第参話:わたし達の担任
「い、い、い、今、確かに消えたよねっ!?」
「…………っ!!!」
ヤミちゃんも内心の動揺を隠しきれないみたい。
わたしの言葉に首を激しく縦に振る。
一瞬、ヘッドバンギングみたいで面白いとか思ってしまったけど、そういう場合じゃなくて……
「おう、お前ら。何やってんだ?」
不意に聞こえたその声は、間違いなくわたし達の担任、蓬麗河先生の声だった。
「えっと、花創と苑馬――だっけか? どうしたんだ」
どうしたんだといわれても、今言われた事を素直に話したところで信じて貰えるのだろうか……
でも、この蓬先生はかなり飄々としていて恐れ知らずな雰囲気を持っている先生だ。
わたしは……
「実は、さっきこの廊下の端で急に女子が消えて……ユーレイちゃんってその」
動揺もあって、舌足らずな説明になってしまったが、蓬先生はすぐに合点がいったように深いため息をついた。
「あー、その消えた女子ってどんなヤツだ」
「黒髪で、長髪で、なんか変な人でした……」
「あー、やっぱり昼女か…………」
「知ってるんですか!?」
「んー、まぁ、な」
「はいっ」
しょうがないというように、再度深くため息をつき蓬先生はわたし達に向かってこう告げた。
「クラスのみんなには内緒だぞ」
「クラス外なら良いんですか?」
「誰にも言うなよ」