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F組三国志  作者: かめ屋吉兵衛
三 河西哲平
9/105

「お~い、哲平、ボールとってくれよ。」

「おう、いくぞ。」


 バスケも久しぶりにやると面白い、まあ体育レベルの球技なら、何をやっても楽しいけどね。

 部活のラグビーは好きだけど厳しくもあるからな…。

 あっ、省吾。


「さすが哲平だな、バスケもうまいじゃん。」

「まあな、そういう省吾もなかなかじゃないか。

 さっきは絶対抜けるって思ったのにさ。」

「はは、たまたまだよ。」

「たまたまね、お前はただのガリ勉かと思っていた。」

「よせやい。」

「手は早いしな。」

「え?」

「秋山のことだよ。」

「ああ、あれは完全に偶然、自分でもびっくりしてる。」

「秋山って知的美人だよな。」

「なんだ、お前も狙ってたのか?」

「当たり前だろ、美人なだけでなく性格も良さそうで。」

「哲平なら女子には不自由しないのだろ。」

「はは、まあ、選ばなければな。」

「このモテモテ野郎が。」

「でも誰でも良いという訳ではない。」

「確かに。」

「どういうきっかけを作ったんだ?」

「きっかけか…、きっかけは向こうからやって来た。」

「ふ~ん。」

「でさ、哲平に頼みが有るのだけど。」

「何だよ。」

「彼女とのきっかけはクラスのことでさ。」

「あっ、学級委員長だったな、彼女。」

「ああ、クラス内のいじめ問題を持ちかけられてね。」

「いじめ?」

「そうか、そういえば哲平って休み時間、あまり教室にいないよな。」

「ああ、中学から仲の良い奴が隣のクラスでさ。」

「まあ、ちょちょいとやってる奴がいるわけよ、F組には。」

「そうか、それは良い気しないな。」

「うん、で、何とかならないかって相談されてね。」

「なるほど、何とかしないと男がすたるってことか?」

「まあ、そんなとこだ、それで頼みがあるのだけど。」

「ああ。」

「グループを作って欲しいんだ。」

「グループ?」

「うん、まだ、F組はバラバラの状態だと思う。

 今は仲良しグループ的なのがあっても小さいが、このままいじめっ子たちがグループを形成し始めると大きくなってしまう可能性が有る。

 でも、今の内にいじめないグループを作っておけば、それを防げる可能性が高まるだけでなく、F組が楽しいクラスになると思ってね。」

「そうか…、そんなこと考えてなかった。」

「哲平なら男女問わず人気が有るだろ。」

「はは、照れるなあ~、でもお前らで、そのグループ作れば済むことじゃないのか?」

「それじゃあ限界が有るし、色々な選択肢があった方が面白い。

 美咲たちのグループと哲平中心のグループとが、競いあったり協力しあったら、クラスが盛り上がると思ってね。」

「う~ん、そうか…、俺の中三の時のクラスは結構まとまっていて楽しかった。

 ここに入学して、少し違和感を感じているが…。」

「何も堅苦しいグループを作る必要はない、俺も協力するから考えてみてくれないか。」

「ああ…、協力…、そうだ、省吾って数学得意だよな。」

「まあ苦手ではない。」

「俺、だめなんだよ、教えてくんない?」

「はは、交換条件ってことか、それぐらいならお安い御用だよ。」

「部活やってるとどうしても時間が足りなくなりそうでさ。」

「そうらしいな。」

「部活の先輩たちは、一浪して上を狙うか、それなりに妥協するかの二者択一だって言ってる。

 でも、妥協するにしてもそれなりのところへ入りたいじゃないか。」

「うん、今回の企みは、その辺も考えているから考えがまとまったら話すよ。」

「分かった。」

「とりあえずは、仲良しグループ作りを考えてみてくれるか?」

「ああ。」

「それでさ、ゲーム感覚で…。」


 へ~、省吾って、もっと付き合いづらい奴かと思ってたけど、面白いことを考えるのだな。

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