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魔王さま、血では登録できません。

水曜日


今日の受付は、侵略計画などの書類もなく平和でした。

この時までは…


「八尾さーん。内線魔界課からです。」


嫌な予感がする。


落ち着いて対応する為に、一呼吸をおく。


「はい。総合受付課の八尾です。」


「お疲れ様です。魔界課のエルです。昨日こちらに起こしいただきました魔王さまについて、居住地の空きございますでしょうか」


「A―3地区3丁目5番地がただ今空き状況ございます。」


かしこまりました。と電話は切れ、ふと使用禁止の電話ボックスを見つめる。


魔界課ー


「印鑑証明とは、我の血で問題ないのか」

「いえ、魔王さまの血で登録は不可能です。」


驚く魔王さまに、ダークエルフは説明する。

「こちらに拇印をお願いします。」


差し出されたのは、小さな朱肉と書類。


魔王さまはそれを見下ろし、眉をひそめた。


「……我の血の方が、よほど効力があるぞ」


「公的書類は朱肉のみ対応しております」


即答だった。


魔王さまはしばらく沈黙し、やがて観念したように指を押し付ける。


ぺた。


「……弱いな」


「規格ですので。あと手数料が300円です。」

「また金がいるのか」


渋々支払い完了後、ダークエルフは淡々と書類を回収した。


「では次に、本人確認書類をお願いいたします。」

「まだあるのか…」


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