表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
166/308

動乱の始まり-01

●白き虹

 異変の第一報は、オリゾからの僕当ての私信。ハリーからの手紙だった。

――――

 轟き亘る雷の月。

 オリザの蠢々(しゅんしゅん)と伸び行く如く 開ける御国(みくに)の御栄えを

 上下(しょうか)心を(いつ)にして盛り立てんとする頃。


 白き虹 (あめ)(しるし)と 君に告ぐ

 兜の印 (ひもと)けよ君


 とうとつの歌を失敬。昨日、白い虹が立ちました。妖しいばかりに美しい虹です。

 くすんだ太陽に掛かる白い虹でした。そちらは何かありましたか?


 にいさま司祭長の内示を得ました。とシアからの便りが届き、父も

 げに、お家の誉れ。と喜んでおります。なにせ十五歳の成人の儀で司祭長ですよ。

 よろこびようは尋常では無く、正室である僕の母も家の光を加えたと大満足。

 伯父、つまり一族の惣領も改めてシアの養女の件を追認しました。

 爵位は子爵相当の司祭長を一族に向かえる事に否はありません。

 ははは。今更ながらに不明であったと愧じておられるようです。


 殺人的な日程が、これからシアには待って居ますが、疲労のあまり

 ささくれ無いよう僕が支えてやりたいと思います。君も気を付けて、地位に

 れんれんとする人達から見て、君の出世もシアに負けません。

 ただ、謙虚ばかりでも嫌味に思う人が居る事を覚えて下さい。


 下手な手を打たず誠意を以って真摯に対処しても、恨む人は恨みます。

 手を変え品を変え、君の足を引っ張る輩も生まれるでしょう。

 人は理性では無く、心で生きる生き物なのですから。

 不平不満は諍いの種。小さなことにも気配りを忘れずに。

 明るい未来の展望を、君に関わる全ての人に示すことが出来るよう頑張って。


 (さき)くませわが友

 時維(ときこれ)参伯陸拾漆年漆月肆日 ハリー・ヤガミ 拝


 追伸

 十日のシアの叙階(じょかい)に合わせ、ネル殿の兄上が参られるそうです。

――――


「へー。歌を贈るなんて(みやび)ね。スジラドお嫁に行く?」

 歌は恋人に贈るもの。それを見て僕を揶揄(からか)うネル様。

「ネル様、必ずしもそうじゃないですよ。親しい友人にも送りますし、部下へ命令に添えて送ったりもします」

「ほんと、刀筆の貴族の仕来りはややっこしいわよね」

「そうですね」

 笑いながら僕は、白い虹に注目した。わざわざ行き成りこれを書いたのはなぜだろう?

 と、思った瞬間。一つの文言が頭に浮かんだ。

――――

 白虹 陽を貫く。

――――

 その昔現れたシャッコウが持ち込んだラノベと言う物語。

 その一つにこの言葉がある。白い虹は兵乱の兆し。


 白き虹を天の(しるし)と君に告げます。

 兜の印を(ひもと)きなさい。


「兜の印、兜の印、……あ!」

 以下の文の頭を拾う、つまり行の頭を読んで行くと。

――――

 とく にげよ伯爵は 殺された 下手人不明

――――

 と言う一文が浮かび上がる。


「ネル様!」

 僕は急ぎ、ネル様達にこの事を告げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもどうぞ。

転生したらタラシ姫~大往生したら幕末のお姫様になりました~
まったりと執筆中

薔薇の復讐 作者:雀ヶ森 惠


ブックマーク・評価点・ご感想・レビューを頂ければ幸いです。
誤字脱字報告その他もお待ちしています。

【外部ランキングで本作品を応援】(一日一回クリック希望)


メッセージと感想(ログインせずに書き込み可能)にて受け付けます。

ヒロインのビジュアル
ヒロインたち
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