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F組三国志  作者: かめ屋吉兵衛
二 秋山美咲
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 はぁ~、やっとお昼休みだ。

 今日は放課の度にみんなから冷やかされて…。

 ふふ、なんか変な感じ。

 でも、これからが大切な本番かな。

 赤澤くん…、ふふ、省吾はどうかしら。


「さ~、岡崎もこっち来いよ。」

「えっ、ぼくは…。」

「遠慮するなよ。

 秋山さ、じゃなくて美咲、岡崎も連れてきたよ。」

「ええ、じゃあ麻里子たちも机移動してさ。」

「了解~、はは、男子も混じるとなんか新鮮ね。」

「でも、彼女持ちと岡崎じゃあな~。」

「ぼく、やっぱり…。」

「まぁ、今日は一緒に食おうや。」


「いっただきま~す。」

「美咲、赤澤くんとのきっかけについて話してくれるのよね。」

「赤澤くんのオムレツがとても美味しくて惚れてしまったのでしょ。」

「確かに美味しかったな、でもね、このクラスでのいじめについて相談に乗って貰ったの。」

「えっ?」

「ぼくは、いじめられている奴なら一人知ってるけど。」

「誰?」

「ぼく。」

「確かに、岡崎ってそうゆうキャラよね。」

「あやかったら普通に呼び捨てだし。」

「私も小学生の頃にいじめられた事があってね。」

「美咲が?」

「うん、私、普通に真面目な子だったから、いじめられている子をかばったりしているうちにさ。」

「そっか。」

「このクラスも、いじめが広がりそうな雰囲気がないとは言えないでしょ。

 この前、先生と話してたら不登校になった先輩がいて、いじめが原因かもって。」

「あ~、私も先輩から聞いた。」

「私は自分のクラスがそんな風になったら嫌だなと思って。」

「そっか、岡崎って、いじめたら楽しそうだと思ったのだけどな。」

「おいおい。」

「奥田さんって怖いんだ、かわいいのに。」

「岡崎、おだてても何もあげないわよ。」

「ははは。」

「それで、赤澤くんに相談したの。」

「ちっ、ちっ、ちっ、そこは省吾にって言わなきゃ。」

「えっ、ま、まだ慣れてなくて…。」

「それと、いちいち真っ赤になるな。」

「う、うん。」

「で、相談された俺は、色々考えた訳だ。」

「どうやったら美咲と親しくなれるかでしょ?」

「もちろん、でも、ついでにいじめのことも考えたのさ。」

「ついでかよ。」

「で、結論は?」

「いじめが広がる前に、いじめないグループを作ろうってこと。

 いじめは、人間の本能に由来する部分があるから簡単にはなくせないと思うんだ。」

「本能?」

「ああ、人が他人より優位に立とうとするのは、生存競争の中で自然なことだと思わないか?

「確かに麻里子は自然だよなぁ~。」

「何よ、あやかだって!」

「奥田さんは、岡崎が言う通りかわいいよ。」

「えっ、そ、そうかな。」

「麻里子は単純だから。」

「ど~せ、あたしゃ…。」

「色んな人がいて、それが集団を形作ってさ、他人の集まりが何時も仲良くなんて有り得ないだろ。

 そんな集団の中でも、学校のクラスなんて閉鎖的な環境だから、クラスの中に逃げ場がないとつらいと思うんだ。」

「逃げ場か…。」

「どうしたの岡崎くん。」

「秋山さん、ぼく時々逃げ出したくなる。」

「はは、なあ岡崎、何時もなら森たちのおもちゃになってる時間じゃないのか?」

「えっ。」

「あの子たちのいじめは見ていて気分が悪くなるのよね。」

「でも、俺も含めて誰も止めようとはして来なかった。」

「だって、岡崎のために自分までやばくなるようなリスク、冒せないもの。」

「だよね~。」

「みんなひど~い。」

「でも、今日はここにいてどうだ?」

「美女に囲まれて楽しい想いをしつつ、ふふ、岡崎くんったら幸せ者じゃない。」

「あっ、だから赤澤くんはぼくを…。」

「と、いうことだ。

 後は岡崎次第だけどな。」

「ぼく次第?」

「ああ、美咲の友達グループと仲良くやっていけるのかどうか。」

「ぼく、話すのあんまり得意じゃないし…。」

「えっ、お前ここで話すつもりでいたの?」

「違うの?」

「話しても良いけど、人の話しを聞くことが大切なのさ。」

「話しを聞く?」

「人間なんて誰しも自分の話しを聞いて貰いたいもの。

 でも自分の話しを聞いてくれる人なんて限られているからね。

 奥田さんだって岡崎にきついこと言ってるけど、根は優しい人だから岡崎がきちんと接したらきっと仲良くなれると思うよ。」

「うん。」

「ねえ、赤澤くん。」

「何?」

「私のこと奥田か麻里子って呼び捨てにしてくんないかな~。

 彼女の友達ってことでさ。」

「わかった、俺のことも省吾とかで良いよ。」

「じゃあぼくも麻里子って。」

「岡崎は絶対だめ!」

「ふふ女王様とお呼びって感じね。」

「はは。」

「ということは、私たちがいじめないグループってこと?」

「うん、谷口さん、そういうつもりだけどどうかな。」

「私は賛成、どうせなら楽しい高校生生活送りたいし、私のこともあやかでお願い。」

「了解。」

「私も由香って呼んで、藤本でも良いけど…。

 とりあえずは、省吾さんと美咲、麻里子、あやかと私、おまけで岡崎ってことね。」

「ぼくはおまけかい。」

「ははは、まあ細かいことは気にするなって。」

「でも私達だけでは…。」

「ふふ、そこはまだ企みがあってね。」

「そっか~、お二人はこんな企みごとを相談しているうちに仲良くなったんだ。」


 まず、私達のグループは何とかなりそう。

 でも、麻里子たち…、由香なんて省吾さんって呼んでる…。

 省吾は私の…。

 う~ん、二人っきりになりたい。

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