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裏町ゲーム  作者: アロマセラP
4/7

探索3

視界がもとに戻ると見た目同じ場所にいた。ただ目の前の化け物は消えている。周りにはちらほらと歩行者も見受けられる。


「戻って、これたのか」


俺たちは茜も戻ってくるのではないかと思い、待っていたが、茜は戻ってこなかった。


「おい、てめー!」


将也がキースにつかみかかる。


「何で止めた!茜を助けられたかもしれねーのに」


「あの状況じゃ無理だ、ミイラ取りがミイラになるだけだ」


「俺なら出来た!あの化け物ぶっ倒して」


「無理だ」


キースは首を横に振った。


「あれはまず倒せない。前にどこから持ってきたのかライフルを食らっていたが全くダメージが入っていないようだった」


「は?」


将也は訳が分からないという顔をしていた。


「あれに近寄られたら最後だ」


その言葉に玲花ねえが膝から崩れ落ちる。


キースは将也の手を振り払う。


「おじさんはもう疲れたから今日は帰るわ。もしあの嬢ちゃんを助けたいなら、生き返らせたいなら、方法は1つしかないだろ」


そう言うと、キースは去っていった。


「方法って、あのゲームをクリアするしかないってことだよな」


俺はそう呟いた。


「でも、どうやってあのゲームにログインするんだ?」


「もう1度メールを開けば」


俺は茜からのメールを開いてみたが、あの恐ろしい絵が出て来るだけで、何も起こらなかった。


「……、だめか」


俺が落胆すると、スマホがメールを受信する。差出人を確認して息をのんだ。


「え、何で?」


「うそ、だろ」


差出人は、茜だった。


俺は恐る恐るメールを開いた。


すると、また、目の前が真っ白になった。視界が元に戻ると見た目は変わらない場所にいた。メールの中身を確認すると化け物に人形が握り潰している絵。


「また、こういう絵か」


「ねえ、あれ」


玲花ねえが震えながら指を指している。その方向を見てみるとは真っ赤な血だまりがあった。


「これ、茜ちゃんの?」


俺は顔を俯かせた。俺は何も言えなかった。将也も同じようにしている。


「なんで、なんで!こんな」


玲花ねえが悲痛な声を上げる。


「突然こんな変なことに巻き込まれて、いきなり殺されて、なんで、なんで」


「玲花ねえ」


俺は声をかけることができなかった。


「こうなったら絶対にこのゲームをクリアして、絶対に茜を蘇らせる」


俺は将也の方を見た。その目は決意に満ちていた。




俺たちは公園の前に来ていた。


「ここ、昔よく茜ちゃんと遊んだよね」


「そう、だね」


俺たちは暗い雰囲気のまま公園の中に入っていった。


色とりどりの花が咲いている。公園にはブランコと滑り台、砂場がある普通の公園だ。赤、白、紫の花が咲いているのがわかる。普段は見ない花だ。


「なんだ、この花」


「花がどうかしたか?」


「これだよ」


俺が指さした花は見たことない、まるで絵から出てきたような花だ。


「確かに、こんな花見たことねえな」


他に何かないかと探してみたが、特に何も見つからなかった。


「ここは外れか」


俺たちは公園を後にしようとした。


「あれ、皆一緒にいるなんて珍しいね」


そこにいるはずの無い人の声がした。


声のした方を見る。そこにいたのは、茜だった。


「あ、茜」


「無事だったの!?」


玲花ねえが茜に駆け寄る。


「無事って何のこと?」


「なんのことって」


茜は首を傾げている。


茜にいくつか化け物に追われる前までのことを質問をしてみるがどれも覚えていないようだ。


「だって、優斗意外とは今日は初めて会ったよね?」


そんなことまで言い始めた。


「と、とりあえずここから出よう」


俺は茜の手を取ろうとした。


その時、ドスンドスンという音が聞こえた。音の方を見ると先ほどの化け物が先ほどより近い位置にいた。


「なに、あれ」


茜は化け物をみて腰を抜かしてしまったようだ。俺は茜を引っ張るようにして化け物から逃げた。


いきなり茜にものすごい勢いで引っ張られた。


「きゃあ!」


俺は茜の手を話してしまった。そして後ろを見ると、茜が化け物に捕まっていた。化け物の手が茜の体をつかんでいた。


「いや、助けて」


茜をつかむ手に力が加わる。


「いや、やだ、痛い痛い痛い、やめてやめて、いや、いやーーーーーーーー!」


ばきっ、ぐしゃっと骨が折れ、肉がつぶれる音がする。化け物の手の中から血が噴き出し、手や足はおかしな方向に曲がっている。


「あ、ああ」


玲花ねえが顔を真っ青にしてへたり込む。俺たちは理解してしまった。彼女がもう生きてはいないことに。その後化け物は茜の頭を、身体を食べていく。


「あ、ああ、あああ、あはははははははははは」


玲花ねえが突然笑い出した。


「れ、玲花ねえ?」


「あは、あはははははは」


玲花ねえに声をかけるが笑い声が返ってくるだけで、返事らしい返事はかえってこなかった。


「おい、優斗!」


将也が俺を呼んだ。将也は光の筒の中にいた。


「こっちだ!」


俺は玲花ねえを引きずるようにして光の中に入った。


目の前にログアウトの文字が出る。


俺はそれをすかさず押す。目の前が真っ白になり、視界が戻ると目の前に化け物の姿は消えていた。

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