黒幕・エンディング
「さて、と」
俺たちの手元には宝玉が3つある。
「祭壇に向かおうぜ」
俺たちは頷いて祭壇である茜の家に向かった。
祭壇の場所である茜の家に着くと見た目は変わりない様に見える。玲花ねえがぶるっと身体を震わせた。
「玲花ねえ、どうかした」
「なんか、恐ろしいというかおぞましいというか」
「確かに、何か嫌な感じはするな」
将也も同意した。
家の玄関までくるとドアにカギ穴やドアノブがなく代わりに丸いへこみが3つある。
「ここか」
俺たちは3つの宝玉を穴にはめ込んだ。すると、ゆっくりとドアが開く。
中を見てみるとそこは見たことがある茜の家、ではなかった。2階建ての外見に反して1階しかない。しかし、天井は高い様に見える。周りは見たことがない機械で埋め尽くされていた。
「おい、あれ!」
将也が指さした奥には手術台のようなものがありその上には、茜が寝かされ、その頭には見たことがない機械が取り付けられていた。
「茜!」
「待て!」
走り出しそうな俺を将也が制止する。
「奥をよく見ろ」
手術台の隣には2体の甲殻類のような見た目に膜のような翅が付いていて、頭があるべき所には触手のようなものがある化け物がいる。
「なんだ、あれ」
「気持ち悪い」
俺たちはゆっくり近づく。
化け物はこちらを見ると襲い掛かって来た。
「ちっ、またか!」
将也は化け物1体に蹴りを放つ。その蹴りは見事に化け物に命中する。
蹴りを食らった化け物は腕についたハサミで将也を襲う。
「おせえよ」
将也は余裕そうにして躱す。
もう1体の化け物が銃のような何かをこちらに向けてくる。
銃から青白い、雷のような火花のようなものが飛び出すがそれは誰にも当たらなかった。
「茜を開放しろ!」
叫びながら殴りかかるがそのこぶしは空を切る。
玲花ねえは俺たちの後ろに下がった。
「次で仕留める」
将也は化け物に蹴りを放ちその胴体を貫いた。
体を貫かれた化け物はそのまま床に倒れ、動かなくなった。
「すげえ」
俺が感嘆の声を上げていると、もう一体の化け物が将也に腕のハサミで攻撃してくる。
「だからおせえっての」
将也はそれをよけようとした。しかし、読まれていたのかハサミが将也の腕をとらえた。
「くう!」
「将也を放せ!」
俺のこぶしが化け物に当たるがあまりダメージはないようだ。
「放せってんだよ!」
将也は飛び上がり、腕をつかんでいる化け物に飛び蹴りをくらわす。
化け物は将也の腕を放し、壁に激突して動かなくなった。
「やった、のか」
「多分」
化け物が動かないのを確認すると、急いで茜の下に駆け寄った。
手術台に横たわる茜は眠っているように見える。
「この変な機械を外せばいいのか」
「優斗、機械得意じゃなかったっけ」
「得意だけど、こんなの見たことないよ」
俺は首を横に振る。
「でも、やってみるしかないか」
俺は機械に触れてみた。今まで見たどれとも違う。
「いったいどうなっているんだ、これ」
俺が四苦八苦していると、いきなり甲高いアラームが鳴り始める。
「なんだ!」
「急がないとまずいんじゃないか」
俺は急いで、でも慎重に機械をみた。そして何とか茜からその機械を外すことができた。
「よし!」
突然目の前が真っ白になる。気が付くと探索者は茜の家の前にいる。周りには会社帰りと思われる人を数人見受けられる。
「終わった、んだよな」
「うん」
「茜ちゃん、気になるけど今日はもう帰ろう」
俺たちは自分の家に帰った。
翌日、珍しく茜が忘れ物をした。
「お前が忘れ物なんて珍しいな」
「そうだね、なんだろう。他にも何か忘れている気がする」
その日の夕方、1通のメールが届いた。差出人はウィズ・マギカと書かれている。
「ウィズ・マギカ」
俺は恐る恐るメールを開いた。
「ゲームクリアおめでとう。クリア報酬なんだがあれはうちの馬鹿が勝手にやったもので何でも願いを1つとは行かない。すまないがね。だが我が社の名を使っているからには何も渡さないわけにもいかない。だからこれを教えよう」
そこには住所が書かれていた。
「ここが我々の本拠地だ」
あの事件から数日、茜からメールが届いた。
「最近なんか大切なものを忘れている気がするんだよね。それで、思い出せないもので優斗の誕生日が思い出せないの、教えてくれない?」
毎年誕生日を祝ってくれる茜が自分の誕生日を忘れるなんてあり得ない。しかし俺たちにはその原因に覚えがあった。
いわゆるノーマルエンドです。ハッピーエンドを知りたい方は同じ名前でピクシブにシナリオを公開していますのでそちらをご覧ください。