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ゲ製  作者: 刺草
/* ここから開始 */
3/11

// 0-2 裏

一方その頃、的な話です。

「妹よー、お姉ちゃんちょっと出かけるから。戸締りよろー」


姉の間抜けな声で目が覚めてしまった。最悪な目覚めだ。


もう少し寝ていたかったけど、さすがに戸締りせずに寝落ちするのは色々と危険だ。

気合を入れ、のそのそと布団から這い出て、ドアに鍵をかける。


姉とのルームシェアを始めてから1年くらいが経過していた。


半ば脅されつつ始まったルームシェアだったが、今となっては悪くはない。


姉妹ゆえに気を使うこともないし、喧嘩をすることもあるけれど所詮は姉妹喧嘩の範疇だ。


収入面でも、お互いに大差はないので気を使うことはない。



ドアに鍵をかけた流れで、洗面台へと向かう。

姉のせいですっかり目が覚めてしまった。


ちらりとスマホの時計を確認すると10時を示していた。

この時間では、さすがに姉を責めるわけにもいかないか。

そんな考えがよぎったが、かわいい妹の眠りを邪魔した罪は重い。やはり姉は有罪。


大きな鏡が嵌め込まれた、白い陶器製の洗面台に向かい合う。

毛先を青く染めた、ぼさぼさの髪が見える。


顔を水で洗い流し、髪を櫛で丁寧に梳かしていく。


以前、アーティストを気取って髪を青く染めてみたことがあった。

しかし、長らくメンテナンスを放置した結果、今ではプリンを通り越して毛先にのみが青く染まっていた。


ちなみに、髪を染めた際、それを見て茶化してきた姉がなんとなくムカついたので、ピンク色に染めてやった。

姉は即日黒染めを試みたが、完全には染めきれず、日の光に照らすと今でも赤毛のように見える。

ざまあみろ。




一通り髪を梳かし終わったころ、インターホンのチャイムが鳴る。


一瞬、姉が帰ってきたのかと思ったが、どうやら宅配のようだ。


荷物を受け取り、伝票を確認する。

差出人は母、宛名は私だった。


部屋に戻り、箱を開けると、中から出てきたのは見覚えのある古いノートPCだった。






姉にノートPCを受け渡し、その無様な顔を十分楽しんだのち、自室へと戻った。


姉の黒歴史を一緒に見て茶化してやろうかとも思ったけれど、そこはお互い様なのでやめておく。

中学時代のイラストとか持ち出された日には、きっと私は死んでしまう。


...そういえば、今度upするイラストがまだ描きかけだったな。


時間はまだ22時。もう少し進めてから寝るか。


ベッドの上に転がっているタブレットPCとスタイラスペンを手に取り、ペイントソフトを起動する。

スマホで推しの配信アーカイブを垂れ流す。


さぁ描くぞと気合を入れ、ペンを入れようとした瞬間ーー。


姉の部屋から、白い光が漏れだした。

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