々に暴露するとか、この人マジで何考えているんだと頭がフラットになったレチールは思った。
いや、こんなところで婚約破棄宣言する段階でおかしいのだが、自分が勝者となるシナリオしか見えていなかったレチールはそこに気がついていなかったのだ。しかし、あんまりな発言に我に返り、この人これからどうなるんだろうと他人事のように思い始めたのである。用務員になるとか戯れ言言ってるし。
「ヘンリー! お前は何を言っているんだ!」
「……兄上」
そんな第二王子の醜態を見かねたのか、第一王子ヘンザー・マ・タイコーンが怒りを露わにして会場に乱入してきた。
その姿に、レチールは希望を得る。
(ヘンザー王子……! 王位継承権第一位の、次期国王になるお方。ヘンリーがこんなんじゃもう王とか無理だし、ここはヘンザー王子に乗り換えを――)
「ババァとはなんだババァとは! お前は我らが麗しの母上(御年42歳)を侮辱する気か!」
「そこかよ!」
レチールは素でツッコミを入れ、更に一歩下がった。なんか悪い予感がしたのである。
「ああ……今日もお美しき母上……母上こそが天上の美。この世で最も美しき宝石。いずれ不遜にも夫を名乗るあの男を殺して私が母上の夫になるのは確定事項だが……今はソレよりも、母上を侮辱した貴様を殴るのが先だ!」
「何言っているんだ! 母上は二児の母! 正真正銘のババァ! 家族としての情はあっても恋愛対象にはならんわ!」
「10歳以下の幼女の方がならん!」
「どっちもなんないわよ! というか、あんたらの母親の夫ってつまり国王!」
言い争う麗しき王子達。何故だろう、レチールは知らないうちに王子達からも今のやりとりを平然と見守っている取り巻きの男達からも随分と離れていた。
「……そこまでだ」
「ム、父上」
「なんだ恋敵」
「父親をそんな風に呼ぶな無礼者……ったく、お前達は何もわかってはおらん」
醜態という言葉では収まらない争いを繰り広げる変態と変態を止めるため、ついに国の最高権力者、国王が現れた。
もうこのカオスを何とかしてくれとレチールが自分の野望とか全部忘れて願ったが、しかし悪の祈りは天には届かないのである。
「女性とは、皆魅力的で美しいものなのだよ……40歳以上になれば」
「もうやだこの国」
レチールは更に下がった。いつの間にか、罪人として全ての汚名を被り消えてもらう予定だったエルキースの側まで来ていた。
「40歳以上? ハッ! そんなババァになんの価値がある! 10歳以下こそが至高! この世で最高の栄誉とは初等部の用務員であるのは世界の真実!」
「一部だけ賛成だ。40歳を越してもなお輝く母上のみが至高。それ以外など等しくゴミだ。世の栄光は母上の中にこそある!」
「喝! おなごの魅力とは、成熟し熟成されたときにこそ完成するのだ。若さなどという期間限定の力に頼ること無く、人としての魅力で勝負するその姿にこそ欲情するべきなのだ!」
「いま欲情って言った? この人公共の場で欲情って言った? というか王子が用務員に憧れてんじゃないわよ!」
レチールは泣きたかった。自分は王族の一員となり華やかな生涯を送るための最後の一手を打ちに来たはずだったのだ。断じて変態親子の争いを見に来たわけでは無いのだ。
「全く……いい加減にしてくれませんかね? 陛下も王子方も、今はそんなことを言っている場合ではありません。レチールが可哀想だとは思わないんですか?」
「ム、宰相の息子か」
(エスナ様! そうよ、王子が想定外のド変態でも、まだ私には活路が――)
「いいですか? 女性の魅力とは……自分を賢く強いと思っているところに無様な敗北と屈辱を与え、完膚なきまでに屈服した目にこそ宿るのです!」
レチールは走った。後ろに向って。
「自分の虚言がばれていないと思い込み、私を籠絡できていると思い込み、上位に立っていると思い込んでいるあのレチールの勝ち誇った顔に首輪をつけて犬小屋で飼ってやればどんな興奮が待っているのか……ああ、想像するだけで!」
レチールは倒れた。脚が震えて動かなくなった。
「貴様、レチールに対してそんなことを思っていたのか」
「フン、騎士団の脳筋に私の高尚な趣味はわかるまい」
(ああ、サイク様、あなたは、あなただけは……!)
