表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

「皆、なんちゅうモンを作ってくれたんや…。これらに比べたらナローシュ君の料理はカスや」と酷評され、第一ラウンド敗退する主人公。

作者: 騎士ランチ
掲載日:2026/06/14

「なんちゅうもんを食わせてくれたんや…、これに比べたらナローシュ君の料理はカスや」


審査員の言葉を聞いた瞬間、ナローシュは顔が真っ青になった。どんな手を使ったのかは分からんが、対戦相手のAは審査員の心にクリティカルする料理を作ったみたいだ。


ついさっきまで、「うん、ナローシュ君の料理美味いやん」と言ってた審査員の見事な掌返し。採点結果を聞くまでも無い。ナローシュはAに負けたと確信した。


「んじゃ、次はB君の料理をいただこうか…、う〜ん普通に美味い!これまての三人の中でダントツに美味いやんか!これに比べたらナローシュ君の料理はドブカスや」


審査員のどストレートな評価を聞き、ナローシュは涙を流した。Aはまだ絡め手でこちらを上回ったと言い訳出来る。だが、Bには普通の料理で自分の遥か上を行かれた。自分はまだこの大会に出るレベルに達していなかったのだと思い、ナローシュは顔を伏せて泣いた。


「次はC君の料理か。う〜ん、これはあんまり僕の好きなもんやないな。けどまあ、これに比べたらナローシュ君の料理はゲロカスや」


ナローシュは膝から崩れ落ちた。イマイチな料理と比べてもカス扱いされた。自分の料理を美味いと言ってくれたのは、一番手て比較対象が居なかったから。若しくはお腹が空いていたからだろう。


「えー、ここで一回ガム噛んで舌をリセットします。ふー、スッキリしたわ。このガムに比べると、ナローシュ君の料理はゴミカスや」


ナローシュは大きく飛び上がった後、錐揉み回転して地面に倒れ込んだ。料理人に負けるのはまだ良い。市販品のガムに負けるのは、料理人である事を否定された気分になった。


「最後はD君の。って、何やこれ!ソースはかかっとらんし、野菜は火が通ってないやん!プロなら制限時間内に完成させろや!やけども、これと比べてもナローシュ君の料理はマジカスや」


ナローシュは白目を剥いた。未完成の料理より下という事は、自分の料理はウンコ製造扱いという事だ。まだ、生野菜そのまま出した方がマシと言われたも同然。スタートラインに立てなかった奴の更に後ろ。


「Bの飯は舌の上でびっくらポンと踊るぜ!それに比べたらナローシュのは便所で作ったのかってぐらいカスだぜ」

「ナローシュ、こやつ本当に…カス」

「やりましね、ナローシュさん。アンタはカスになったんだ!指摘しなければ、今ここで!」

「何度でも言うぞ。この第一ラウンドの汚点はナローシュのカスな料理だ」


ナローシュは口から炎を吐いた。審査員の一番偉い奴が特別自分の事を嫌ってる可能性も消えた。おっさんもお爺さんも少年も全審査員がナローシュをカス判定した。


ナローシュは電光掲示板を見た。そこには、第一ラウンドを戦った五人の得点が示されていた。


B:50点

A:45点

C:38点

D:7点

ナ:カス(手書き)


ナローシュは坐禅を組み、テレポートで自宅に帰った。奥さんと子供ががっかりした顔で出迎えた。翌朝、奥さんと子供は実家へ帰ってしまった。


大人気テレビ番組の料理大会で大差で1回戦負けした様子はしっかり放映され、ナローシュの店は世界一カスな料理の店として有名になった。当然ながらナローシュの店は客足が途絶え、たまにユーチューバーが騒ぎに来るぐらいになってしまった。


「おっかしいなあ。話しに聞いてた程まずくねーぞこの料理」


ナローシュを笑い者にする目的で来店したユーチューバー達は皆首を傾げてそう言う。実際、ナローシュの料理は全国から番組に応募したシェフの中からトップ5に選ばれる程度にはちゃんとしていた。


ナローシュ自身も、自分の料理に何か欠陥があったのか、大会後に何度も同じ料理を作って味見をしていたが、おかしな点はどこにも無いしアレルギーや食中毒対策も完璧だった。


ならば一体何故?そう思った時だった。


「ナローシュ君、すまんかったああああ!!!」


昭和アニメのキャラが走るシーンを早送りしたかの様なシャカシャカ走りで、自分を散々カス呼ばわりした審査員が店の前まで来て土下座した。


店の入り口で土下座されても邪魔なので、ナローシュは審査員の首根っこを掴み、顔面を殴打した後に店内へ放り投げた。


「前が見えへん」


顔がアカン事になった審査員に冷水をぶっかけ、スッキリしたナローシュは彼の言い訳を聞いてやる事にした。


ナローシュは審査員に聞いた。あの時、何故あそこまでカス扱いしたのか。それが間違っていたとはどういう事か。


「先に結論から言うで。ナローシュ君の料理は料理対決最弱なんや。ナローシュ君の料理はコンビニ飯と比べてもカスになってまう…も゛っ!!」


ナローシュは膝関節を外してのズームキックで審査員の顔面をしばいた。


「ごめんちゃい。けど、他に言いよう無いねん。せやな、ナローシュ君も実際に食べ比べてみよか。はい、俺のガム」


ナローシュは自分の料理を食べた後、ガムを口に入れた。その瞬間、ナローシュの体力バーが一気に真っ赤になり、ナローシュはうわ〜うわ〜とエコーを出しながら背後に倒れた。


YOU LOSEの文字が頭上に浮かぶ。このガム美味すぎる。これに比べたら、自分の料理なんて。


「カスやったやろ?」


認めるしか無かった。


「何でこうなるんか、それはナローシュ君の料理が後から食べるものの旨味を引き出しとったからや。正確には、美味いと感じさせる脳の機能をやな。つまり、ナローシュ君の料理は『究極の前菜』!ナローシュ君の料理を食べた後、他人の作った料理を食べると、ナローシュ君の料理がカスに感じるぐらいに美味いと思えるって話なんや」


真相が判明した後、他の審査員と番組スタッフもナローシュに謝罪し、後日番組内でナローシュの正しい実力が披露された。


ナローシュの店は『日本一カスな料理を出す店』から『普通に美味いし、二軒以上食べ歩く時の一軒目にすると、後の料理がとてつもなく美味くなる店』へと評価を変え、連日客が列を作る様になった。


ナローシュは稼いた金で店を増築し、他店で買った食品を持ち込める別室を作り、これが大好評。別室からは一日中カスカスの大合唱が響き渡っていた。


店の評判も回復し、子供が誹謗中傷に晒される危険も無くなった為、妻と子も帰ってきて忙しくなった店を手伝う様になった。


人気番組に出た事で一度は全てを失ったナローシュだったが、もしあの番組に出なければ自分の本当の強みに一生気付けなかったかもしれない。だから、今ではあの番組にも審査員達にも感謝し、恨みも抱かなかった。


だが、最初にカス発言した審査員だけは出禁にしておいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
めっちゃ面白かったです! 世の中全てからカスカス呼ばわりされるナローシュ君のリアクションにひたすら笑い続けました! 一日中カスカスの大合唱が響き渡っていたって何だよ。(困惑) 大好評になったとはいえ、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