5話「帰還と迷子?」
そのあと、適当に歩き回ってモンスターを狩った。
虫型とか獣型とか、何体狩ったかわからんけど、たぶん10体行くか行かないかくらいでレベルが上がった。
『レベルが上がりました』
『SP4獲得』
『ステータスを強化できます』
【水雷弾】を使った感想。
めっっさ強い。
高いINTで使う攻撃魔法、しかも複属性持ち。
この辺のモンスターなら一撃で倒せるくらいに強い。
群れて現れるモンスターも居たけど、ゴリ押しでなんとかなった。
代わりに、消費魔力が重い。
すでにMPポーションは飲んでしまった。
レベルも上がってキリが良いし、そろそろ街に帰ろう。
その前にステ振りだけでもしておこうか。
STR:9→11(+2)
VIT:8→11(+3)
AGI:8→10(+2)
INT:17→18(+1)
DEX:10→12(+2)
LUK:3→6(+3)
TEC:4→5(+1)
MEN:7→9(+2)
ボーナスポイント5
ボーナスポイント多いなあ。
自由に振れるポイントが、こうも貰えてるのは嬉しい。
あと何気にLUKが上がってるのも嬉しい。
幸運は、状態異常付与の確率にも関係してくるしな。
振るポイントは、INTに3、STRに1、DEXに1。
DEXは、遠距離攻撃の命中精度に影響してくる。
魔法使いからしたら、少しくらいは上げておいた方が良いだろう。
範囲攻撃が手に入れば、あんまり意味はないが。
STR:12
VIT:11
AGI:10
INT:21
DEX:13
LUK:6
TEC:5
MEN:9
一通り、ステータスは2桁になったな。
特殊ステータスは自由に割り振れないし、まぁそのうち上がっていくだろう。
それはそれとして、20を超えたINT。
つよい。
さて、街に帰るか。
SPは街に帰ってからだ。
あんまりのんびりしてると、またモンスターに襲われるし、魔力にあまり余裕は無い。
帰ろう帰ろう。
◆
街に帰って早速、ギルドへ向かった。
目的は、討伐依頼の消化。
モンスターからドロップしたアイテムの中で「討伐証明」と表示されているアイテムを提出する。
これらはギルドや、それに類する公共施設に提出することで、モンスター討伐の依頼を達成した扱いで換金してくれる。
素材としての価値より、こう言った施設での換金の方が得なことが多いから、「討伐証明」アイテムは積極的にギルドに持ってくるのが良い。
ついでにドロップした、使い道のわからないアイテムも売っ払ってギルドを出る。
所持金は1000Gくらいには戻ったか。
流石に、序盤のモンスターだと、それなりに狩っても実入りは悪い。
街の近くでモンスターが少ないってのもあるか。
モンスター探して時間ばかり過ぎてる感もある。
「この辺でのレベル上げ終えたら遠出するかな」
そうなると、行き先はどうしようか。
西大門の街道の先。
北門の先。
行き先は特に決めてないが、どっちに行っても何かしらあるだろう。
船での移動もできるんだろうか?
まぁどうせなら、どこへ行くにしても情報を集めてから行きたい。
適当に街中を見て回って、本屋や図書館でもあれば寄ってみるかな。
今日はまだ時間あるし、早速街を見て回ろうか。
◆
「ぅっ、ぐっ、うぅ……」
「ん?」
特に当てもなく、街を歩いていた時。
街の中心、東寄り辺りの大通りに出たところで、泣き声のようなものが聞こえてきた。
迷子かな。
声を辿ってみると、小さい男の子が道端でうずくまっていた。
「どうした?大丈夫か?」
「ぅぐ、お母さん……。んぅ……」
「やっぱ迷子か。ほらほら落ち着け、兄ちゃんが一緒に探してやるから」
子供を慰めるのは苦手だ。
現実では、こんな場面に遭遇したことはないし、遭遇したとしても、たぶん積極的に関わるようなことはしない。
人が多いほど、周りの誰かがやってくれる、そう言う気持ちが出てくると思う。
じゃあ何で、今回はこうして慰めているのか。
ただの気まぐれだ。
と、言ってしまっても良いが、これもたぶんクエストとかの一種だと思ったからだ。
クエストだとしても、別に報酬欲しさに、ってわけじゃない。
こう言ったクエストは、結果的にNPCと繋がりができる場合がある。
今俺が欲しいのは情報だ。
そう言う打算的な部分がある。
許せ少年。
まぁ、やらない善よりやる偽善とも言うしな。
それから少しして、子供は泣き止んだ。
今は、誰だこいつ、みたいな目でこっちを見ている。
あ、自己紹介しろと、そう言うことっすか。
だが残念ながら名乗るような名前が無い。
いや、プレイヤー名はあるんだけど、NPCに紛れてどうのこうのって思った手前、今のプレイヤー名はどうなんだろ。
かと言って、今からNPCらしい名前をとっさに思いつかない。
「俺のことはまぁ、好きに呼んでくれ。兄ちゃんでもおじちゃんでも」
「……うん、兄ちゃん」
別におじちゃんって歳でもないけど、子供の言うことなら気にしないが、まぁ実際言われたら微妙な気持ちはあるだろうし、よかった。
「んで、どうするか。ここで一緒に喋って待ってても良いし、母さん探して歩くんでも良いし、なんならギルドでも行くか?あそこなら人探しもしやすいだろう」
「…………家、帰る」
「そうか、家で待つか。道わかるか?俺はわからんけど付いてってやろうか?」
「……ん」
頷いて袖を引っ張られる。
付いて来いってことか。
いや、わかるんなら一人で帰らんかい、と思わんでもない。
まぁ親と逸れた直後だろうし、寂しさもあるんだろう?
わからん。
とりあえず、子供に家まで付いていくことにした。