13話「森の守護者」
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そして腹が減った。
確認してみると満腹度が危険域だな。
ゲーム内で食べたのは最後いつだったか。
とりあえず、何か食べるもん買って、ギルドででも食べようか。
けどあそこはパーティ募集が盛んなんだよな。
プレイヤーとして声かけられても面倒だし、軽鎧の装備は脱いでおこう。
あと何かしら、動きやすい服も欲しいな。
装備のアップグレートは先になるが、今のところは攻略も詰まってないし良いだろう。
今日も探索で金を稼がないとな。
◆
大通りで見つけた服屋で、良い感じの私服を買って早速装備。
装備としての、ステータス上昇みたいな効果は特に無い。
見た目だけの装備だ。
この服にも装備欄を使うし、重ね着すると重量が増す上に、服が見えなくなるし、プレイヤーはあんまりこういう店で服を買わないんだろうかな。
街を出入りするたびに装備切り替えるのも面倒だしな。
まぁ、ステータス効果のある中着なんて買う余裕は無いし、気にしない方向で。
むしろプレイヤーらしさが薄れて動きやすいと思おう。
そんな感じで、普段見ないような店とかも見て、見つけた飲食店で焼き魚を食べてる。
美味い。
流石、港町だ。
結局、ギルドで食べてないけど気にしない。
さて、腹も膨れたことだし。
時間も勿体ないから、そろそろ金と経験値を稼がないとな。
◆
いつもの北の森に出てしばらく。
戦闘に関しては、かなり安定した。
範囲攻撃が出来るようになって、群れが相手でも上手く当てれば簡単に突破できる。
上手く当てない場合、森が燃える。
マジで。
木に燃え移って、めっさ焦って水雷弾連射したわ。
まぁ時間経過で自然消火したけど。
いやビビった。
ちなみに、範囲指定の方法は、杖の振り方である程度決められるのはわかった。
これで、無駄に範囲を広げて森を焼く、ってことが減らせるな。
まぁ、言うほど簡単じゃないんだけど。
そんなこんなで安定してきたわけだ。
奇襲さえ無ければ、今のところ大丈夫。
逆に奇襲を受けたら、一回のダメージは許容範囲と思うしかない。
死ななければ安い。
索敵系とか自動回復スキル的なの欲しいな。
『レベルが上がりました』
『SP10獲得』
『ステータスを強化できます』
『レベルが10に到達しました』
『ボーナスダイスが追加されます』
いくつかの群れを倒したところでレベルアップ。
そろそろ、レベルが上がりにくくなってきたな。
プレイヤーレベルが10になったことで、ボーナスダイスが追加されたとか。
ボーナスダイスってのは、ステータス強化で自由に振れるボーナスポイントのためのダイスだな。
助かる。
ちゃちゃっと割り振ろうか。
STR:23→24(+1)
VIT:20→23(+3)
AGI:28→31(+3)
INT:44→46(+2)
DEX:22→23(+1)
LUK:15→18(+3)
TEC:14→15(+1)
MEN:17→18(+1)
ボーナスポイント4
ついにLUKがMENに追いついたか。
幸運が高くなるのは良いことだ。
具体的に、どう作用してるかはわからんが。
ちなみに、ボーナスダイスは今まで振ってたのが6面ダイスだったけど、今回からはそこに123賽が追加された。
最低でも2ポイントは約束されることになるから、地味ではあるけど有り難い。
INTがキリのいいところに行きそうだから、全部振ってしまおう。
STR:24
VIT:23
AGI:31
INT:50
DEX:23
LUK:18
TEC:15
MEN:18
DEX低いなあ。
けど範囲攻撃手に入れたし、それほど重視する必要は無いんだよな。
と言うか、INTを重点的に上げてる上に、スキルレベルもそれなりな攻撃魔法があるから、かなり楽だ。
水雷弾なら一撃で倒せることがままある。
火雨は2、3発は必要だが、群れ相手ならこっちの方が効率良いだろうな。
AGIも良い感じに上がってるし、引き撃ちでだいたいダメージ食らわずに倒せる。
たぶん、もっと奥の方で戦っても大丈夫だろうな。
なんなら、レベル上限の高い北東側へ向かうのもありだ。
ま、今回は、より奥側を目指してみるか。
◆
見つけたモンスターを倒しながら進み、しばらく歩いたところで、ソレを見つけた。
森の奥地。
木々が疎らになりはじめ、ほんの少し広がる青空。
枝葉の影、鬱蒼と暗い森の中に、光が入り込む。
そんな拓けた空間を、空を、木よりも巨大な影が覆い隠していた。
「はー……マジか」
木陰から、上を見上げる。
空を覆うソレを、最初は巨木かと見紛った。
だがソレは、前のトレント的なモンスターよりも人型に近い、ウッドゴーレムとでも言うべき巨大なモンスターだった。
森の主との遭遇。
今の実力で倒せる気がしないんだよな。
そもそもアレはモンスターなのか?
とりあえず、こっちには気づいてないみたいだ。
ここにいても、どうしようもない。
帰りながらモンスターでも狩ろう、そうしよう。
そう言うわけで、俺は見つからないように気をつけながら、全力で来た道を戻った。