18話「報告と報酬」
場所はバスオ図書館。
金剛貝討伐の報告に来ていた。
「こんにちは」
「はい、こんにちは。本日はどうされましたか?」
「金剛貝の討伐、終わりました」
「本当ですか!ありがとうございます。安全と魔物避けの確認ができ次第、規制を解除。これでまた一般にあの浜辺が解放されることになります。本当にありがとうございます」
『クエスト『浜辺の危ない宝貝』をクリアしました』
「いえいえ、困ってたらなんちゃらかんちゃらってやつです」
「適当ですね……。とりあえず依頼報酬の話に入りましょう。少ないですが、まずは報奨金の3000Gです」
少ないと言いつつ、ポンと3000G貰えるのは有り難い。
確かに45レベ5体討伐でこれは少ないとは言える。
が、むしろ、あんなボーナスステージさせて貰えた上でお金までと考えるとなかなか。
さらにこの報酬はメインではないときた。
このクエストうまいな。
「次に紹介状と地図ですね。こちらのお店で、ドロップアイテムをアクセサリーに加工出来ますので是非に。こちらは武器のお店ですね」
「ありがとうございます」
貝殻の欠片のドロップも防具に加工出来るらしいが、今街にそのレベルの鍛冶師が居ないらしい。
まぁしょうがない。
というか、そのレベルの鎧はSTR不足で着れない気もする。
盾とかも使わないし。
しばらくは仕舞っておくか。
換金すると高そうだが、勿体無いレベルのアイテムだからなあ。
「それにしても、魔物避けはしっかりされているはずなのですが……。討伐していて何か気になることはありませんでしたか?」
「いや、流石にちょっとわかんないですね」
「そうですか……。流されてきただけかと思いますが、一応、魔物避けは専門の技師の方に確認してもらいましょうか」
『クエスト『海の底、闇の狭間』が開始されました』
『このクエストの進行にはランクが足りません』
『クエストが保留状態となります』
あ、なんか続きがありそう。
けどランク不足か。
何それ?
レベルなら知ってるけど、ランクは知らないな。
とりあえず、今どうこうって話じゃないみたいだし、そのうち制限が解除されたら続きするかな。
そんなこんな話して、図書館を出た。
あ、また図書館を出てしまった。
今日こそは本を読んでのんびりしようと思ってたんだが。
今から戻って本読みだすのもアレだよなぁ。
まぁいいか。
とりあえず早速紹介された細工師のお店に行ってみようかな。
これだけのレベルのアイテムを加工してもらえるとなると、お金大丈夫かなあ……。
その辺、全くあの司書の人言ってなかったけど。
◆
「すみません」
地図の通りに少し歩き、着いたアクセサリーショップ。
図書館から近かったから、先にこっちに来た。
武器の方は、今使ってるのでもまだ余裕はあるし。
「ほいいらっしゃい、どうしましたかなお客さん」
出てきたのは、気の良さそうなおじさんだ。
結構ガタイがいいが、表情のおかげか話しかけづらさは無い。
そんなおじさんが、エプロンを装着して対応してくれる。
「こちらでアイテムを加工してもらえると聞いて。あ、紹介状です」
「ふむ?ほうほう。おぉ、あそこの貝共を倒してくれたのか。ありがとう、本当に助かる」
「え、あぁいえ、どういたしまして?」
「あぁ、あそこは数少ない娯楽場の一つみたいなもんでな、人の集まる場としてずっと開放されてたんだ。特に子供達の遊び場としてもな。そこが使えないってんで、あの貝共に苛立ってるやつは結構居たんだ。そのうち、男ら連中で殴りに行こうぜ、ってくらいにな」
「それは……」
魔法無しでアレを倒すのは無謀じゃね?
街に魔道具とかもあるらしいけど、いまいち攻撃力としては足りて無いらしいし。
けど、それだけ邪魔な存在だったってことか。
これ、魔法使いプレイヤーなら、誰でも東側の住人と話すだけでクエスト発生してた可能性あるな。
先着順か、またはパーティサーバーとして別でクエスト受けられるのか知らないけど、受けてクリアできて良かったな。
「ま、そんなわけだ。住人代表ってわけでもないが、お礼にその貝の真珠と貝殻でアクセサリーを作ろうじゃないか。もちろん次回からお代はいただくけどな」
「あ、ありがとうございます」
何か流れで、無料でアクセサリー作ってもらえることになった。
真珠一つと、貝片をいくつか渡す。
作ってもらうのは、真珠を使ったペンダントネックレス。
これなら魔法防御が上がるらしい。
ちなみに、指輪だとDEX、イヤリングだとINTに特に補正があるらしい。
まだ真珠はあるし、それはまた今度金貯めてからだな。
完成までゲーム時間で2日かかるとかで、次回のログインでまた来ることにした。
次は武器屋の方だな。
◆
武器屋でも、話の流れは似たような形になった。
流石に無料にはならなかったが、格安で杖を作ってくれるとのこと。
その値段、5000G。
微妙に所持金が足りん。
まぁ無料にならないのは当たり前だろう。
武器や防具が高い理由ってのは、素材の値段もあるがそれ以上に、それを加工する火力、燃料の値段が大きいと言われる。
そして、今回使う貝片の加工も同じく。
魔法がある世界とは言え、今回のクエストからもわかるように、魔法を使える人が一般的と言うわけではない。
火の魔法、魔道具も一般的に使えるものではない。
そんなわけで、杖と首飾りが完成するまでに、金を貯めないとな。
それはそれとして、少し時間が余ったな。
図書館に行くのは……紹介状でお礼を言いに行くのはありだけど、まだ完成してないし、むしろツケがある状態で行くのもあれだな。
あんまり来ない、街の東側。
どうせなら少しこの辺り、探索してログアウトしようかな。