例えばね、
こんにちは。水無月 宇宙です。
本作品を選んでくださり、ありがとうございます。
この作品を読んでくださる人に、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
「ねえ、もしもさ」
「ん?」
「なあに?」
「…例えば、俺が死にたいって言ったら、どうする?」
「…どうして?」
「何か、あったの?」
「…例えばの、話だよ」
「……話を、聞くかな」
「…僕は、どうしても、死にたいなら…」
「うん」
「…一緒に死ぬかも」
「……死んで、くれるんだ」
「…どうして…?」
「…幸せの形は…人、それぞれだからね…」
「………」
「無理に生きて、って言う権利なんて、ないから。それでも一緒にいたいのなら、それは僕のわがままでしょ。だから、一緒に…死ぬの」
「…お前まで死ぬこと…なくない…?」
「…分かんない。もしかしたら、生きるかもしれない。けど何にしろ、止めることは、できないよ」
「…君は、話をきいて、どうするの?」
「どうするって…?」
「…説得、するの?」
「…どうだろ。お前がさ、死にたい理由ってやつが、はっきりあるなら、それによるけど…。もし、ただ何となく、もう嫌になった、って言うなら…嫌になっちゃった理由を、考えたい。…それから生きたい理由も、考えたい…かな。…結局、説得になっちゃうのかも」
「何で?」
「……まだ、死んでほしくないから」
「ふーん…」
「…権利はないけど、僕だって、死んでほしくないよ」
「…死なないよな…?」
「…………」
「ねえ…?」
「…やだなあ、二人とも。…例えばの話だって、言ったじゃん」
「…ほんと…?」
「…大丈夫、死なないよ。……………ありがとう、二人とも」
最後まで、お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
楽しんでいただけたでしょうか。
もし良ければ、コメント、ブクマ、評価など、していただけると嬉しいです!
誤字等は、見つけ次第教えてくださると幸いです。
3人の考え方は全員違いますが、全部僕の考え方なんです。
本当に大切な話をする時に、「例えばの話」って誤魔化してしまうのも、
死にたいって思ってしまった人を、止める権利がないと思うのも、
それでもやっぱり、生きてほしいと思ってしまうのも。
だから、本作品の登場人物は、全員僕です。
最後に、二人とまだ生きてもいいかな、って思ったのも、全て僕です。
生命って、儚くて、脆くて、苦しくて、でも芯がある。
僕はそう思います。
だから、僕は生命が好きです。
もしかしたら、明日、事故にあって死ぬかもしれない。
けど、今生きているこの瞬間は無駄じゃなかったと、命尽きるときにそう思えたらいいな、と思います。
それではまた、他の作品で会えることを楽しみにしています。