監禁
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眠らされ、目を覚ましたとき、白い部屋に私はいた。
ベッドも、壁も、ドアも全てが白く塗られている。
自分を覆っているシーツに血液がついていることに気付いた。
怪我をしていない。自分のものではない。でも、他には誰も居なかった。
「誰かいないの?」
心細くて声を出した。声はただ、部屋に響いただけだった。
手首がズキンと痛んだ。眠らされた時、強く抵抗したから痣になっている。
突然、恐怖が襲ってきた。
震えが止まらなくなって歯がガチガチと鳴った。
ドアに駆け寄ったがドアは頑丈で重く、ピクリとも動かなかった。
誰かが鍵を閉めたのかもしれない。
何度も殴るようにドアを叩いて、助けを求めて叫んだ。
声は掠れて、喉は乾き、呼吸さえ拒むように痛むほど助けを呼んだ。
だが、何も返ってはこなかった。人の声、物音さえも。
窓もない部屋。外を窺うこともできずにベッドの上でじっと膝を抱えた。
長い時間、何も食べていないはずなのに空腹にはならなかった。
堅い扉を叩き続けて腫れた手の痛みだけが、生きていることを自分に教えてくれた。
そして座ったまま眠った。
昼か夜かもわからないその場所で、恐怖と痛みが去るのを待っていた。
シーツに包まれて、その場所から少しも動かないまま目を閉じていた。
何も変わることがない恐怖感。それから逃れるために自分で噛んだ傷が痛んだ。
空腹は、少しだけ感じるようになっていた。
水もなく、食べられそうなものなど何もないこの部屋では意味がないことだったが、
それだけでも生きているのだと感じられた。
時々、顔を上げて一度も開くことのないドアを睨んだ。
身じろぎをしようとする体を抑えるように両腕で抱きかかえた。
そして眠った。深く、深く。
何も聞こえないように、何も感じないくらいに深く眠った。