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魔王さま、番号札をお取りください

月曜日、午前9時。


市役所の受付カウンターで、私はいつも通り座っていた。


「次の方どうぞー」


書類をめくりながら顔を上げると、そこに立っていたのは——


角の生えた男だった。


黒いマント。

真っ赤な目。

背中には大きな羽。


どう見ても、魔王。


「……あの」


私はとりあえず笑顔を作る。


「番号札はお持ちですか?」


魔王は腕を組んだまま言った。


「我は魔界を統べる者。番号札など——」


「すみません、番号札ないと受付できません」


後ろの機械を指さす。


「そちらで取ってください」


魔王はしばらく固まったあと、渋々機械へ歩いた。


ピッ。


「番号66番でお待ちください」


機械の音声が響く。


魔王が戻ってきて、ぼそっと言った。


「……魔王が待つのか」


私はにっこり微笑む。


「はい。受付は順番ですので」


そのときアナウンスが流れた。


「65番の方〜」


魔王は深くため息をついた。


「人間界……面倒すぎる」


私は書類を整えながら言った。


「あと、受付は17時までです」


「……何?」


「それと土日祝はお休みです」


魔王の赤い目が大きく開いた。


「我は……今日中に世界征服の申請を——」


私は静かにハンコを置いた。


「それ、どの課ですか?」


魔王は固まった。


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