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入るだけで一苦労

道中、死にかけたり新たな出会いなど色々あったが、俺はルールナの街に3時間ほど前に到着し、門の前にいた。

 なぜ、まだ門の前にいるのかといえば、身分証がなくて入れないからである。

 大変仕事熱心な門番でよろしい!じゃなくて、こういうのって普通、いくらかの通行料払ったり、犯罪歴を調べるマジックアイテムがあるんじゃないのかよ!?いや、なんの普通かはよく知らんけど、そう思うんだから仕方ない。


 門番は大変仕事熱心なようで、いくら交渉しても応じてくれないわけだ。

 「街の安全ため、怪しい人は通せない諦めてください」

 ごもっとも過ぎる領主は安心だろうが、俺は大変困っていた。

 まさか、入れないからと、おめおめ城へ引き返すのかよ!?ありえん!!


 こうして、ルールナの街に入れず、無常にも時が過ぎていく中、俺はある人物を見つけた。

 ブンである、あの野郎!これからどこに行くつもりだ。

 ちょうど、街から出てきたブンを発見した俺たちは、やつを尾けてとっちめることにした。


 ブンを尾けること、およそ30分ブン一団以外は辺りに人はいなくなっていた。

 しかも、やつの護衛の数が一人に減っていやがる。


 俺は、遠距離からやつらに弓を射て護衛の足を射抜き、まず機動力を奪う。

 突然の遠距離からの襲撃に驚くブン一団、だがこの一団の唯一の戦力ともいえる護衛の機動力は奪った。

 アマツキが接近していき有象無象宇の人間を無力化していく。

 護衛が機能しなくなれば、後は容易いもんだった。

 俺はブンに弓を引き、チェックメイトを告げる。

 さっそくブン一団を捕縛し、尋問を開始する。


 「あのときは、散々な目にあわせてくれたな!」

 俺は、ありったけの怒気を込め、ブンを怒鳴りつける。

 ブンは青い顔をして、目を白黒させるのみである。

 「なんとか言ったらどうなんだ?」

 「アイン、話さないならもういいじゃろ、時間の無駄じゃな魔物に食わせてしまうのじゃ」

 アマツキの食わせてしまう発言を聞き、状況を理解したのかようやく口を開くブン。

 どうやら、俺は甘ちゃんだと、侮られていたらしい。

 「す、すまなかった!反省してるから勘弁してくれ!」

 「おまえらは、いつもあんなことをしているのか?」

 「あぁ、そうだ表向きは商人をしているが、裏切ギルドで取引している。ワーウルフの幼体も裏ギルドで緊急の依頼があったんだ、金ならくれてやるから、命だけは見逃してくれ」

 どうやら、この世界には非合法なことや、どんな手を使っても早急に解決した問題は裏ギルドという場所に持ちこまれるらしい。

 ワーウルフも幼体を奪うと、群れが狂暴化するために幼体を攫うことは禁止とされているらしいが、裏ギルドは金さえ積まれればどんな依頼でも受ける。

 そういう非合法組織だが、上の貴族連中も利用することもあるので、よほどのことがない限りは見逃されているというのが現状みたいだ。

 

 そうした話を聞いていると、ブンがある提案をしてきた。

 「兄さんらは、街の外にいたみたいだが、ひょっとするとなんだが街に入れなかったとかか?」

 ブンがおそるおそる、そう問いかけてきた。

 「そうだが、ブンおまえは裏ギルドに所属していると言ってたが、もしかしてなんとか俺たちが入る方法があるのか?」

 もしやと思い、俺はその問いかけに答えることにした。

 「あぁ、その通りだ。兄さんらを街の中に入れてやるから、今回のことはこれで手打ちとしてくれねえか?」

 本当に入れるなら、それでいい、ここで本当に俺はブンを殺すことはきっとできないだろうし、これ以上は持て余す。

 戻る場所があの城しかないなんて、ぞっとする話でもある。

 俺はその提案に乗ることにした。だが、釘はさしておかないといけないだろうな。

 「いいだろう、本当に問題なくは入れたら、これで手打ちにする。だが、また裏切ったら地の果てまで追いかけて殺すからな!」

 本当は殺すことなんかできないくせに、俺は精一杯の虚勢でブンを脅す。

 「わ、わかってるから兄さんそんな恐い顔するなって」

 「なんじゃ、魔物に食べさせないのか、つまらんのじゃ!」

 アマツキも空気を読んで、援護してくれてる。


 ブンが少しだけ待ってくれというので、俺たちは門付近である人物を待っている。

 どれくらい待ったであろうか、ようやく待ち人が来たみたいだ。

 ブンと一緒にフードで顔が隠れた怪しい人物に近寄る。

 ブンがフードの人物となにやら話ているようだ。

 フードの男がなにかを手渡し、街の中へと消えていく。


 「これで、兄さんらは中へ入れまずぜ」

 そう言ってカードを渡してくるブン。

 「なんだこれは?」

 「これは、情報の入ってない身分カードで、これに血を一滴垂らせば、情報が登録され街へ入ることができるってわけだ」

 「なんで、都合よく、空白のカードをもったやつが来るんだよ?」

 本当に都合が良すぎて怪しいので俺はそう尋ねる。

 「そりゃ兄さん、身分がなくて入りたいやつや、身分を明かさずに入りたいやつは案外いるんだぜ、そういうやつら相手に商売するのも裏ギルドだ。俺たちみたいなやつらが、案内して本来なら大金を頂くんだが今回は俺持ちだ。あのフードは定時に回ってる裏ギルドの人間だよ」

 なるほど、そういうことか、どうやら正規の手順を踏まずに街へ入りたい人間は珍しいわけではない。

 しかも、ここは大都市だ。そんな人間相手に裏ギルドの連中が定期的に門の付近で待機してるやつらがいないか見に来ていったってわけだ。


 裏ギルドの連中が、こんなにも幅を利かせている街か、一筋縄ではいきそうにないな、そんなことを考えつつ、俺たちはようやくルールナの街へと入ることができたんだ。

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