第三幕 「これからが一番大事な時だからがんばりなさい」
あくる日、俺は昨日のことを思い出していた。
昨日のように上手くいくとは限らないと考えていた。
なにせ運が良かったとしか言えないのである。
相手の能力はとても恐ろしかったのであったがゆえにだ。
そんなこんなで自分の弱さに呆れてしまうのだ。
そしていつも通りの朝飯を用意して俺は学校に行くのである――
――放課後、俺は帰路につくまでの間考えていた。これからの俺の生き方を。
どうして泥棒なんかしているんだろうとは思い生活のためだとしかたなくとも思い
そんなことより謎の手紙の主に会うためという理由が俺にはあるのかと考えていた。
頭の中でちらつく謎の手紙の主否お嬢様だ親愛なるお嬢様にいつお会いできるのだろうか
そんなことで頭がいっぱいになる。
家に着いた俺はまたいつも通りに物思いふけるのであった。
そして夜十時俺はふと外に出たくなった。
深夜徘徊とまではいかないがそこそこ遅い時間だ
つまりは暇になったのである
ちょっと裏地の路地を歩いてみる。
そこにはどんよりとした闇があった……なにもかもがどうでもよくなりそうなそんな闇が
しかし俺は今どこにでも行けるそんな気持であった。
そこで近くの河川敷までも行ってみた
明るい街灯もなくまたしても暗いとこである。俺はそこで大の字で寝てみた。
星がとても綺麗に見えた。そんな暗い夜に俺はまた物思いを始める。
花咲ける庭の扉の奥の方に一人居る少女が俺に瞬きをした。
なんとも暗いその闇から見えた一瞬の輝きというものが俺を魅了した。
こんな時間でも俺はやる気に満ち溢れることが出来るようになったのだ。
俺はとりあえず家に帰ることにした。
そして家には新たな便りがすでに来ていたことを俺は知ることになる。
「文明堂の輝きの銀河を盗んできなさい、期限は手紙の受取日から十日以内にご検討を祈っていますわ」
あくる日に俺は準備を始めた。
七月二十日――任務決行日だ俺の二回目の仕事だ。文明堂はこの町で五本指に入る古美術店の一つだ。そんなところから輝きの銀河という宝石を盗み出してこいというのだから依頼主は結構鬼畜な人である。なにせ警備がそんなそこらの美術館とは違う。警備員はつねに一人のところがまず三人であるこれだけでも違うのに監視カメラがわんさかある。
赤外線センサーまである仕組みさ、そんなところからどうやって盗み出すか俺は思惑した。
そして決行日に俺はその考えを実践するわけになる――
――当日二十四時俺は文明堂のトイレにいる、ここなら監視カメラもないので安全だ。
そして事前に監視カメラの位置を確かめていた俺は監視カメラの監視をかいくぐって輝きの銀河がある部屋まで距離を詰めていくのである。
そして部屋まで来たここまでは順調だ。
まだ何も失敗してない後は赤外線センサーを突破するだけだ。まずはセンサーを突破するために俺は事前に買った暗視スコープを装着した。見える見えるぞこれで上手くセンサーに触れない様に輝きの銀河まで行けばいいのである。そして俺は一歩一歩距離を縮めていくのであったそしてついに侵入から約四十分後の二十四時四十分に俺は輝きの銀河の目前まで来たのであった。
はあ~長かったこれでやっと手に入ったわけだ輝きの銀河がさて手に入れたら家で祝杯のカップラーメンでも食べますか~などと考えていて俺は完全に気を抜いていた。最後のトラップにはこの時まだ気づいていなかったのである。
輝きの銀河をケースから取り出した瞬間警報装置が鳴りだした。
「ええーしまったー!」
そんなことを叫んでいる間に警備員が登場してましたとにかく逃げるしかない。
おれは走った。とにかく走った。そして最後の出入り口の扉の前でまたしても邪魔者が現れた。
「ふんっ、逃がさないわよ泥棒さん。この私A級超能力探偵ミサワ・ミライが来たんだから……さあ御縄につきなさい」
「……ここで捕まるわけにはいかない!否が応でも通らしてもらう!!」
「あら……威勢がいいわね、でも無理よ私の力の前にはどんなコソ泥もひれ伏してしまうのよ」
そういってミライは手を上げたそして勢いよく下げた。
俺は何故か地面に伏せていた。何やら見えない力に押し潰されているようだ。
「ぐわあああ!なんだこれは!?何をしたお前!!」
「さあ、何をしたのでしょうかね?動けないでしょ?」
このままでは捕まってしまうどうすれば……
(輝きの銀河の力を使いなさい)
何だ今の声は?頭の中に直接声がしたぞ??とにかく声に従ってみよう。
えーとでもどうやって使うんだ宝石に念じてみればいいのか力……力……力を貸してくれ輝きの銀河よ!
すると輝きの銀河が突然輝き出した辺りを眩い光でおおった。
すると眩しかったのかミライの見えない力は突然無くなったのだ。その隙をついて俺は逃げ出したのだ。
後日報酬がまた宝石で送られてきた今度は二つ一つ三十万相当らしい。
手紙には「無事輝きの銀河を手に入れてありがとうございました。次は都合よく助けられるとは限らないのでそのつもりで、では御機嫌よう」と書いてあった。
あの声は依頼主だったのかやっぱり女の子の声でした可愛らしかったなあさていつ会えるのかその日までが待ち遠しいのである。