表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
F組三国志  作者: かめ屋吉兵衛
一 赤澤省吾
2/105

 キンコンカンコ~ン♪  キンコンカンコ~ン♪


 うー、だめだ、とてもじゃないが緊張が限界を越してしまいそう。

 片思いの女の子と二人でカフェなんて初めてのこと。

 嬉しさの反面、失敗に対する恐れが高まる、嫌われたくないし勿論好感を持たれたい。

 こんな時は…。

 そうだ、親父が言ってた、こんな時は逃げ道を作っておくのも一つの手なんだ。

 そして、正直にあれ。

 余計な見栄を張るな。

 うん、うん、実行するしかあるまい…。


 教室を出てから特に会話するでもなく少し距離を置いた状態で歩いていた。

 でも目的地は同じで…。

 ちらっ、と彼女に目をやると心ろなしか頬が赤らんでいるような…。

 いつ見ても最高に可愛い。

 落ち着け~、省吾~。


 校門を出てからさりげなく距離を近づけていく。

 まぁ、帰り道が同じ方向の同級生が並んで歩いたところでどうってことないじゃないか。

 どうってこと…。

 どうってことない筈だが心臓の奴は勝手に暴走しまくっている。

 口がうまく動くか自信はなかったが…。


「あ、あのさ。」

「うん。」

「お、俺さ。」

「うん。」

「女の子とね。」

「うん。」

「二人でってさ。」

「うん。」

「全然経験なくってさ。」

「うん。」

「ちょ、ちょっと…、じゃ、じゃなくてかなり、き、緊張してて…、ご、ごめん。」

「うん…、う、ううん。

 私も約束した後、男の子と初めてのデートじゃん、って思ったらドキドキして来て、午後の授業、全然頭に入ってなかったの…。」

「えっ?」

「えっ? って?」

「秋山さんみたいな人が?」

「えっ? 私みたいな人?」

「うん。」

「私のこと、どんな風に…?」

「す、すごくしっかりしてて、俺なんかの前で緊張するなんて…。」

「ベ~、そんなんじゃありませんよ~、も、もう。」

「うん。」

「か、勝手に誤解しないで…。」

「うん。」

「赤澤くんの方こそ…、おごってくれると言うから、こういうことに慣れてる人かと思ったわ。」

「そ、そうか。」

「じゃあ、似た者同士ってことなのね。」

「はは。」


 似た者同士と言われましてもね…、俺は大好きなのですよ、あなたのことが!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