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PV1100達成しました!
皆様、ありがとうございます!
相変わらず読みづらい文章が続きますが、お付き合いいただけたら嬉しいです。
どうしたら、読みやすい文章になりますかね…(遠い目)
廊下では、逃げるマルーラとT字ほうきをいつの間にか握りしめたメイド見習いが廊下を全力疾走し、その大分後ろをマリーとリディが追いかけている。
途中、マルーラが花瓶の置いてあった台にぶつかった事で花瓶が床に叩きつけられたアクシデントがあるも、直ぐ後ろを走っていたメイド見習いがまるでアイスホッケーの様にT字で端へ叩きつけていた為、マリーが破片を踏むことはなかった。
「よっ…せ……ん?」
たまたま花を摘んできたジェフリーが玄関の扉を開けると、マルーラがするりとその足元を抜ける。
ジェフリーは疑問に思い下を確認したが見つからず、不思議に思いながら顔を上げると
「退いてください!!」
「おおおお!?」
あまりの形相に反射的に飛び退いた。
バァン!とドアへへばりついたジェフリーの側をメイド見習いが駆け抜けていく。
茫然とメイド見習いの行く先を眺めていたところに、ようやっと息切れしたマリーとマリーを心配そうに見つめるリディが到着した。
「はぁっ…は、……はっ」
「マ、マリー様、大丈夫ですか…?一体何があったんです?」
「マルーラ、逃げちゃっ、て、…追いかけてた、の」
「まるーら…?」
ジェフリーは聞きなれない単語に首を傾げたが、先程のメイド見習いはソレを追いかけていたのだろうと推測した。…それにしてもとんでもない顔をしていたので、ジェフリーとしては何をされたのか気になってしょうがないのだが。
ジェフリーがメイド見習いの去っていった方向を指差すと、マリーは頷き、息を整える。
「無理しないで下さいね」
「大丈夫、ちょっと休んだから!」
「ならいいですが…。最近野生のロドリーが飛んできてるので、それも気をつけて下さい」
「野生のロドリー?」
「そうなんですよ、まあアイツがいるんで問題ないと思いますけどね…」
「?」
「クァ?」
かつて見たリディの激情を思い出し、思わず遠い目をしてしまったジェフリーに、揃って首を傾げたマリーとリディ。
そんな中、たたたた、とマルーラを追いかけていたハズのメイド見習いが戻ってきた。
対象を見失ったのか、彼女はほうきを両手で握りしめて息巻いている。
「もうっ!もうっ!」
「なんだ、逃げられたのか?」
「はい!もうっ!後少しだったのに!」
ぶん!とメイド見習いはほうきを振り回すが、ほうきを振り回して何が後少しだったのか。ジェフリーは敢えて言葉を飲み込んだ。
「そっか…、じゃあ一回戻る?」
「…そうしましょう。犯人は必ず現場に戻ってくるそうですし、ソコを叩きます」
ふん!と鼻息荒く歩き出したメイド見習いに、マリーとリディは顔を見合わせ、心配そうに追いかける。
その後ろ姿を見送ったジェフリーは思わず笑ってしまった。
「平和だなぁ」
―――――
「凄い音したけど大丈夫?マルーラは捕まえられた?」
厨房へ戻ったマリー達を迎えたのは料理人見習いの彼だ。
既に料理は終わったのか、良い匂いを漂わせた鍋や下拵えされた素材が綺麗に並べられている。匂いを嗅いだ途端マリーの意識はふわりと夕食に囚われ、リディは涎が止まらない。流石は料理長と料理人見習いである。
くるるる、と腹を鳴らしたリディに笑った料理人見習いは、マリーとリディにお菓子を差し出した。
「…逃げられたわ。でもここに戻ってくると思うの、あんたもいるし」
「…僕がいるからって来るかな…」
「来るでしょ、なんたってストーカーよ。次は絶対逃がさないから…!
………ところで、コレはどうしたワケ?」
メイド見習いがつい、と視線をずらした先には、重い雰囲気を醸し出して机に突っ伏す執事見習いが。
彼はあの後料理長に怒られそうになったが、料理人見習いが慌ててフォローに入った事から事なきを得ていた。しかし、マルーラを捕まえるという一点のみを見ており周りの状況を把握出来なかった事、つまり先輩執事から常々言われている「優雅」な行動が取れなかった自分を悔いているのである。
その様子を見たメイド見習いはため息をついたが、落ち込む執事見習いを不憫に思い、仕方ない、と料理人見習いと共に元気付けることにしたのだった。
落ち込むもの一人、慰めるもの二人、おやつを食べるもの一人と一匹。
十数分程前の喧噪がまるでなかったかの様に穏やかな空間が形成されている中、 ――リディは気づいた。
「?」
「リディどうしたの?キョロキョロして」
「クゥウ?」
仕切りに辺りを見回し始めたリディに、今度はマリーが気づく。見習い3人が話し合ってるその横で、窓に近寄っていくリディと、リディを追いかけるマリー。
つい、と窓の外を見上げれば、そこにはロドリーが飛んでいた。
が、忙しなく羽をバタつかせ、ぐんぐん近づきながらも嘴を開閉しているロドリーに、マリーは違和感を覚える。
マリーの良く知っているロドリーと言えばジェフリーのリディだが、彼女がフラついて飛んでいるところなどマリーは見た事がない。それどころか彼女が鳴いているのも聞いた事は無かった。
そこまで思い返して、はっ、とマリーは気がつく。
ロドリーがフラついてるところも鳴いてるところも見た事がないならば、
――最近野生のロドリーが飛んできてるので、それも気をつけて下さい
それは、別のロドリーだ。
ガッシャァァァン!!!
「クルァ!」
ドンッ
「えっ」
マリーは突然、横から衝撃を受ける。
野生のロドリーが窓ガラスをぶち破って飛び込んできた、その瞬間。リディが調理台から跳ね上がり、マリーを突き飛ばしたのだ。
マリーは体勢を崩しながらも押された方向へ顔を向ける。
驚きに見開かれた青い目と力強い金の瞳が交差し――
ガン ゴン ウオオオオ!
なんだ!?ロドリーが飛び込んできた!きゃあああ!抑えなさいよ!無茶言うなよ!ああああ、暴れないで下拵えしたのにいいい…!
「………クァ?」
「…………。」
ロドリーがリディをすり抜けたのを見なかったことにしたいマリーだった。




