15話「砂浜と金剛貝」
港町バスオ、南側。
港エリアに来ていた。
海面より結構高いところまで岸壁?っていうのかな、知らんけど、船が泊まるところがある。
そこに、大きな船が並んでいる。
これは確かに、泳いだりするような場所じゃないな。
そこから、大通りを挟んで反対側。
大きな建物や倉庫のようなものが並んでる。
正直、ファンタジー感は全く無い。
そんな南側の港に沿って、東へ歩いていく。
こっちはNPCの居住区だから、プレイヤーが来ることは少ないだろう。
居たとすると、この街に拠点を構えて探索するため、居住区に家でも購入した人だろう。
金が無いから羨ましい限りだが、どうせ住むならいろんな街を見て決めたい。
海を眺めながら歩いて行くと、行き止まりに着いた。
こっちじゃないな。
ぼーっとし過ぎたか。
少し前で住宅街側に入らないとダメだった。
地図を確認しながら、来た道を引き返す。
◆
しばらくして、抜け道へとたどり着いた。
抜け道と言っても、外壁の抜け穴的なものではなく、この辺りもしっかり街壁の中だ。
街外の東はモンスターが多いんだから、そんな場所に子供を安心して行かせられないわな。
抜けると言っても、海側の話だ。
さっきの行き止まりの向こう側。
港工事がされていない、広く綺麗な砂浜。
俺の目の前には、そんな景色が広がっていた。
だがそんな中に、異物のように転がる大きな物体。
貝だ。
デカイ貝だ。
いや、マジでデカイぞ。
高さは俺と同じくらい。
横幅は3メートルくらいあるか?
押しつぶされたら、確かに死ねるわ。
そんなのが、見える範囲で5つ。
コレさえ居なければ、今頃ここに人が来て、遊んだりしてたんだろうか。
頑張って片付けないとな。
と言うわけで早速。
「【水雷弾】!」
バンッ!って感じに貝に直撃するが、あまり効いた感じがしない。
そもそも声も出さないし、重いからか吹っ飛ぶ様子も、ひるむ様子も無い。
効いてるのかわかりにくいったらないな。
とりあえず、攻撃されたことには気づいてるらしい。
ズズズ、ズズズ、と重い身体を引きずる様に、ゆっくりこっちに向かってくる。
とても遅い。
歩いてても余裕で逃げ切れる。
とりあえず、撃ち続けてればそのうち倒せるだろう。
◆
約1時間後。
『レベルが上がりました』
『SP12獲得』
『ステータスを強化できます』
や、やっと倒せた……。
いや、VIT高すぎんだろ。
先が見えなさ過ぎて諦めかけたぞ。
ここまでやったんだから、とログアウト時間までやりきる覚悟で挑んでないと、絶対途中で諦めてた。
いやー、これでようやく1体とか、今日中には無理だわ。
つーか2体目がもう無理だわ。
時間無い。
と言うことで、一旦帰って報告するか。
次回、なるべく時間作ってログインしないと、一回じゃ終わらないな。
◆
「戻りました」
「おかえりなさい、どうでしたか?」
「一応、1体は倒せたんですが、時間がかかり過ぎて……。この後予定があるんすよね。すみません」
「いえ、こちらこそ急に無理を言って申し訳ありません。こちらも引き続き、協力してくれる魔法使いの方を探してますので、あまり気にし過ぎないで大丈夫ですよ。あ、今ドロップアイテムは持っていますか?」
「?持ってますよ」
特に売ったりせずここに来たからな。
売れば高そうだったが、先に報告をと。
ドロップしたのは『大宝真珠』と『金剛の貝片』『貝の身Lv.45』。
一個ヤバいのが混じってる気がするんだよなあ。
そう言えば、この海のモンスターって大体レベル50とかって聞いたような。
いや、海深いところだけの話じゃなかったのか?
けど魔法が弱点だって聞いたけのに、魔法ステ振りの俺であれだけ時間かかったわけだわ。
いや、属性相性のせいって可能性もあるけど。
とりあえず、それらを見せる。
「これらは生産の材料として使えます。真珠は杖に、欠片は鎧に、貝の身は料理に。杖やアクセサリーに加工できる職人はこの街にもいますので、また協力してくれたら紹介しましょう」
「はは、他の人に手柄取られる前に頑張らないとっすね」
「期待して待っていますね」
向こうとしては、誰でも良いから早く倒してくれって感じだろうに、そう言うところを見せず、逆にやる気を煽ってくるとはなあ。
まぁクエストとして考えるなら、俺がやらんと進まんのだろうけど。
さて、今日はここまでだな。
SPが33あるけど、ガチャるのは次回で良いや。
疲れたし今日は終了。
宿に帰ってログアウトしよう。
あ、森で取れたものはギルドで売るのを忘れずに。
んじゃ、ログアウト。
突然ですが、更新ペース落ちます。
詳細はこちら活動報告で。
と言っても理由と言うより愚痴なので見なくても大丈夫です。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1380922/blogkey/2443957/