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2話「港街バスオ」

 


 扉の先は海の見える崖の上、その路上だった。

 後ろを向くと、スーッと扉が消える。


 このゲームでチュートリアルと言えるものは、ゲーム開始前に見るムービーやヘルプに書いてあることくらいで、それ以外説明されるようなことは特にない。

 注意事項なんかはホームページや公式掲示板でよく目にするしな。

 ヘルプは結構充実してるみたいだし、わからない時に開くくらいでいい。


 つまりもうここはオープンワールドの世界。

 ゲームは始まってるということになる。



「さあどうするか」



 柵から崖の下を見ると、左の方に大きな街が見える。

 あれが港町バスオだろうかな。

 ここから道も続いてるみたいだし、早速向かってみようか。




 ◆




 道を辿って数分。

 ちょっと歩いたところで街の門に到着。


 けど街の規模にしては小さな門で、メインで使われる門じゃないのかもしれない。

 まぁでも、反対側にも道が続いてたし、どこかしらとは陸路での交易があるんだろうな。

 人工的な街道なら安全だろうし、どんなところか聞いて、良さそうなら向かってみようか。


 それはそれとして。

 門番にキャラクターカードを見せて門を通る。


 このキャラクターカード、通称キャラカはこのゲームにおける身分証のようなもの。

 提示することで様々な施設を使えたり、他プレイヤーとフレンド登録したりするのに使える。

 インベントリの説明欄より引用。


 あとは公開ステータスを表示する機能もあって、俺の場合、名前や職業なんかが表示されている。

 プレイヤーの活動方針によっては、「異名」「賞罰」「称号」なんかが表示されるようになるらしい。


 犯罪者とかを見分けるのに使えるらしいけど、俺の職業の毒師は大丈夫かね?

 別に犯罪者ってわけじゃないけど、なんか仕事柄グレーそうな雰囲気あるよな。

 何も言われなかったから大丈夫なんだろうけど、すこしキャラカ出すの躊躇したわ。



「……自由度高すぎると何したらいいかわからんよなあ」



 街に入ったわけだけど、「何をしろ」みたいな手引きは無いわけで、どうしようか少し迷ってる。

 適当に掲示板でも見ながら考えるか。



「手っ取り早くレベル上げるならモンスター討伐かね。情報を集めるなら街の探索。装備を整えるなら武具屋的なのを探さないとか」



 プレイヤーの初期地点は10箇所くらいの中でランダムらしく、この街にもそれなりのプレイヤーがいる。

 聞き込みで情報を集めるのも手ではある。


 そう言えば、リア友とこのゲームやる場合はどうするんだろうな?

 俺は別に、今のところ誰かを誘う気は無いけど、ランダムだと合流に困るだろうな。

 あとで検索しとくか。



「ま、最初は街の探索にしとくか。何か掘り出し物でもあるかもしれんし」



 武器防具が初期装備のまま、ってのも危ないかも知れないし。

 武器はともかく、防具は一般的な服で、防御力は皆無だからなあ。


 とりあえず、特に行く当てもないから、崖の道から見えた大きな建物へ向かうことにした。


 たぶん領主の館か、冒険者ギルド的な施設だろう。

 ギルドなら情報収集にはちょうどいいし、近くに武具屋とかもありそうだしな。




 ◆




 辿り着いたのは、予想通り冒険者ギルドだった。

 中はそれなりの数の冒険者で賑わっている。


 今は昼時で、左にある依頼掲示板とかを見ている人より、右の待合所のような場所で飲食している人の方が多い。

 仲間を募集するならちょうど良いだろうけど、するとしてもそれはそのうちだな。


 正面奥の窓口で受付をしているギルド職員の方に向かう。



「すみません、宿と武具屋、あとは消耗品を扱ってる店を教えてほしいんですが」

「はい。消耗品でしたら、このギルドの向かいの雑貨屋になります。武具屋はそのお店の、向かって左隣ですね。そのまま大通りを左へ直進すると西大門がありますが、その手前に宿屋と薬屋があります。ポーション類はその薬屋ですね」

「ありがとう」



 聞きたいことは聞けたな。


 宿はプレイヤーのリスポーン地点となる。

 金を払っての期間登録になるが、リス地固定とデスペナ軽減の効果があり、プライベートエリアとして使える。


 西大門?の方に主要な店が揃ってるとなると、そっちがメインの街道になるんだろうかな。

 地図も無いし聞いてないからわからんが、たぶん俺が入ってきたのが方角的に北門だろう。

 んで、南は海が広がってる、と。


 そう言えば港町なのに、まだ港を見てないな。

 まぁ反対側から入ってきたんだから、しょうがないと言えばしょうがない。



 聞きたいことは聞けたし、ついでに依頼掲示板を見ておく。


 家事や店の手伝い、掃除、アイテムの納品なんかの雑用がメインか。

 その上の方に貼ってある依頼は、レベル不足で受注不可となっている。


 あとはプレイヤーの依頼だろうパーティ募集。

 レベル帯と役割を条件に募集がされていて、条件に合うものは光って見える。

 まぁ今のところ受けるつもりは無いけど。


 ……それにしても、後ろからたまに美味そうな匂いがして来て腹減ってくるな。

 けど今は我慢だ。

 まずは金を稼げるようにしないとな。

 武具と、できればポーションなんかを買って、モンスター討伐できればそれなりに稼げるはず。


 さっきの雑用とは別で、討伐依頼と言うのがあった。

 これは個別の依頼とは違い、モンスターを討伐してくればそれに見合った報酬が貰えると言うもの。

 依頼失敗のペナルティが無い分、危険もあるが、戦えるならこっちの方が稼げるだろう。


 と言うわけで、知りたい情報はだいたい知れた。

 まずは武具屋に向かおう。




 ◆




 現在の所持金は、初期の3000G。

 武具屋で見たところ、レベル1で買える武具はだいたい1000G前後らしい。


 とりあえず、武器は初期の杖のままで良いとして、防具はソフトレザーの軽鎧Lv.1を1500Gで買った。


 このゲーム、防具やアクセサリーの装備枠は、頭、顔、耳、首、胸、腰、腕、指、足、その他の10箇所となっている。

 んでこの軽鎧は、胸と腰のダメージ軽減と防御力+3の効果になる。


 さらに、このゲームでは重ね着が可能。

 初期の一般的な服の上に、今買った軽鎧を装着。

 うん、ダサいな。


 防御力がさらに追加される代わりに、重ね着された部位の動きにくさが出て、重量も増える。

 STR1からしたら、これ以上防具を増やすのは厳しそうだ。

 すでに重い。



 ついでに隣の雑貨屋も見たけど、日用品がメインで、戦闘補助のアイテムは少なめだった。

 回復薬とかは、さっき聞いた薬屋にあるんだろうな。


 と言うわけで、西大門へ向かうことにした。

 ついでに宿の値段も聞いときたいな。

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