2番
溜まってるのを適当にコピペしてるので、文字数は非常に適当です。
ご了承ください…
「魔力・・・」
「はい、魔力です。・・・やはりあなた様の世界では聞き覚えない言葉なのでしょうか?」
「そんなことはない。概念はある。・・・まぁ、概念があるだけで架空の存在でしかなかったがな」
「架空なのに概念だけは存在するとは…妙な話もあったものですね」
「あぁ・・・俺もおかしいと考えたことがあったが・・・・今は、魔力の説明を求める。そっちを優先しろ」
「お望みとあらば、と、その前に皆さんは下がっておいてください」
各自ぞろぞろと部屋から出ていく。
大魔導師だけはどこか不満そうで言いたいことがありそうだったが、それでもおとなしく従っていた。
この部屋を明るく光らせたのは大魔導師だったので大魔導師がどこかにいったら消えてしまうのではないかと心配したがなんのことはない。
光は大魔導師が去ってもしっかりと維持されていた。
こういう時は、だいたい時間制になっているがこの魔法はどうなのだろうか。
「解説するにあたり、魔力は所有量が人により異なること、魔力が枯渇すると意識を失うこともあると覚えておいてください」
「あぁ」
俺からするとそのくらいならゲームで知ってたが、後半の意識を失うというのは頂けない。
魔力管理とでもいうのか、それをしっかりしておかなければ。
「存在するのは概念のみだそうですが、魔力についてはある程度ご理解されているとして話を勧めてもよろしいでしょうか?」
「構わない」
全部が全部魔力についてわかるとは言えないが、気になったらそのつど話を止めれば問題ない。
「魔力は魔法の使用に必要なのですが、魔法へと変換せずに素の状態で直接扱うこともできます」
「素の状態だと?」
「魔力をそのまま操るのです」
「・・・気のようなものか?」
「き?」
「あぁ、なんでもない」
「そうですか?」
では、と前置きして大賢者は続ける。
「あなた様には魔力を直接操れるようになって頂きます」
「なぜだ?」
「魔法道具は魔力を素の状態で流す必要があるからになります」
このタイミングでこんな話になるということは。
「EXPマップも、その魔法道具だと?」
「お早い理解で助かります」
ゲームの世界で、使うことにより効果を発揮するアイテムや武器があるが、それらもこんな理屈で使われていたのかもしれない。
だったら面白いかもしれない。
考えたことは無かったがあの世界観でどうして、あれらのアイテムたちは特別な効果を持っていたのか。
例えば、マ○マの杖とか賢○の石とか。
「EXPマップにはMPとPOWという二つの欄があります。魔法に関することになるステータスはこの二項目になりますね。MPは自身の残りの魔力、POWは自身の魔力の強さといったところです」
「ふむ」
MPってマジで言ってんのか。
ゲームやってるんじゃないんだぞ・・・。
「さて、前提の知識を最低限知って頂いたところで、今日から実際の使用についてお教えしていきましょう」
「ん?今日から、だと?」
「はい。過去の前例から言って、勇者様達は平均して約1週間ほどあれば魔力操作は可能になるはずです」
「一週間だと?」
「遅くても2週間でしたね。普通ならば1年ほどかけて子供のころに習得するものなのです。大人になってからでは魔力操作はうまくいかないので」
一週間もかかってしまうと俺はめんどうに思ったのだが、なんとこの世界ではそれよりも圧倒的に時間を要するらしい。
前の勇者の前例からしても、俺も魔力操作をそれなりにすぐ覚えられそうだ。
「折角ですので、ここで少し練習しておきましょうか」
「あぁ、頼んだ」
「では、手始めに片手でいいので力を込めてみて下さい。拳は握らず、自然体なままでお願いします」
「これでいいのか?」
指示に従って力を込めた。
(ん・・・・?一瞬だが黒い靄が・・・)
「意識してください。自身の心臓の鼓動を」
(心臓?)
