ツバメの墓
ツバメが死んでいた。
道の上で、羽を休めるように静かに、傷一つないまま横たわっていた。
ときどき風に吹かれて尾や羽根が揺れた。
手で掬い上げれば、その瞬間に小さな翼を広げて空を飛びそうに見えた。
でもツバメは動かなかった。
その目を開くことも、嘴を動かして囀ることも、宙を舞って虫を捕らえることもできないのだ。
自分の姿に重なって見えた。
痛みを乗り越え、勇気にすることができない。
それなのに大声で傷ついたと叫んで泣くこともできない。
動けないでいる。この場所からずっと。
立ち上がることもせずに、膝を抱えてじっと前だけを見つめている。
あのツバメのように、誰にも見守られることなく
悲しみに弔われることもなく
一人ぼっちで。
私は爪に土が食い込むほど強く地面を掻き
小さな穴を掘った。
すっかり冷えて、硬くなったツバメを汚れた手でそっと包んだ。
柔らかい羽毛を指先で少し撫で、穴の中に置いた。
土をかけて、埋めた。
小さな墓がそこに現れた。
ツバメのためにしたわけじゃない。
死んだことにも気付かれず、ただ一人ぼっちで道に横たわるツバメにも
体を撫で、墓を作ってくれた誰かがいたように
悲しみに気付いてもらえず
誰にも傍にいてもらえない私に誰かが手を差し延べてくれたら
この頬を撫でてくれる人が現れてくれたら。
そんな微かな望みを
この小さな墓に込めて
ツバメよ、安らかに。
私は静かに両手を合わせた。