「レチールの魅力は、そんなんじゃない。レチールには……あの裏で全てを操っているという顔のまま惨めに踏んで頂いてこそ輝くんだ。女王様なんだ!」
「わかってたよド畜生! つーか、アンタら全員私の企み知ってたわけ!?」
レチールは叫んだ。もう叫ばないと精神が保てなかった。
その後も、レチールの取り巻きだったはずの男達は次々と声を上げていった。
「いや、あの未熟な身体にこそ母性があるんだ。赤ちゃん服着用の上でヨシヨシしてもらえればどれほどの至福か……!」
「違う! 裏で支配する彼女だからこそ洗脳術の出番なんだよ! 支配しているつもりが支配されている……その滑稽さこそ美!」
「酷い人達ですね。大勢の男に声をかけておきながらも釣った魚に餌はやらない精神の彼女ですよ? ここはやはりいくら愛を囁いてもとっとと本命に行ってしまう惨めさを噛みしめることこそ肝要……!」
「この倒錯者共が! 彼女は所詮は男爵令嬢。ここはやはり王道に立ち返り、権力の差で強引に迫り望まぬあれこれを……!」
「んなことよりやっぱバニーじゃね? ちっちゃいからこそバニーじゃね?」
「否! それならシスター服だ。清廉なシスター服と腹黒女とかギャップ萌えじゃね?」
レチールは晩ご飯のことを考えた。これはきっと夢なんだ。
「はぁ……」
そんな変態と変態と変態とおまけに変態が交錯するパーティ会場だったはずの何かに、一つの令嬢のため息が響いた。
変態達のせいでいつの間にか蚊帳の外になっていた、公爵令嬢エルキースその人である。
(ああ、エルキース様……そうよね、この人だって突然こんなことになって――)
「いいわぁ……イケメン達が熱く血を流す光景。私の夢舞台に醜い豚が紛れ込んだときは処分しようとしたけど、やっぱイケメンとイケメンの間に不純物とかいらないわよねぇ……」
「アンタもか。アンタもなのか。私を突き落としたの、マジでアンタだったんかい……!」
エルキースは、恋愛が好きだ。男女のそれではなく、男と男のそれが。
エルキースの理想の世界に、女はいらない。イケメンとイケメンがいればそれでいい……という方面の変態だったのだ。本当なら自分もいらないのだが、それをするとイケメン同士の熱い語り合いが見られなくなるので仕方がなく遠巻きに見ていることにしているのだ。そこにいらないものが紛れ込めば、速攻で排除するためにも。
「私は、私は……こんな変態共なんて、望んでないもぉぉぉっん!」
レチールは最後の力を振り絞り、会場から逃げ出した。止める者などいない。
紳士も淑女も、皆中央の語り合いに参加してしまっているからだ。そこにはただ変態と変態がいるのみである……。
その後、レチールは姿を消し、自主的に修道院に入った。
これ以上、変態を視界に入れたくないと、女の園で生涯を過ごす決意を固めたのである。残っていると人としての尊厳が失われそうだったし……。
また、他の王子を始めとする貴族達は特に問題なく日常へと戻って行った。問題しか無い発言の連発だったが、それは彼らの日常だったのである。
よく『貴族は腐敗している』などというものが多いが、何故そう言われるのか。それは、力を持つものはいずれその力に呑まれるからである。
しかしタイコーン王国の貴族達は、いたずらに力なき平民を傷つけるようなことは望まなかった。だからといって力を清く正しく使うだけで満足できるわけもなく、中途半端な自制心は歪みを生み出した。
そう、異常性癖である。貴族達の間にみるみる広まっていったそれは、やがて暴君のそれとは別の意味で実行に移してはならない欲望となり、しかし実行に移さない程度には良識があるタイコーン貴族だったので、悶々と溜め込んでいったのである。
その結果生まれたのが……性癖暴露大会。思う存分魂のシャウトを行い、それにてスッキリしようという試みだ。
それだけでも大分気持ちいいのだが、やはり実行に移してみたいという欲望は消せない。それでも力なき者にそれを向けるのは貴族としての最後の一線であると更に悶々としてたとき――一人の貴族がこう言ったのだ。
「平民に手を出すのはダメだけど、貴族相手ならいいんじゃね?」
と。
その瞬間から、貴族達は貴族としての責務を果たしつつ自らの中のソウルをぶつける相手を探すようになった。
お互いにお互いの異常性を熟知しているので、早々隙を見せはしない。しかし『貴族相手なら何をやってもいい』というちょっと何言っているのかわからない理念を元に、常にお互いの隙を狙い合う関係……それがタイコーンの貴族なのである。
故に、権力を夢見る弱者は注意せよ。覚悟無く貴族社会に飛び込めば、身も心も食い物にされると……。
「ああ! お姉様! もっと愛してください!」
「いいわよレチール! もっと、もっと鳴きなさい!」
そう、一度貴族社会に入った者は決して油断してはならない。
女の園、修道院。女性率100%の場所こそを己の生きる楽園であると定めた元貴族令嬢の修道女もいるのだから……。
そしていずれは、自らも新たな扉を開くのだから……。
ワタシ、ウソついてない。
悪役令嬢に婚約破棄してヒロインちゃんは泣きながら(自主的に)出て行って鳴いたんだからざまぁ成立。
ワタシ、ウソついてない。
なお、心を清く正しく保てず変な扉開いた人がいても管轄外です。
あ、ちなみにこの世界の平民達はノーマルです。
他国と違って無理な重税とか理不尽な圧政とかしない自国の貴族達を誇りに思っています。無知とは救いなのです。