ドクン、ドクン、周期的に脈打っている。
至って正常な鼓動音。
「魔力を扱う訓練は毎日これを繰り返すと効率がよくなり手際よく円滑に行えるようになります。貴方様も毎日欠かさずにやっていけばすぐにでも魔力を操作することが出来るようになるでしょう」
(ステータス確認だけで一週間もとられるゲームがあったら即刻クソゲー認定されて終わりだろうな・・・)
目を閉じた。
もうちょい集中することにした。
今のような雑念を排除しなければならない。
自由になっている左手を胸の中心、より少しだけ左のところに添える。
ドクンッドクンッドクンッドクン――――
次第に鼓動が心地よくなってきた。
ドックンッドックンッドックンッドックンッ――――
深く、深く意識を集中させる。
ドックンッ――ドックンッ――ドックンッ――
次第に世界がゆっくりになったような感覚に見舞われた。
そっと目を開いた。
驚愕の表情の大賢者が視界に飛び込んだ。
もうひとつ目に入ったものがあった。
そのもう一つは――
(以外と才能があったといったところか・・・?)
刹那の出来ごとで勘違いかと思ったのだが、黒い靄はほんとうに見えていたのだろう。
現在俺の右手は黒く、透き通った光で覆われて暗く輝いていた。
(これが魔力か・・・心地いいな)
錯覚の中の心地よさが常時展開されていてくらりときた。
ふわふわ、浮遊しているかのような感覚が、水の中に深く沈みこんだような感覚が、意識を掻っ攫っていこうとする。
それに耐えて、引っ張られる意識を引きずり戻さなければならなかった。
「ぐっ…」
「……信じられませんね。過去に呼ばれたという勇者の中にもこれほどまでの速度で魔力を扱えるようになった方はいなかったでしょう」
「…それは大層なことだな」
たっぷりと間を開けた大賢者は興味深そうにしていた。
「気持ちがよいが気持ちが悪いな」
「初めての魔力だったので酔ったのでしょう」
「酔う?魔力にか?」
「はい、あぁ、心配には及びません。酔いは基本的に魔力を早く扱える人程慣れやすいとされています。ここまで早いならすぐに収まるでしょう。
それに、最初の打ちだけなので、これからは酔いの心配はほぼしなくてもかまいません」
俺はちょっと安心した。
これから俺は戦闘の経験を経て強くなっていくんだろう。
その時に俺はきっとまだ見ぬ魔法達を使う瞬間は訪れることになるはず。
俺がこの世界でどのくらい強いのかはまだ定かではないが、おそらく魔法はそうとうなものだろう。
戦闘の才能がすべて魔法へガンぶりされてて近距離戦ではそうでもなかったらこんな酔いがあったらやりにくくてしょうがない。
ちょっとした隙が作られ、それが決定打に繋がり命を落とすはめになるかもしれない。
俺が多分野で圧倒的だったらこんな心配いらなかったが、そこまで単純な思考はしていない。
もっとも、運動には自信があるから多少はどうにかできる自信はあるのだが。
「酔いがあると思いますが続けさせて頂きます」
「構わない」
というかすでに酔いがなくなってきてる。
「今纏われている魔力を指のみに移してください。こつはご自分でつかみ取ってもらいます」
これは力を指先だけ込めればすぐだった。
右手に宿っていた魔力は指先だけをおおって暗い光を見せつける。
コツも何もなくごく普通にできてしまった。
人差し指に輝く光をみせつけ、どうだといわんばかりの表情で俺は大賢者を一瞥する。
大賢者は小さく微笑をしていた。
「上々ですね。それでは、ここでEXPマップに触れてみてくださいますか」
連中が出て行ったときに、ポケットにしまいこんでいたEXPマップを取り出すと人差し指に触れた。
別段なにか意識したのでもないのに勝手にそれは起こり、白紙だったところに薄らと文字か浮かび始めた。
<ステータス>
―――――――――――――
skill point 0
HP 500/500
MP 502/520
STR 124
DEF 70
DEX 89
POW 99
<魔法/スキル>
・闇魔法
・即死魔法
・邪眼
<二つ名><another name>
勇者or魔王
<過去の名声><past name>
・異世界人
―――――――――――――
(なんだこれは・・・。おかしい、どうなっている。どう見ても『勇者』には見えないが・・・。これはむしろ――)
魔王のようだ。
勇者といえば光だったり聖だったりの魔法とかを使えるイメージがある。
それがどうだ?
