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依頼

これから不定期になるのでご了承お願いします。


理由は活動報告にて



2日間過ごしていて分かってきたことがいくつかあった。


まず最初に日付について。

聖夜のいた世界、地球では暦日という一般的な年月の数え方をしていたが、こちらの世界では1年は5つに分けられていた。

どういうことかというと、修行の時に使っていた火石というものを覚えているだろうか。

あの火石、というより魔石を5つ使い切ると丁度季節が1周するのだ。

魔石1つ使い切るのに約90日、つまりこの世界の1年は地球よりも約90日長いのだ。

ということはこちらの世界の人間の年は数字だけで見ると若くなるのだ。

ちなみに聖夜の年をこちらの世界で考えると約14歳ということになる。

これに気がついたあとにギルドに駆け込み、急いで訂正してもらうと「ですよね!私と同じくらいなのに人間族で17歳はおかしいなとは思ってたんです!」なんて受付嬢に言われて苦笑いしか返せなかったのは仕方がないとしか言いようがなかった。

そういうことで今は第4の月の30日と数えられ、もうすぐ冬になるらしい。

月日の数え方は第1の月から第5の月までありその中で1日から90日までが存在するということだった。


次に1日の長さについて。

これは体感でなのだが、だいたい24時間とみて大丈夫だろう。

これがもし1時間、2時間と違ってくると体内時計が狂っていき慣れるまで体調を壊したりするので、これは幸いだった。

ところが朝早くから夜遅くまで日が昇っていたのでそういうものなのかと日光を直接見ないように空を見てみると、太陽というと語弊があるが太陽のように光る星、恒星が2つもあったのだ。

これには聖夜もびっくりして、さり気なく「今日もいい天気ですね。相変わらず眩しい光です。」「そうさね、ソレイユ様のおかげだねぇ。」と八百屋のおばちゃんとの会話で言っていたので、おそらく2つ合わせてソレイユ様なのだろう。

もしかしたら夜にもなにかあるかと思って夜空を覗いてみると月のような衛星は1つもなかったものの流れ星がよく走っていたのが見えた。

幻想的、それ以外の言葉が見つからないほどにきれいな景色だったのだ。


そして最後に魔法について。

空と時の魔法は既に試した後なので残りの火、水、風、地、氷、雷、闇、光の魔法を具現化できるか宿で試してみたのだ。

結果的には、さすがチートというべきかすべて具現化することができたのだった。

しかし、まだ力加減ができず、部屋を焦がしたり、穴を空けたりと、そのたびに時の魔法で直す羽目になったのだが。

これについては依頼を受けながらコツを掴んでいくしかないだろう。


これが分かったところで3日目の今、聖夜はギルドで依頼選びをしていた。


「やっぱり10等級で受けれる依頼に魔物討伐ってないのな。」


そう、魔物討伐は9等級からしか受けれないようになっているのだ。

理由という理由は単純に危ないからだそうで、なるべくチームで組んで依頼を受けるようにとギルド側は推奨していた。

ちなみに聖夜はギルドカードを貰っているから依頼自体は受けることはできる。


「これとか、かな…。」


そういって聖夜が手に取ったのは──


『レストハーブの採集

推奨ランク:10~9等級

内容:レストハーブ5束の採集

場所:エルーン王国周辺

報酬:銀貨3枚

ギルドポイント:5

期限:3日

依頼者:ギルド』


と書いてある紙だった。

それを受付嬢のところへ持って行く。


「これで頼む。」


「分かりました。他に何かありましたらなんでも聞いてください。」


「じゃあ、レストハーブの特徴と依頼者がギルドっていうのはなんでだ?」


「はい、まずレストハーブの特徴ですが葉っぱが細く匂いがとても強いです。次に依頼者についてですが、このレストハーブというものは数が多く、疲労の回復などができます。そのため需要は多くいくらあっても困ることはありません。ですから、ギルド側がこういう風に依頼をしているわけです。大丈夫でしょうか?」


おそらく営業スマイルだろうが、可愛らしい笑顔で答えてくれた。


「ほうほう、なるほど。タメになるよ、ありがとね。」


そう言って聖夜はギルドを後にした。





◇◇◇





「お勤めご苦労様です。」


「お前は…冒険者か?」


「はい、まだなったばかりなんですよ。これからレストハーブの採集に。」


「そうかそうか、これから大変だろうが頑張れよ。」


「ありがとうございます。それでは。」


「日が暮れる前には戻ってこいよ。」


入り口で騎士の人と少し話をして散策を始めた。

前回のような高圧的な態度でないことからもしかしてこの騎士は成り上がりかもしれない。

とか考えながら歩いてるとレストハーブの特徴に当てはまる植物を見つけた。


「これかな…………うわ…すごい匂いだな。」


摘んだ手にまで匂いは移ってしまっていた。

なるべく気にしないようにレストハーブを集めていると聖夜は後ろから声をかけられた。


「こんにちは、お兄さん。」


「ん、ああ、こんにちは。」


そこにいたのは青髪ショートの少女だった。


「お兄さんもハーブを?」


「そうだよ、冒険者だからね。」


「そっか、私はね孤児院のみんなの為にお金を貯めてるの。お金があればいろいろと便利でしょ?」


「孤児院?孤児院なんてあったのか…。」


暇だった時間でぶらぶらしていても気づかなかったという。


「街のね、奥の奥の方に小さい家があってそこにみんなで住んでるの。私が一番お姉さんだから、お金集めるの。」


「そうだったのか…。お兄さんも手伝っていいかい?」


「お兄さんありがとう!」


笑いながら言ってあげると、眩しい笑顔を返してきたのだった。





◇◇◇





「これくらいかな…っと。」


「こんなにいっぱい、お兄さんありがとう!」


聖夜は大体25束、少女は35束はあるだろう。

少女はかごを背負うと聖夜に礼を言った。


「こちらこそ、たくさん採れたよ。」


「えへへ。お兄さん、今度孤児院に遊びに来てね!バイバイ!」


「ああ、またな。」


少女はイリスというらしく、年は8歳なんだそうだ。

その年で遊ぶこともできないのかと聖夜は少し難しい顔をしながら歩き始めた。






◇◇◇





「はい、これ。」


「お疲れ様です。随分と採ってきましたね。少々お待ちください。」


ノルマは達成しているのでその日のうちに報告してしまおうと考えたのだ。


「お待たせしました。レストハーブ25束になるので、レストハーブの採集依頼を5回受けたことになるのでギルドポイントが25になりますので、あと5ポイントで昇格依頼を受けることができます。それと報酬の銀貨3枚が5回分になりますので銀貨15枚をお受け取りください。」


「ありがとう。あと、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。風の大精霊ってどこに行けばあえるかな?」


「……は?ああ、いえ、すいません。あそこには強い魔物がいると聞いているので3等級でないとダンジョンには入ることができないんですよ。なので頑張って昇格してください。」


「そうだったのか…ぼちぼち頑張ってみるよ。」


聖夜は苦笑いしながらギルドを出ていった。

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