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第3話「初めての作詞」
第3話「初めての作詞」
「ぜったいに誰にも話さないでね!」
少年は黒いノートを差し出す。表紙には『Lyrics of Black Frow by ✟クロノ・来栖✟』。
ページをめくると、懐かしいリズムと韻が書かれている。
「これ…私が初めて作った歌詞じゃない!」
ノートの文字がリズムに合わせて微かに揺れ、頭の中でメロディが流れだす。
あの日の音楽好きな自分が、確かにここにいた。
「Yo、Yo、チェケラッチョ……どんなけ使ってるんだよ!スピーチのえっと、えっと……みたいに使ってるだろ、合いの手というかアドリブだから歌詞に書かないでしょ、普通」
「そしてFrowじゃないFlowだろ!字が違げえよ」
黒いノート、絶対笑ってる。




