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初依頼

でかいな、それがルールナの街を見た俺の率直な感想だ。

 勿論、王都ほどに発展しているわけではないが、当面の拠点にするには十分な発展具合である。

 綺麗に整理された区画で、商業地区、冒険者地区、居住地区、開墾地区と実にわかりやすい。

 円形の街の中心に商業地区が設置されており、その周囲をぐるりと他の地区が取り囲む形となっている。

 俺が入った門は冒険者地区にあたる場所になるみたいだ。

 行きかう人々も、流石は冒険者地区といったところか、各々が様々な武器や防具を身に着けて通行している。

 中でも、特に人の出入りが激しい建物が目についた。

 周囲の建物比べても、大きく立派なそれは冒険者ギルドと看板が掲げられている。


 俺は、冒険者になるということを選択肢のうちの一つとして考えていたので、さっそく冒険者ギルドに入ることにした。

 「アマツキ、冒険者ギルドへ行きたいんだがいいな?」

 「なんじゃ、お主冒険者になりたかったのか」

 「まだなるとは決めてないがな」

 「よいのじゃ」

 俺たちは、やや重い少し錆びた鉄製の扉を開き冒険ギルドの中へと入る。

 周囲を見回す、初めてきた、お上りさん全開だが仕方ない。

 木製の丸テーブルとイスの組み合わせが、無数に置かれている。

 ここはどうやら、カフェスペースといったところか、食事が提供され、ここで情報交換や即席のパーティーが組まれたりするのだろう。

 左端には掲示板があり、そこに人が集まっている。

 右端は、カウンター兼厨房といったところだな。

 正面奥は、ギルドの職員らしき人物の受付がある。

 俺は、正面奥の受付のうちの一つへと歩を進める。

 

 なんだと!?これは現実なのか?俺のまえに、ものすごい美人がいる。

 形の良い唇、整った輪郭、軽くウェーブした黒髪をもつ身長160cmぐらいの美人だ。

 見とれること数秒、俺は彼女の言葉で現実へと帰還を果たす。

 「あの、大丈夫ですかどうかされましたか?」

 「あ、いや大丈夫です」

 なんだ、まだ胸がドキドキしやがる、まさかこんな美人が存在するとは。

 神様よ!不意にとんでもないサプライズを用意しすぎだろ。

 いや、別に嫌だとかそんなんじゃないけどな!

 

 「あの見慣れない方ですが、もしかして冒険者の登録に来られたのですか?」

 「はい、その通りです!」

  「おい!お主まだ決めてないと!?」

 アマツキから、ごもっともな突っ込みが入るが、知らん。

 俺はこの日、天啓を受けたのだ。ここで冒険者になる!

 

 「アマツキよ、男には即決しないといけない場面があるのだよ」

 「なに、よいセリフを言おうとしておるのじゃ?が全然言えてないのじゃ、そもそも、そのニヤけた面はなんじゃ!」

 いかん、ニヤけていたのか、恰好悪い姿は見せれないからな、気をつけねば。

 俺は何事もなかったかのように受付嬢へと向き直る。

 「本当に登録してもよろしいのですか?」

 「勿論!登録しますよ」

 「もういいのじゃ、勝手にするのじゃ」

 アマツキが呆れた様子で、こちらをジトりと見るが、そんなことは関係ない。

 ここで、登録することは決まっていたのだ。


 俺たちは身分カードを差し出し、冒険者登録を済ませてもらった。

 ここから、冒険者ギルドについての説明が始まるらしい。

 「それでは、アインさんとアマツキさんに冒険者ギルドのご説明をさせていただきます。ネイアです」

 「はい」

 「うむ」

 「まず、冒険者のランクですが、GからSランクに設定されています。登録したばかりの初心者の過半数以上の人はGランクからですので、アインさんたちもGランクからのスタートです」

 「Gランクからのスタートで問題ないが、ランクが上がるとなにが違うのですか?」

 「ご説明いたします。ランクが上がると、受けれる以来の内容が増えます。緊急時の特別な依頼を除いては基本的には、自身のランク以上の依頼を受けることはできませんが、パーティランクというものもありますので、そちらのランクが満たしているなら、自身のランクが依頼の要求ランクを下回っていても受けることができます」

 なるほどね、俺のランクがGでもAランクの人の中に入ればCぐらいは受けれるということだ。

 危ないから、そんなことはしないがな!

 「それと、魔物の討伐系の依頼は、Dランクから受けれますので、それまでは安全のために魔物とは積極的に戦闘しないでくださいね」

 「はい!」

 俺は大きく頷いた。こんな美人に心配そうにいわれたら、頷くしかあるまい!

 隣のアマツキの視線が気になるが気にしてはダメだ。

 「ランクは以来数を一定数クリアしていただけると上げることができますので、必要数は昇格時に、次の必要数を、お伝えします。」

 「Gランクですと主にしていただく依頼は、採取の依頼になりますが、現状受けることができる依頼をみてみますか?」

 「ぜひ、お願いします」

 当然見るに決まっている。どんな依頼があるのかをまず知らねばなるまい。

 受ける受けないは別だ。

 提示された依頼は、2件あったがどちらも簡単そうだな。


①薬草の採取

薬草を10個納品してほしい。

報酬 銅貨3枚

ランク G


②ダリの葉の採取

ダリの葉を100枚納品してほしい

報酬 銅貨2枚

ランク G

 ここで貨幣についての説明だが、この世界に流通しているのは、銅貨と銀貨それに金貨の3枚だけである。

 銅貨100枚で銀貨1枚で銀貨10枚で金貨1枚となっている。


 「今、ギルドで受けていただける依頼は、この2件となっています」

 薬草はわかるが、なんだこのダリの葉というのは、集める数がやたら多い上に薬草より報酬が低いな。

 不思議に思い俺はダリの葉について尋ねることにした。

 「このダリの葉の採取とはなんなんですか?数が多いが報酬は薬草より低いようですが」

 俺の発言を聞き、ネイアさんはそうなんですよねと項垂れる。

 「実は、依頼を受けてくれる人がいなくって困ってるんです。手軽な薬草採取の方がどうしても人気になってしまって、ダリの葉がないと困るお店もでてきますから……」


 結論から言おう、俺はこれからダリの葉を100枚採取しに行く!

 困っている人は、放っておけないからな、ダリの葉はなんでも、デザートの上などに乗せて提供されるらしいが、その独特な味が良い風味になり欠かせないものらしい。


 なんんでも、ネイアさんの行きつけの店も供給量が足りずに嘆いているみたいだ。

 これは非常に由々しき事態である。

 街の人が困っているんだ。ここは俺が一肌脱ごうということだ。なによりネイアさんも依頼を受けてくれる人が少なくて困っている!


 俺はダリの葉採取用に、特大の布袋を借りて門外に佇んでいた。


 「これが記念すべき、初依頼だ気合い入れて行くぞ!」

 「なにが記念すべきじゃ、鼻の下伸ばして依頼を受けたくせに」

 し、失礼なことを言うな、俺は困っている人のために受けたのだ。

 決して邪な気持ちで受けたわけではない!新参者が街の人のために一肌脱ぐそれだけだ。

 あと、結果的にネイアさんにも感謝されてしまう。

 「早速出発だ善は急げ!!」


 こうして俺はルールナの森へと採取に向かったのだ。

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