3/10
魔王さま、住民票が必要です。
火曜日 9:00
午前1時から並んでいた魔王さまの順番は、5番目だった。
なぜか。
後ろにいたおばあさんやおじいさんに、順番を譲っていたからだ。
「では、世界征服の申請ですね」
私は書類を確認する。
「まず必要書類ですが……」
魔王は腕を組んでうなずく。
「うむ」
「住民票をお願いします」
魔王が止まった。
「……住民票?」
「はい。この市に住所がある証明です」
魔王は眉をひそめる。
「我は魔界の王だ」
「ですが、この市に住んでいないと手続きできません」
魔王は沈黙した。
そのとき——
「どうした」
後ろから声がした。
振り向くと、課長が立っていた。
「課長、この方が世界征服の申請を……」
課長は角の生えた男を見た。
そして落ち着いた声で言う。
「まずは住民票ですね」
魔王
「……」




