シコシコの竹田
中学に入学した時、一気に世界が開けた気がした。
僕が通うことになった中学には、近隣の5つの小学校から人が集まっていて、知らない人ばかりだった。
入学式を終え、クラスメイト達が集まる。
僕の通ってた小学校からは2人しか同じクラスにならなかったから、ほとんどが知らない顔だ。
先生が来る前に面倒見のいい男子生徒が、男子を集めて自己紹介をしようと言った。
「〇〇小から来た。藤田です。趣味はサッカーで、サッカー部に入ろうと思ってます。」
面倒見のいい藤田は率先して自己紹介をした。
それにならって15人の生徒は1人ずつ挨拶をしていく。
当たり障りのない、退屈な自己紹介が続いた。
さああと1人で僕の番だ、と思った時にやつは現れた。とんでもないギャグと共に。
「〇〇小から来た竹田です。趣味はシコること。シコシコの竹田。略してシコ竹って呼んでくれ!よろシコ。シコ?シコシコシコシコピュッ」
言い終わった竹田はなぜかドヤ顔だった。
何人かの生徒は笑い、ほとんどがポカーンとした。
僕?僕は大爆笑だった。
自分の自己紹介を忘れるほどに。
これが僕と竹田の出会いで、僕の中学生活の始まりだった。