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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

七夕でーと♪

作者: 南條 樹

晴天が続く毎日。今年は梅雨明けの発表が早かった。今は少し暑いけれど、夕方から涼しくなると天気予報で言っていた。今年は受験勉強でお互い忙しいけど、折角の七夕祭りでデートなのだから、雨は降って欲しく無い。それに去年は一緒に浴衣を着れなかったから、今年こそは一緒に着るつもりでいる。

そんな事を思っていたら、部屋のドアをノックする音と共に、真ん中の妹である紅葉が顔を出した。

因みに私は長女だ、紅葉の下にもう一人妹が居るが今は置いておこう。


「お姉ちゃん、氷川先輩来たよ」

「え!? もう?」

「椿、お邪魔するよ」

「じゃあ、私はバイト行ってくるから」

「紅葉ちゃん、わざわざ部屋まで送ってくれて有難う」


迎えに来ると言ってたが、早過ぎじゃないか? それとも、もう約束の時間だった?


「椿、慌て過ぎだって。椿に会いたくて、待ち合わせの時間より早く来ちゃった」

「紗枝……もう、本当に焦ったよ」

「時計見れば分かるのにね。それで無くとも夕方になるには、まだ太陽が上過ぎるよ」

「それもそうだね」


私と紗枝は恋人同士だ。告白してきたのは紗枝の方から。恋愛に疎かった私が告白されるなんて!? しかも、相手は同性で美人ときた。ここで断ったら一生一人なのかなと思ってしまい付き合う事に。今では私の方が紗枝の事が好き過ぎて、会えない日があると物凄く不安になって、寂しさが募ってしまう。


「処で、おばさん達見て無いけど、出掛けてる?」

「うん。お父さんとお母さんは、朝早くから旅行に出掛けたよ。 それと楓は、昨日の夜から友達の家に泊まりに行ってる」

「紅葉ちゃんもバイト行ったし、今は私達二人きりって事?」

「そ、そうだね」

「じゃあ、思いっきりイチャつけるね」

「うん……」


二人きりという状況を認識した途端、私達は抱き合うとキスを何度も繰り返す。


「ちゅっ、ぢゅる、くぴっ、ぬぷぷ」

「んん……ぢゅる、ずちゅ……んん!」


舌を絡め合い互いの唾液を交換したりと、徐々にキスが激しくなっていく。気付けば衣服は乱れ、素肌を晒け出し、意識が飛びそうになりかけた頃、やっと唇が離される。


「はぁ……はぁ……はぁ……」

「つばきぃ……」


上気した頬、少し涙目で上目遣いされたら理性なんて抑えられない! でも、今続きをしちゃうと七夕祭り行けなくなってしまう。


「紗枝、続きは帰って来てからね」

「……うん」


普段はリードしてくれる紗枝だけど、キスをすると途端に甘えてきて、私がリードする形になる。私の前だけ甘えてくれると思うと、そのギャップも含め嬉しいし、もっと好きになる。


「ねぇ椿、浴衣着て? 一番に椿の浴衣姿見たい」

「それなら紗枝も一緒に着よう?」

「私、浴衣持って来て無いよ」

「そう言うと思って、紗枝の分も用意してあるよ」

「……何で用意してあるのよ。ああ、分かった! 椿、浴衣でエッチな妄想して無いよね?」

「……まさか」

「今の間は何かな?」


ニヤニヤしながら迫ってきて、床に押し倒される。


「ち、ちょっと! 紗枝!」

「本当の事を教えてくれたら離してあげる」

「…………エッチな妄想しました」

「やっぱり。 でも、それだけ私の事が好きって事なんだから、彼女としては嬉しいよね」

「ひゃあっ! ちょ、ちょっと! 何処触ってるのよ!」


素直に告白したにも関わらず、紗枝の手は私の太腿を触ってくる。

今、そんな事されたら我慢出来なくなるから!


「キスの続きしよ?」

「だーめ。 今から七夕祭り行くんでしょ? そんな事してたら行けなくなっちゃうよ。 帰って来るまで我慢しよ?」

「そ、そんな……帰って来る頃には紅葉ちゃんも居るでしょ。そしたら出来ないじゃん」

「大丈夫だよ。 紅葉もバイト終わったら友達の家に泊まるって言ってたから、今日この家には私達二人きりだよ」

「そうなんだ! そんな事なら早く言ってよね! じゃあ、早く浴衣に着替えて七夕祭り行こ」





あれから直ぐに浴衣へと着替えた私達は、七夕祭りの会場となる地元の神社へと向かっている。途中擦れ違う人達も七夕祭りへ行った帰りなのか、皆笑顔で何処か嬉しそうだ。


「もう少しで着くのかな?」

「そうだね……あ! 鳥居見えて来たよ」

「本当だー」


そして鳥居を潜り抜け、先ずは本殿へ行き御参りを済ませる。その後は、本日のメインイベントでもある、短冊に願い事を書いて境内中央に設置されている、笹に短冊を括り付ければ目的は達成。


『短冊は此方で配布しています。順番にお並び下さい』


「椿、早く行こ!」

「ちょ、ちょっと待ってよ!」


紗枝に手を引っ張られながら境内を走り列の後ろへと並ぶ。


「紗枝が引っ張るから、着崩れしかけたじゃない」

「ごめん。 ……着崩した椿色っぽいよ」

「な、何、言ってんの!?」

「顔真っ赤だよ」


耳元でそんな風に囁かれたら、顔が真っ赤になるのは当然だよ!互いにじゃれ合いながら待って居たら順番になり、係りの人から短冊を受け取ったら誰かに声を掛けられた。


「お姉ちゃん、浴衣着崩れてるけど何かあった?」

「??? あれ? 紅葉、バイトは?」

「今、バイト中だよ」

「椿先輩、こんにちは」

「伏見さん、こんにちは。 巫女服着てどうしたの?」

「ここはウチの神社でして、私はここで巫女をしてます。 それと今日みたいな祭りの日は人手が足りないので、紅葉にお願いして手伝って貰ってます」

「そうなんだ。 でも、親御さんとかに言っておかなくて大丈夫?」

「それは大丈夫です。 両親からお願いする様に言われてましたから」

「だからバイト中でもあるの。 お姉ちゃん、それより氷川先輩あっちで待ってるみたいだけど大丈夫?」

「大丈夫……じゃなさそうね。 じゃあ、私は行くけどバイト頑張って」

「大丈夫だよ。 それより早く行ってあげて」


紅葉達と別れ、紗枝の元へと急いだ。


「遅くなって、ごめんね。 紅葉がここでバイトしてたらしくて話てたらつい……」

「むぅ。 こんな所で一人待たされるなんて、周りカップルばかりだから一人は寂しかった」

「だから、ごめんってば!」

「帰ったらいっぱい可愛がってよ」

「……それで紗枝の機嫌が直るならいいよ」

「…………じゃあ早く願い事書いて、笹の葉に吊るそう」

「うん」


何故か二人して顔を真っ赤にさせつつ、短冊に願い事を書いて笹に結び付けた。


「願い事は何書いたの?」

「紗枝は?」

「せーので同時に言おう?」

「分かった」

「せーの!」

「「紗枝(椿)とずっと一緒に居られます様に!」」


二人共に同じ願いだった事に笑い合って


「じゃあ、帰ろっか」

「そうだね」

「あ! 屋台覗いていく?」

「行くー!」


二人仲良く手を繋ぎながら帰って行った。

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