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珍な乱入者

「くっそー逃げられたなー」


窓辺から楽しそうに、原付と軽自動車を目で追う楼久。その後ろで怒り心頭な健一が怒鳴った。


「なにが逃げられただ!!あいつら全員合わせて優に200は超えていたはずだ!!お前なら殺せただろう!?」


「なーんだ良いじゃねぇかよ研究者。あのガキとはこういうのじゃなく、1対1で殺し合いてェって思ったんだよ」


へらへらと笑って真面目に話を聞かない楼久。「これだから馬鹿は……!!」と独り言でイライラを吐き出しながら、健一は頭を抑えた。


「とにかく、Sにも伝えようぜ。逃がしちまったってよ」


「全ては貴様の失態だ!!」


「へいへい。責任負うのは慣れてっからよ。俺ってことでいーぜー?」


なんて会話をしていると、崩れた天井からヒョイと小さな影が顔を出した。


「楼久ー!!」


「おー漿しょう嬢。久しぶりだなァ」


黒髪のツインテールの小さな女の子が、満面の笑みを浮かべて楼久に飛びついた。


その勢いのまま回転してから収まると、少女は見上げて話し始める。


「あのね!!ママがね!!戻った方がいいよって!!」


「ちょうど戻ろうとしてたとこだぜぇ。じゃあ、アジト行くかぁ。」


「行くー!!健ちゃんも行こー!!」


「い、言われなくても……」


楼久が少女を抱え、その場を離れていく。健一はとても辛そうな表情で少女を見つめたあと、楼久の後を追って行った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~


「か、帰ろうって!!」


激しい戦いの最中、幼い女の子の声が響き渡った。


それはイヤホンをしている麗音以外が聞き取って、戦いの手を一瞬止めるに至った。


皆が視線を集め、麗音もようやく異変に気がついて目を向けるとそこには、黒髪サイドテールの小さな女の子が立っていた。


「は?こんな小さな子……」


白亜は直感的に『青の会』の一員であると気づいたと同時に、その幼き少女が人殺しをしたのかと疑問を抱いた。


が、間違いなくその少女は能力持ちである。


なぜなら、彼女の後ろには、体の何倍の大きさの肉塊が転がっていたからだ。ついさっきまで生きていたかのように新鮮な肉塊は、血を吐き出しながらゆっくりとしぼんでいった。


「ま、ママが……!!帰ってらっしゃいって……」


「どうでもいい!!ずい!!邪魔しないで!!」


「あぅ……」


ゴスロリ少女に怒鳴られた、髄と呼ばれた幼き少女は気圧される。


今にも泣き出しそうな瞳を、助けを求めるように青仮面に向けた。


「なんスかあの子?」


麗音がその少女の顔を目に移し、通信先の怜音にそう問うと、


『気をつけた方がいい。その子、君達よりも殺した数が上だ』


「マジッスか!?あんなロリが!?」


信じられないと言う様子で叫ぶ麗音。その声にまたもびくりと肩を揺らした少女は遂に泣き始めてしまった。


「……行こう」


少女の泣き声が響く中、小さく呟かれた青仮面の声。その声に反応したゴスロリ少女はその場から姿を消した。


「あ!!逃げられ……!!」


青仮面は少女を抱き上げ、その場から姿を消す。2人とも、なんらかの能力でその場から転移してしまった。


「あー!!逃げるんだよーされましたね!!」


敵を逃した麗音が発狂する。だがそれでも、するべきことは済んだため、この場では勝利となる。


誰も欠けることなく終わった戦いは、不可思議な乱入者によってかき乱されることになったのだった。

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