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俺のステータスがおかいしいんだが!?

 なんだこれ!?おかしいぞ、なにがおかしいって全部おかしいわ!

 「マッドサイエンティスト!いや、セバスさん、俺のステータス間違って表示されてるんだが?」

 俺は慌てて、マッドサイエンティストこと、セバスに詰め寄りそう問いかけた。

 「なんだマッドサイエンティストとは?まぁいい、間違いではない!それがおまえのステータスだ!正真正銘の凡人だな!」

 なにが嬉しいのか、ニッコリとこちらに微笑むセバス。

 先ほどまでも、テンション高かったが、今やそのテンションは振りきれてやがる。

 「凡人の中の凡人!ここまで見事な凡人は見たことがない、まさに凡人という言葉は貴様の

ためにあったわけだ!」

 「俄然、貴様に興味が出てきた、しかし実に見事な凡人具合だ!」

 段々、凡人、凡人言われて腹が立ってきたので怒気を込めてセバスに問いかける。

 「さっきから、凡人凡人うるさいな!たしかに、他のやつらに比べてステータスが低いみたいだが、どういうことなんだ」

 「いいだろう、凡人にもわかりやすく説明してやろう!まず、過去の例からこの世界に呼び出された勇者は、この世界の人間よりも優遇されたステータスをもって召喚される。」

 「これにも諸説あるが、勇者という職業をもつ者を召喚するため、それに相応しい位階の高い世界から呼び出しているために、この世界の人間よりもステータスが優れた者が呼び出されるというのが私が一番推す説だ!この私が推すのだから真説だ!!」

 なるほどな、つまり勇者召喚されれば、この世界の人間よりも有利な状態で始まるというわけか、それならあいつらのステータスが高すぎるだけで、召喚された俺も高いはずだが……

 「おい!貴様、今勇者召喚されたのだから、自分のステータスも高いとか考えてないだろうな?だが、しかし!残念だが貴様のステータスは凡人だ!」

 

 まるで死刑宣告をするかのように、重々しく、しかし隠しきれない愉悦を込めてセバスが言った。

 

 「なんだと!?勇者召喚で呼び出されたのに、俺が凡人だというのか?」

 「その通りだ!どういうわけだか、貴様は凡人だ!この世界の大半の人間の初期ステータスはだな、おおよそ20前後だと調べがついている!だが、これも前後するし、一つだけ抜けた能力を示している、なんていう場合も多々ある」

 「こんなに、綺麗に整えられた凡人など、聞いたことも見たこともないわ!」

 セバスの高笑いが、どこか遠くのように聞こえていき、目の前が暗くなっていく。

 なんということだ!?俺は異世界に召喚されたのに、極々平凡なステータスしか持ち合わせていないということなのか。

 だが、平凡ではあるが生きていくには問題がなさそうなのは、不幸中の幸いか。

 「セバスさんよ、不本意ではあるが、俺のステータスが、この世界でありふれたものであることは理解したが、この勇者?やら無駄に高い次のレベルアップに必要な経験値や、召喚に紛れた者、特に名前未設定ってなんだよ!」

 本当に名前未設定だけは意味が分からない、なんで俺だけ名前が表記されてないんだよ。

 他のステータスが劣ってるのは百歩譲って、いや一万歩譲っていいとして、名前未設定だけはおかしいだろ?

 「それはだな!おそらくだが……召喚に紛れた者そこだろうな!重大な事実を告げてやろう!!本来なら今回の召喚は大量召喚ではなく、古式の従来型、安定性がある、勇者4人召喚

を行うはずだった」

 「いや違うな、行ったのだが現れたのは5人!つまりそういうことだ!貴様のもつ称号、召喚に紛れた者、本来現れるはずのない人物が呼び出された」

 「——考えられるのは召喚事故だ!なんらかの理由で本来呼ばれるはずのない、貴様が紛れ込んだ!勇者たる資質がないからステータスが低いのか、事故の影響なのかまではわからんが、異常に高い経験値要求に加え名前未設定とはな、ところで貴様自分の名前がわかるのか?」

 自分の名前がわかるかだと?そんなのわかるに決まっているだろ。

 たしか……俺の名前は、あ、あれ、なんだったけ!?

そういえば、さっきもわからなくここにくればわかるはずだったんだろ?

 俺は脳の全ての力を使って自分の名前を思い出す、ただそれだけに集中し全ての力を使ったが、自身の名前を思い出すことができないでいた。

 それどころか、地球にいたころの記憶にまるで靄がかかったかのように思い出せない、両親の名前や友達の名前、好きだった歌手がいたことはわかるが、どんなメロディーだったのかすら思い出せない、電車の乗り方もわかるが、自身がどこに住んでいて、最寄り駅はなんだったのか、そんなことが思い出せない。

 「ちょっと、あなた真っ青よ!」

 先ほどから、こちらの成り行きを見守っていてくれたミュールが、気づけば心配そうに俺の隣にまでやってきていた。

 「やはりな!貴様!分からないのだろう?自身の名すら!」

 わからない、大まかな事柄は思い出せるのに、大事なものが抜け落ちてしまった。

 チグハグなジグソーパズルのような記憶に、俺は混乱していた。

 どうやら俺は、勇者召喚に巻き込まれた影響によって、記憶の欠落に加え、ステータスに異常をきたしてしまったようだ。

 そして、後に分かったことだが、ステータスにはスキルツリーというものがあり、それは得た称号や職業、初期の潜在的な資質によって、各々が体系だっていくつかのグループに分けて表示される。

 その中から、適量のスキルポインを割り当てスキルを取得したり成長させることができる。

 そしてスキルツリーも、また異常な表示がされていた。

 とにかく、スキルツリーに表示される、スキルグループが多いのだ。

 他の勇者連中が5前後のグループの中、俺は20を超えるグループが表示されていたが、そのほとんどが取得不可、取得できるスキルは、いわゆる高位スキルや高レベルスキルなのだが、下位スキルや低レベルスキルを取得できない現状ではあってないようなものであった。

 どうやら、この異世界は俺には優しくはないようだ、

 とんでもない、縛りプレーで俺は生きていくしない、この難易度を凡人にこなせと!てか、俺凡人以下じゃねーか!?俺は前途多難な未来に頭を抱えてしまった。

 俺はこれから一体どうすればいいのか?勇者連中にも気を使わせてしまったのか、まるで腫物を扱うような感じであるが、悪いやつらではないのだろう。

 

 ミュール彼女は面倒見がよい性格なのだろう、自分が行った勇者召喚に巻き込んでしまったことを謝罪してきた。

 そして、望むのならこの国での、衣食住を保証した生活を送れるように、取り計らうと申し出てきた。

 俺は一旦、この申し出を保留させてもらい、今後について考えることにした。

 その後、王様が召喚したのは——魔の王がどうだの過去の勇者の国がどうとか聞こえた気がしたが、その時の俺にはなにも頭に入らなかったし、結局その後も聞くことなんてしなかった。

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