俺にあるのは間逆の魔法だった。
闇魔法もアウトなのだが、特に即死魔法。
こいつはどうしてさもありなんと俺のステータスの一覧に居座っているのか。
邪眼はまだチャンスがあるからいいとしてもこの二つはやばいだろう。
こんなのはあっち側、魔王とか魔族とかの所持するべき魔法だ。
二つ名の勇者or魔王というのが皮肉めかしているかのようで笑ってしまいそうだ。
正直笑えない冗談だ。
「どうでしょうか?」
恨めしそうにステータスをにらむ俺に大賢者は声を掛けた。
俺は多少ながらキョドったのだが滞りのないよう会話をつなげる。
「あ、……あぁ、あれだな。俺のステータスだけを見てもよくわからんってのが感想だ。すごいのかも弱いのかもいまいち把握できん」」
「それもそうでしょう」
大賢者はふところに手を伸ばす。
二枚の紙を取り出して渡してきた。
EXPマップかもと思ったがどうも違うと見える。
二枚の紙はEXPマップのようにオンボロだ。
もしかすると、紙は結構貴重なのかもしれない。
日本だって江戸時代は何度も何度も紙を透かして再利用していたそうだし、そのために紙には髪の毛なんかも混じっていたと聞く。
そこまではいかなくとも使いまわされているのだろう。
極端すぎることもないが大量生産は無理ということか。
「これは村や町の住民の平均値、こちらはこの城に努める兵士や騎士、魔法使いなどのステータスを平均した物となっております。
魔法、スキル、二つ名、過去の名声は省略させて頂きます」
「了解だ」
頭をさげて、大賢者は俺に迎い一礼した。
こそばゆいんだが俺は顔を逸らして俺とこの世界の人間のステータスの比較を開始する。
<ステータス>(一般人)
―――――――――――――
HP 200
MP 100
STR 50
DEF 35
DEX 45
POW 10
―――――――――――――
<ステータス>(兵士)
―――――――――――――
HP 700
MP 350
STR 100
DEF 71
DEX 80
POW 65
―――――――――――――
比較対象が欲しい。など、単なる見苦しい言い逃れにしかすぎなかったが魔法なんかそっちのけでまた驚く羽目になる。
まず、日本で平和に暮らしていた俺がこの城の兵士達と遜色ないレベルのステータスなのがわからない。
俺は運動神経はいいと自負しているが、さすがにそれで食っているやつらよりも優れているとまで驕っていない。
っていうことはだ―
(これが俗にいう勇者のチート補正ってことだな)
比較しておいてよかった。
もしかしたら、俺が何も言わなくてもあとで見せてきたかもしれないが、…いや、おそらく見せようとしてきた。
なぜなら、大賢者は俺が比較対象が欲しいと伝える前にこの紙を懐にしまっていた。
俺がどうこういうよりも先に用意されていたということは予定のうちだったのだろう。
はなから俺にこのステータスの比較を行わせたかったのだろうな。
(それにしたところで、お国の為にせっせとトレーニングしてきた努力が平和ボケして安全に暮らしていた異世界人の俺に劣るなんて皮肉なもんだ。
勇者補正も実はそうとうに理不尽なものだな。いや、劣ってるとは言い過ぎか。だいたい俺とこいつらはステータスがほとんど変わらん。
魔法が優れていると言われて錯覚してしまったな。数値には見えない実践においての経験値もあるだろうからな)
ステータスだけがよければいいことではないとしっかりと頭に刻む。
「で?この二つ名ってのはなんだ?」
聞きたい事を聞いた。
二つ名。
そのままの意味合いがあるんだろうけども、これが何を意味するのか。
よくある称号って概念なのかもしれないが、似たようなのが二つあるからさっぱりだった。
過去の名声といわれても困る。
「それは、自身にもっともふさわしい呼び名になりますね。例えば私なら大賢者、ロストライアならば大魔導師などがそれにあたります。
生きていれば幾度も上書きされることとなり、塗り替えられた二つ名は過去の名声として記録されます。
二つ名は特殊なものがあり、なんなら特殊なものばかりと言ってもよいのですが、特別な効果をもたらしてくれるものもあります」
「特殊効果とはどんなものがあるんだ?」
「そうですね・・・いろいろあるのですが、ステータスの強化やEXPマップには記載されない精神の強度などの強化、毒などの状態異常への耐性など様々ですね。注意しなければならないのが、過去の名声になり二つ名から除外されるとその効果は消えてしまうことです。ですが、まれに永久に過去の名声になってもなお効果の持続する二つ名も存在します」
