ちび蛍
昔々、とても小さな蛍がいました。
仲間のどの蛍よりも小さい彼は、「ちび蛍」と呼ばれていました。
ちび蛍は小さいので、どんなに光っても誰にも相手にしてもらえませんでした。
ちび蛍は、いつもひとりでした。
ある日、ちび蛍は思いました。
「ここを出たら、きっと友達が見つかるかもしれない」
ちび蛍はすぐに、生まれた所から旅立ちました。
ちび蛍はどんどん飛んで行きました。
朝も、昼も、夜も飛び続けました。寂しいけど、友達を探して山を越えて、川を越えて、ずっと遠くまで行きました。
そしてちび蛍は、とある森へやって来ました。
森はとても広く、何だか不思議な感じがしました。それに森は、ちび蛍が見てきたどの森よりも綺麗でした。
「おーい、ボクの友達はいませんかー」
ちび蛍は、森を飛び回りました。
すると、なにか光るものが見えました。
ちび蛍は光るものを蛍しか知りません。大急ぎで光るものの方へ飛んで行きました。
光るものは、蛍ではありませんせした。それは、ちび蛍が今まで見た事のないものでした。
人間の女の子のような姿をしているのに、背は人間よりずっと小さいです。それに、蝶々のような羽が、背中から生えていました。
ちび蛍は、恐る恐る声をかけてみました。
「あなたは、ボクの友達ですか?」
作者は一人です。