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第弐話:ユーレイの教室
「この学校の七不思議で特に有名なのがね……」
放課後の学校。
わたしはヤミちゃんにこの学校に伝わる有名な七不思議の話をしていた。
「丁度、今頃かな? この校舎の三階の廊下である言葉を言ったらダメなんだって」
「……ある、言葉?」
「うん。それはね」
校舎の三階へと至る廊下をヤミちゃんと話をしながらゆっくり上がる。
その時、辺りをキョロキョロと見回す怪しい女子生徒の姿が見えた。
「あの人、先輩かな?」
「……かも」
長い黒髪の生徒は誰もいない三階の廊下をやけに用心深げに歩んでいく。
でも、その割にはわたし達の姿には気づいていないようで……
ひとしきり辺りを確認すると、その女子生徒は廊下の奥に向かって静かに呼びかけた。
「ユーレイちゃーん」
「あっ」
「…………?」
その言葉こそ、この学校の七不思議「ユーレイの教室」で言ったらダメだといわれている言葉そのものだった。
その次の瞬間、女子生徒の姿は掻き消えていた――――