拾い物-06
●十枚のカード
焚火を囲んで深夜の会議。
「それで、食料をどうするかだな」
今一話を理解していないデレックが口を開く。
「確かにそれも重要だけど。僕が言いたいのは、あの子達の才能がどの程度あるかってことだよ。
デレックは希望者に武術を教えているけど。モーリ師匠の言葉は覚えてるよね?」
「ああ。中途半端な心得が一番危ないって言ってたよな」
こう言う所はちゃんと覚えているのがデレック。
「デレックは、自分が強いだけじゃなくて教えて強くする才能もあるから、たった二日であの子達でも力を合わせれば追いはぎの一人や二人撃退出来る腕前に成っちゃってるよね」
「やだなぁ。そんなに褒めるなよ」
照れるデレックをスルーして、僕は話を続ける。
「そう、これから狩りをしないと食料が足りなくなるのに。自分達は強く成ったと自惚れられるくらい、腕をあげちゃったでしょ? 注意しないと危険な事をしかねないよ」
「あ……」
強く成ったと思って無茶するかも知れないと言う意味では、却って訓練前より危うくなってしまって居ることに気が付いたデレック。
「兄ちゃ。狩りの事だけの話だけれど。兄ちゃとネル様とデレックをお頭として、纏めてみたら?」
クリスちゃんの提案にデレックは、
「そうだな。弓矢の使える者や投擲の得意なのをネル様に着けて、棒やら槍の才があるのは俺が率いて、すばしっこくて機転の利く奴をスジラドが面倒みるって訳か」
この場で方針を打ち出す。
「で、具体的にどう分けるかだけど」
僕は十枚のカードを取り出した。拾った子供一人に付き一枚に名前・年齢・性別・特徴を纏めたものだ。
――――
01、エルペス 十歳女
お姉ちゃん風を吹かせるというか面倒見がいい子。
02、ワンダ 六歳男
活発な野生児。デレックを「兄貴、兄貴」と懐いてる。
03、ベーブ 四歳男
甘えん坊な男の子。ネル様に懐いてべったりしてる。
04、カヨ 七歳女
無口な女の子。
何考えてるかわからないけどクリスちゃんは意思疎通ができてるっぽい。
05、ハック 八歳男
臆病だけど棒術を親から習ってたらしくそこそこの腕前。
良く言えば慎重な性格。
06、デリラ 九歳
頭が良く物や覚えが良い女の子。とても知りたがり屋で色々質問して来る。
スジラドに懐いている。
07、メグ 九歳女
裁縫が得意で髪型を変えて遊ぶのが好きな女の子
手先が器用。
08、ミサキ 十歳女
物怖じしない女の子。
デレックに懐いている。
09、ビル 七歳男
土いじり大好き。
没頭した時の集中力は高いが普段はぼーっとしてる。
10、シレーヌ 八歳女
泣き虫の女の子。
勘が鋭く危険が迫ると怖くなって泣き出すらしい。
――――
狩りの時、この子達の誰を誰が面倒見るのか話し合っていると、
「あぁ~ん!」
火の着いたような泣き声が僕達の所まで響いて来た。