裏表、境界線の糸口
名無です。
テストおわった。
まったく、NoaFrostとレノンフロスト女王かぶってるっつの
長いし仕方ないから「女王」にしといた
足をけりあげる
まるで夢の中のようにふわふわしている
町中が全部そんなわたあめのような町、レナ雲海
ゲームでプレイしてるときはなんにも感じなかったけど
実際に歩いてみるととても楽しかった
[楽しそうだな]
「うん、楽しいよ?」
[www]
多分苦笑いしてるんだろうなぁ
城下町に並ぶ家々は全てレンガ造りで統一されていて
一見普通の地上のものと変わらないのだがその統一感からか神秘的なものさえ感じた
行きかう人々の耳は少しとがっていてベールのような衣服に身を包んでいた
エルフ、と呼ばれる種族だ。
そしてちょうど目の前、はるか遠く雲が濃くて少し霞むぐらいのところに
聳え立つようにその城はあった。
透き通るような翠を主としていて城下町に負けないほど神秘的だ
私たちが目指すのはあの城にいる女王。
エルフをまとめてきた王でもう何百年もレナ雲海の王座に座っているらしい
私たちはその長生きの知識にすがろう、というわけだ。
「ねぇ、ネアル」
[ん?]
「あんた先に入りなさいよ」
[え?]
「ゲームだから分からないでしょーけどね!実際結構威圧感あるのよ?」
[そ、そうなのか?]
「そうよ!ほら男なら早く!」
ネアルはやれやれ、といったようす。
城下町のど真ん中に建つレノン城は゛大きい゛なんて言葉じゃ表せないぐらいだった
むしろ怖い。威圧感が有りすぎて怖かった。
自分の何倍もあるその門は何重にもなっていて見張りの兵士がたくさん居た。
その兵士達の武器が全て弓なのはレナ雲海のお決まり。
弓使いの故郷はレナ雲海、といわれるほどレナ雲海といえば弓使い。
まぁ兵士達は少し会話をするだけで通してくれるのだが・・・
やはり怖い。
[やぁNeaFairy][やぁNoaFrost]
[今日もご苦労様です][今日もご苦労様です]
[レノン城へようこそ][レノン城へようこそ]
[どうぞごゆっくり][どうぞごゆっくり]
きっちり兵士が二人分のセリフを言う。
思わずぷぷっと笑ってしまった。
扉をくぐって中へと進む。赤いカーペットがそこらじゅうにひいてあり、
雲とはちょっとちがったふんわり感がある。
城内にも兵士、見習い弓使い、料理人、庭師、などなど
さまざまな人があわただしく行き来していた。
その人の波に流されないように必死にネアルについていく
ここまで大きいとはいえ初心者MAPには変わりはない
地図なんてなくても王座までの道は覚えていた
ネアルもそのようで、特に会話することもなくずんずんと進んでいった
上へ、上へと進んだその先一際大きい扉、
そしてたくさんの兵士に囲まれた部屋の前に着いた
「ね・・・ネアル」
[分かってるよ]
ネアルは私の頭をぽんぽん、と撫でる
さっきのこともあり、私がそう言い出すことを予想してたのだろう
王座の間の重い扉をギィィ・・と音を立てて開ける
ネアルは堂々と入っていくが私は恐る恐る
[よくいらっしゃいました]
女王がおだやかな口調でいう
[今日はどのような御用事で?]
わずかに微笑む
何百年も生きているというふうには全く感じられず
人間で言ったら20代ぐらいじゃないだろうか、というぐらいの外見だった
私はごくり、とつばを飲む
この緊張感の中、今回の目的を口にするのは苦労した
やっとのことで
「少し相談事がありまして・・・」
と声を絞り出すことができた
我ながら消え入るような声だったが届いたようだ。
[わかりました、お聞きいたしましょう。私が役に立てればよろしいのですが]
笑みを消さずに会釈する
ネアルはといえば聞いたことのないそのセリフにやはり驚いているようだった
正直穴があれば入りたい。ネアルに説明してもらいたいところだったが
多分私が話さなければ答えはかえってこないだろう。
私は恥ずかしさに頬を赤らめながら今まで起こったことを話した
画面に入ってしまったことからなにもかも。
その画面内のNPCに「画面内に入ってしまったんだ」っていっても
何のことだろう、って思うのかな・・・
が、以外にも返ってきた答えは
[あら、あなたもそうなんですか・・・大変でしたね]
もうお決まり。
無茶振りはもう恒例行事。
ユキさんふぁいと




