表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
F組三国志  作者: かめ屋吉兵衛
一 赤澤省吾
3/105

 秋山さんは教室での真面目そうな雰囲気とは違い、可愛いらしく自分はどんな性格だとか話してくれる。

 好きな人の知らなかった一面を、その本人から最高の笑顔と共に教えて貰うという最高の幸福に浸りながら、こんな時間をこれからも持ちたいと思う。

 それには彼女に好感を持たれなくてはならないし、彼女の為に出来るだけの事をしなくてはならない。

 まずは…。


「あ、あのさ、いじめのことだけど…。」

「うん。」

「今なら…、そうだな、ゲーム感覚で手を打てるというか、手を打ってみたら面白いと思ってね。」

「ゲーム感覚?」

「ああ、簡単に言えばクラスを三つに分けるところから始めてさ。」

「私としては一つにまとめたいのだけど…。」

「いずれはそうするが、統一までの過程という感じで。」

「どういうこと?」

「現時点でクラス運営を放置したら、いじめる側の人が増えると思うんだ。

 全員が楽しい中学生生活を送って来た訳でもなさそうで、いじめられてる子を下手にかばったら自分もいじめの標的になりかねないと考えている。

 みんなの行動とかを思い出して分析してみた結論だけど、どう?」

「そうね、いじめられない様、いじめる側になろうとしているとかも…。」

「それが固定化する前、つまり今、いじめない人達のグループを形成しておこうというのが三つのグループに分ける理由。

 まぁ、三つでなくても良いのだけどね。」

「どんな風に分けるの?」

「まず俺たちのグループ、秋山さん、君がリーダー、奥田さんや谷口さんたち、君と仲の良い人プラス…、岡崎とかも入れてやるかな。

 次は河西哲平をリーダーとするグループ。

 彼は男子の中でも人望が厚いし、彼を見つめる女の子たちの眼差しには妬けるものがある。」

「そうよね、でも私のタイプではないわ。」

「はは、いじめをしないグループが二つあれば良い。

 哲平は話せば分かる奴だと思うから、最初は俺らと哲平の三人だけがこの企みを分かっていれば良いと思う。」

「だったら三人で一つのグループを作っても良いのでは…。」

「選択肢があった方が面白いでしょ。

 俺は絶対秋山派だけどリーダーには哲平を推す奴もいるだろう、クラスを運営して行く上で二つの派閥が競いあったり協力しあったりしたら、面白いと思うんだ。」

「う~ん、そっか…、でも、その秋山派って表現はちょっとな…、赤澤くんがリーダーやってくれたら良いのに。」

「はは、俺には秋山さんのような魅力がないからね。

 まあ、リーダー論というのは小学生時代からの研究テーマでさ。

 自分も地元少年団のリーダーをやっていたのだけど、中二の頃はリーダーをサポートしながら集団を見る様にしていてね、秋山さんを色々な形で支える立場になりたいかな。」

「心強いわ。」

「まあ、研究と言っても大した事ではないのだけどね。」

「ふ~ん、あっ、河西くんのグループにも私たちのグループにも属さない人たちは?」

「派閥がはっきりしてきたらどちらかに所属しようする人も増えるだろうし、森や井原がグループを形成したら、それはそれで面白いかな、彼らも根っからの悪人という訳でもないだろう、グループは固定ではなく状況に応じて変化させて行けば良い、ただ…。」

「ただ?」

「例えば、山影静。」

「あっ、無口よね。」

「そして存在感が希薄だろ。」

「うん、どのグループにも属さないかもね、彼女が何を望んでいるのかも分からないわ。

 今の所、いじめの対象になってる訳ではなさそうだけど。

 でもクラスの一員として溶け込んで欲しいな…。

 あっ、そこの店よ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