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23話 どっきり

 今日こそは張り切って部屋を探す。

 そう決めた俺は片手剣の刀身と体の前面をくまなく影で覆うと、全速力で駆け出した。強化した剣の切れ味と高めた防御力で強引に魔物を切り裂いていく。


 最近では自分の中で一線を引いたので、戦い方一つで考え込むことはしない。魔物は階層ごとに強さが決まっているので警戒するのは階層を変える時、冒険者と戦う時は用心と警戒を怠らない、と例えばこんな感じだ。

 ちょっと適当かもしれんがキッチリ決めすぎるのもよくないと思うし。


 さて新居だが、今のところ見つかっていない。

 何しろ横道脇道裏道ゴチャゴチャ入り混じっていて、一度は、ある脇道を進んでいたら一つ上の階層に戻ってしまった。

 というか階層が一つ変わっただけでかなり複雑化する迷宮で、いつも俺がいる地下一階から地下四階まで降りて来たので、下手すれば魔物の俺ですら迷いそうだ。大体5m歩くごとに地面を削ってあるからたぶん、帰れはすると思うのだが。

 迷子の不安を押しつぶし、小部屋を巡っていく。

 しかし、いい部屋が見つからない。それも狭かったり縦か横に極端に広かったりと訳が分からない部屋ばかり。

 これ迷宮としては必要な場所なんだろうか、と首を捻りつつ前方に目を凝らすと、角を曲がっていく人影が見えた。着ている服からしてどうも冒険者らしい。

 ゆっくり近づいて角を覗き込むと、真っ直ぐ伸びた脇道の全てが見えた。周囲の迷宮と同じく自然にできたように壁がゴツゴツしたそこには、人はおろか魔物の気配すらない。困惑していると、不意に壁の中から妙に聞き取り辛い歓声が聞こえてきた。よほど嬉しいらしく、言葉にならない叫び声が何度も何度も。

 壁をよく観察するとごく僅かに切れ目がある。地面にはほんの少し土くれが零れている。ここから侵入したのだろう。

 切れ目に指を突っ込んでそろそろと開けていくと、落ち着いてきた冒険者たちの声が聞き取れるようになってきた。

 彼ら、どうも小部屋にて何か魔力のある装飾品を手に入れたらしい。売れば金になるだとか、いやいや効果によっては使っていいんじゃね、などと欲望に満ちた生な人間の声である。確かに嬉しいだろうけどさ、こっちも嬉しいわ。

 いやだって冒険者が何人かで入っても狭くなさそうだし、入口は見つかり難いだろうし、獲物はいるし希少な装飾品もあるらしいし。

 え? 何するかって? いつものアレですよアレ。

 ニンマリと笑い、一気に扉を開け放つ。

 冒険者全員が急な物音に反応して笑顔のまま振り返り、そのまま凍りついている。口は笑っているが目にありありと驚愕と恐怖が浮かんでいた。

 うっとおしいので前の方にいた二人を、それぞれ首を裂き頭を割って沈黙させた。

 吹き出る鮮血を目に映し、やっと正気に戻った冒険者が動き出す。だが主戦力の重量系の武器は大きさから小部屋では振り回すことができず、彼らが焦っている間に短剣片手に突撃してきた軽装の青年をあっさり切り殺した。

 怒りと絶望、悲しみの叫び声で他の冒険者が集まる可能性があるので出口を【影の業】で覆い、それから一人ずつ撫で斬りにしていった。


 新居、確保!


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