「なるほどな」
俺はとんでもない二つ名『勇者or魔王』を凝視した。
(どんな効果があるのやら・・・)
不安でしかたがない。
最初の二つ名だし、効果がなかったりステータス上昇であってほしいのが本音。
大賢者の言葉からすると、なにかしらの効果があることのほうが多いようだから効果がないってことはないと思うが。
仮にも勇者召喚されてきた人間の最初の二つ名だ。
「ちなみに、自分に不利になる効果もありますので、もしそんな二つ名がついたなら早急に二つ名が変化するような行動を起こすことを推奨します」
こんなこと言われたらさらに不安になる。
勇者って言葉はひどく安心できるが、魔王って言葉が不吉だ。
どんな効果があるのか確認したいところだ。
(きゆうですんだらいいんだがな・・・)
「理解していただけましたでしょうか?」
「問題ないから話を進めろ」
「有難うございます。それでは・・・っと、その前にあなた様の名前をまだ伺ってませんでしたね。宜しければ教えて頂いても?」
「・・・はぁ、畔上キラだ」
「キラですか・・・」
思い出したかのように名前を聞いてきた大賢者は俺の名を知ると俺の名を復唱した。
「チッ・・・・・・。おい、考えてることは察しがつくが、俺の名はキラであってキラーではないいいな?」
昔はこの名前でさんざん弄られた。
挙句の果てには人殺しなんてあだながついたほどだ。
あのときほど名付け親を恨んだことはない。
さも昔のように語ってはいるが、俺もそんなに長く生きてないがな。
小学の低学年のころだったな。
どっかの社会現象になったデスなノートをもった天才と天才の頭脳戦が大きかった。
小学生なんて英単語なんてほとんど知らないだろうに、キラ―だけは一著前に意味を理解しやがった。
まぁ、一年もたてば収まってそんな呼ばれ方することもなくなっていたがな。
こんな一件があったらやはり意識してしまう。
「申し訳ありません」
「はぁ・・・」
「次に移らせてもらいますが、EXPマップの魔法とスキル何か所持しておられましたか?」
来た。
俺は顔がこわばりそうになるのを必死にこらえた。
魔法は伝えたらアウトだ。
多分そう思う。
それを伝えたくはない。
仮にしられて、ほんとうにこれらがやばかったら・・・
ぞっとする。
魔王召喚されたってほうが納得されるこれらをどうするか。
いい案は浮かんでこない。
ばれる可能性ばかり浮かぶ。
どうしてか?
大賢者には他人の心を読む魔法があるじゃないか。
そんなことをされれば隠し事など無意味。
大賢者に心を読む魔法を使わないように誘導しながら自分の魔法を隠し通す。
難易度は至極高い。
無理ゲーまったなしだ。
俺の結論だ。
だいたい大賢者に心を読まないと確約させたとしよう。
だから?
俺は大賢者が魔法を使ったことをまったく察知できなかった。
俺が見破ることが無理なのだから約束は意味をなさない。
それに俺が一番怖いのは、異世界のステータスもの御用達の鑑定のようなスキル。
相手のステータスを除けるのなら一瞬でばれてしまう。
対抗策があればいいが今の俺にはない。
「・・・・魔法もスキルも、・・・ある」
蒼い顔をしているのだろう。
血の気を失う感覚を久々に味わったな。
希望にすがるとしたら、この魔法はこの世界では普通に勇者が持っていたとしてもおかしくない魔法ってことだが。
大賢者が口を開く。
「き、禁書とやらには昔の勇者がどんな魔法を持っていたか書いてなかったのか?」
言葉を発しそうになったので慌てて遮る。
一時しのぎにしかならないのだがかまわない。
そのちょっとの時間でなにかが変わるかもしれない。
質問の方も俺が知りたいことを聞いた。
抜かりはない。
「記憶している分だと光魔法、聖魔法、雷炎魔法などでしょうか。最初の二つはともかく雷炎魔法は魔法の修練をしていれば使えるようにもなるものなのですが、禁書では威力や規模が規格外だったと。
昔の文献からの予測にしかならず確実とは言えませんが、私の雷炎魔法よりも格上になると思われます」
俺の小さな小さな希望は消えた。
勇者の魔法は勇者らしい魔法。
あたりまえで、俺の魔法はやはり異端だ。
さらに大賢者は最低でも雷炎魔法を使えるということ。
私よりも格上、ってことは自分も使えることが前提条件として存在している。
大賢者は魔法が得意で、だからこそ賢者なのだろう。
大魔導師も大賢者と同等に語られると考えると同じ事だろう。