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ゲ製  作者: 刺草
/* ここから開始 */
1/11

// 0-1 プロローグ

初投稿です。よろしくお願いします。

異世界転移ものとして読みたい方は1-1から読めば大丈夫です。

今思えば、私の小学生時代は灰色だった。


毎日決まった時間に起こされ、学校に行き、授業を受け、その合間に友人と下らない話をする。


放課後には友人と遊び、夕方のチャイムが鳴ったら家に帰る。親が作ってくれたお夕飯を食べて、歯を磨き、決まった時間に布団に入る。


そうした日常に不満がある訳では無かった。

友人も両親も大好きだったし、一緒に過ごした時間は今でも大切な思い出だ。


それでも、そんな日常は大多数の人間が共通して持っている、ありふれたものだったと、今ではそんな風に考えてしまう。


当時はそんな風に考えてはいなかったはずなので、どこかで捻くれてしまったようだ。まったく、我ながらしょうもないやつだ。


ーーそれはともかく話を戻して。


そんな私の日常に彩りが出始めたのは中学1年の頃だった。


母方の伯父が、もう使わないものだからと、私に型落ちのノートPCを譲ってくれたのだ。


当時我が家には家族共用のデスクトップPCが1台あるのみだったので、自分専用のPCという響きに少し心が躍った。


起動してみたところ、予め伯父がインストールしてくれていたのであろう、いくつかのアプリのショートカットがデスクトップに並んでいた。


メモ帳アプリや表計算ソフトなどの実用的なものがほとんどだったが、その中に1つ、異彩を放つアイコンが目に入った。


頭から銀色のアンテナの生えた、茶トラ猫のような奇妙な生き物が描かれたアイコンにカーソルを合わせると、「こねこゲームエディター」と表示された。


「げーむ、えでぃた?」


ゲームはもちろん知っている。私自身も、いわゆるコンシューマゲームはいくつか持っているし、友人たちと一緒に遊んだこともある。


ただ、当時の私にとって、ゲームといえば専用のゲーム機でしかプレイ出来ないものという認識だったので、PCでゲームがプレイ出来るなんて考えたこともなかった。


まして、ただの素人がゲームを作ることが出来るなんて思いもしなかった。


「こねこゲームエディター」は文字通りゲームを作成する為のアプリケーションだ。

いわゆるツクール系のように、プログラミングの知識やゲーム製作用の素材がなくとも簡単にゲームを作ることができる。


作成されたゲームの多くはフリーゲームとして様々な媒体で公開されており、その数は著名なサイトであれば30000作品にも及ぶ。


と、そんな知識を得たのはそこからだいぶ先のことだったので、当時の私はなんの気なしにそのアイコンをダブルクリックした。してしまった。


そして、まあ、うん。落ちたのだ。

深い、フリゲ沼というやつに。


ーー冷静に考えて欲しい。


コンシューマゲームが1本7000円の現代、中学生がお年玉やらお小遣いやらを貯めて買えるのはせいぜい年間6,7本といったところだろう。


そんな飢えた狼みたいな奴が、無料で手に入る大量の餌の存在を知ってしまったのだ。


結果は日の目を見るより明らかで、私は狂ったようにフリーゲームを消費した。


数時間程度でクリアできる短編から、数十時間は遊べる超大作まで、一中学生として注ぎ込める可処分時間を最大限消費してゲームをプレイした。


朝は5時に起きて、7時過ぎまでゲーム。

朝ごはんを食べたら中学校に行き、休み時間にはスマホで次に遊ぶフリーゲームを見繕う。

部活動が終わったらすぐに家に帰り、お夕飯の時間までゲーム。

さっとシャワーを浴びて、歯磨きを念入りにした後、24時までゲームをして寝る。


そんな生活を1年ほど続け、中学2年生になったころ。

プレイしたフリーゲームが300本を超えた頃、私はふと思った。


「私も、ゲームつくりたい」


そう呟いた瞬間、私の中でなにかが弾けた。


今まで将来のことなんか何一つ考えたことも無かった私の脳裏に、ゲームを作り、公開して、大勢の人達にプレイしてもらって喜ぶ、少し大人びた自分のイメージが浮かんできた。

なんなら札束とかも見えてた気がする。俗物め。


衝動のままに、自室からリビングに向かった私は両親(と、ついでに居合わせた妹)に向かって宣言した。


「私、ゲームで食べていくから!」


そのあとめちゃくちゃ家族会議した。

気に入っていただけましたら、評価をよろしくお願いいたします!

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