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修行



「それじゃ修行じゃ。と、いきたいところじゃがまず武器もないし空の魔法の使い方も覚えなきゃならん。空の魔法と言ってもだいたい空間を操るようなもんじゃ。使いようで防御にも攻撃にも回れる。結界のようなもんじゃな。そしてすべての魔法は想像で成り立つ。想像力の乏しい者ほど応用は利かなくなるというわけじゃ。」


「ふーん、なるほどねぇ。武器と言ったけど剣なんかちょっとやったことあるくらいで扱える気なんかしないぜ?」


剣を使ったことがあると言っても体育で剣道の授業をやったくらいなのでほぼやってないに等しいのだが少し見栄を張ってそんなことは言わない聖夜だった。


「わかっておる。最初から剣には期待しておらんわい。お主にぴったりのものを用意しておるよ。」


スカイウェーは笑いながらそんなことを言った。


「俺にぴったり?」


「そう、お主は“打つ”ことに関しては一流に近い。それを生かした武器というのがあるじゃろ?」


もう一度言うが聖夜はテニスでインターハイに出ている。打つことに関してはエキスパートなのだ。


「打つ…打つ……、…ハンマーか?」


「おお、よくわかったのう。そうじゃ、ハンマーじゃ。ハンマーは剣や槍みたいに習えばうまくなるというより力のある者が使いこなすことができるからのう。」


「ちょっと待ってくれ、打つのはわかったが俺にハンマーを振り回すほどの力はないと思うんだけど?」


意味がわからないという風に首を傾げた。


「実はの、大精霊と契約するとその身体に大精霊が宿っても身体が堪えられるように身体能力が上がったりと強化されとるから大丈夫じゃ。契約ボーナスとでも考えてくれればええわい。」


「…なんつー、チート性能…。」


「貰えるもんは貰っておくもんじゃ。ほっほっほ。」


──まあ確かに、修行でこの強化された身体も自分のものにしてしまえばいいか。


「それで、お主に使って貰うのはこのウォーハンマーじゃ。」


そういってスカイウェーがどこからともなく取り出したハンマーは割と小さかった。


「これは…ちっさいな。」


片側は平べったくもう片側は尖っているそして赤い。


「こいつは“ミョルニル”といっての。トールという神が使っていたといわれているというものじゃ。大きさを自由に変えることはできるし、絶対に持ち主の元へ帰ってくる優れもんじゃよ。」


そういい、スカイウェーは大きくしたままの伝説の武器、ミョルニルを聖夜に放り投げた。


「お、おい!絶対重いだろ─って、あれ…軽い。ってか熱っ!」

──これが強化された身体なのか?というか熱すぎるだろう!


熱さに耐えられずに放り投げてしまった。ゴッ!っとすごい音を立てて地面が抉れてしまったが気にしてはいけない。


「百聞は一見に如かず。ってのう。おう、この見た目は布っぽいが鉄の篭手、ヤーレングレイプルをせんとダメじゃったんじゃ。忘れておったわい。ほっほっほ。」


この爺さん、実に楽しそうである。


「まあこれを物にするのも楽しそうじゃないか。」


聖夜は口角をわずかに上げた。

この男、実に楽しそうである。





◇◇◇





「これで準備はできたかの。」


「こんなとこでやんのか?」


ここら一帯にはこれといって何もない。


「わしを誰だと思ってる?これから空の魔法で擬似空間を作り上げるんじゃ。その中で体感で約1年こちらではたったの1日の間修行をしてもらうわいな。」


「はあ…さすがというべきか、もう疲れたよ。」


驚くことにも疲れたようで乾いた笑いを見せる聖夜だった。


「言うておくと、わしは空間を創ることはできるが時間の概念はいじれんからの。そこは──おーい!いるんじゃろ、オーラ!ちょっとこっちきてくれい!」


いきなり大声を出すかと思うと、オーラという人を呼んでいるようだった。


「あらあら、ばれていたのね。ふふふ。こんにちは、聖夜さん。時の大精霊のオーラと申します。」


茶髪のロングで白いワンピースに白い羽衣を羽織った美しい女性が挨拶をしてきた。


「ど、どうも!星野聖夜です!」

──うおー、なんだこの人!めっちゃきれい!


「ほっほっほ。緊張しておるわい。」


いやらしい笑みを浮かべてそんなことを言う。


「うるせえ、ずっと爺さんといたらそうもなるわ!」


「な、なんじゃと!?」


2人は子供のように顔を真っ赤にして口げんかを始めてしまった。


「あらあら、まあまあ。仲のいいこと。」


1人だけは聖母のような笑みを向けていた。





◇◇◇





「今日はここまでにしてやるわい!」


「それはこっちのせりふだ!」


笑いながら2人は言う。

やはりこの2人、実に楽しそうである。


「終わったかしら?」


オーラが最高の笑みを浮かべながら近づいてきた。


「お、おう。そ、そうじゃの。」

──ま、まずい。オーラを怒らせると何をされるかわからんのじゃ!


「おい、爺さんどうし──」

──この反応、このオーラって人は、まさか…。


「じ、爺さん!そろそろ修行始めないか!?」


「そ、そうじゃな!オーラ!あれを頼む!」

──グッジョブじゃ、聖夜!


「しかたないわね。」


この人は怒らせてはいけない。聖夜はそう悟ったときオーラはそういい、手を前に出し何かを念じ始めた。


「よし、できました。」


「え、こんだけ?」


「精霊には詠唱なんぞいらんからのう。」


「なるほど。じゃあこの異次元っぽいとこに入ればいいのか?」


「そうじゃの。この中で修行をしてもらう。注意としてこの中に精霊は存在せんが魔物がおる、そやつらを倒してもらう。精霊が存在しないということは普通の魔法は使えん。その身と空の魔法だけでやってもらう。じゃ、頑張るんじゃ。」


「わかった。行ってくる。」


聖夜はそう言って異次元の中に入っていった。





聖夜が修行してる間にスカイウェーが搾られたのは言うまでもない。


矛盾点が上げられたので

修正しました。


ダイアモンドのハンマー

ミョルニル

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