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第32話 理外の公爵令嬢、極北に学び真理を灯す

※第一部『魔法大会編』はこちらからお願いします!

 https://ncode.syosetu.com/n0962lq/1/

 ヴィクトールは完全に固まって、ギリアムに救いを求めるように見つめて、ギリアムはずっと何かを考えていて、困り果てて背後に控えている、仲間の学院生を見て、彼らも硬直して後ずさりしていたものだから、観客席のロッサム教授にも救いを求める様な視線を送ったのだけれど、ロッサム教授、先ほど指摘されたばかりだから、もうぷるぷると震えていて…何か言いたそうね。もう一つの罠、用意しておいてよかったわ。


「精霊論側より、反論はないかの?」

 学院長の念押し。このまま、反論が無ければ私たちの勝利…!

 だけれど。


「フランソワ、君はこれを『オイル』と呼んだね?」

 ギリアムが口を開いたわ。引っかかった…訳じゃない?

「その通りにございますわ」

 そこで、ギリアムが私に向かって、軽くウインクをしたわ。観客席では見えないくらい、小さく。

「ヴィクトール殿、分かったぞ! オイルと言えば、アレだ!」

「そ、そうか!」

 ヴィクトールが水を得た魚みたいに、顔を輝かせたわ。

「こ、これはオリーブオイル、オリーブオイルであろう! オリーブと言えばワインに匹敵する神聖なもの! ワインと同じく、精霊が存在して何ら依存はない! そうであろう、フランソワ!」

 殿、を付ける余裕もないのね。でも、罠なの。これ。

「生憎ですが…」

 机から、瓶を取り出したわ。

「確かにオイルですが、こちらはごく一般的に利用する、キャノーラオイル(菜種油)ですわ。味見されます?」


「ば、馬鹿な馬鹿な! フランソワ、貴様そのオイル、加工したものであろう!」

 ロッサム教授が怒声と共に立ち上がったわ。ち、ちょっと、これは想定外よ。

 その時だったわ。

 バシッ、と、一筋の雷鳴が轟いたの。

 あれは間違いないわ。ビアンカの雷魔法!


「見苦しいわ、ロッサム!」


 皇王の一喝。観客席がしん、と静まり返ったわ。

 ビアンカが立ち上がって、周囲を威圧したの。

 アレフがあちゃー、と言う具合に額に手を当てていたわ。

 …止めないのね。止められないが正解か。


「貴殿は学院生のディベートに一度ならず二度までも口出しをし、尚且つフランソワ殿が提示した証拠にまでケチをつけるのか! それでも魔導真理学部の教授であるか! 恥を知りなさい、ロッサム!」

「ご、誤解にございます、へ、陛下! な、何卒、何卒お許しを…」

「貴様、まさかこれ以上口答えをするつもり?」

「め、滅相もございませぬ、陛下! 陛下の温情に縋るばかりにございます!」

 最後の方はもう、悲鳴に近かったわ。惨め…よね。

「ならいいわ。学院長、最早勝負は決したと思いますが、いかがかしら?」

「ほっほ、この耄碌でも理性は失っていないつもりですぞ。原子論の勝利でありましょう。陪審の皆様はいかが?」

 陪審の判定は半々ね。それぞれ立場と主張があるから、妥当なところね。

 むしろビアンカの意向に沿わない根性を評価したいわ。

「それでは、観客の意向を尋ねますかの。精霊論の勝利と思われるのは拍手を」

 ぱらぱら、と小さな拍手。

「決まりましたな。原子論は?」

 今度は、コロシアムが割れんばかりの、盛大な拍手が迎えてくれたわ。にっ、とビアンカが笑う。


「フランソワ・アリエル・ド・シャルロイド!」

「御意にございます、ビアンカ皇王陛下」

「大儀であったわ! 楽しませて頂きました。後に褒美を取らせましょう」

「恐縮至極に存じます」

 最敬礼した所で、もう一度拍手、それに大歓声。

 はーっ、と長い息を吐いたわ。そして、振り返る。

 エラリーが掲げた右手を、思い切りハイタッチしたわ!

 


 その夜。

 ハーベストムーンの祝祭の中、フランソワらが勝利の祝杯に酩酊しているころ。

 セドリックは一人、墓地を訪れていた。

「おかあさん…?」

 連れてきた息子が、不思議そうな顔をした。

「あなたのお父さんにも、教えてあげないと、って」

 セドリックが、目尻を押さえた。

 今日はもう、泣かされてばかり…私の希望、フランソワのおかげで。

「あなたの主張は正しかった、って…私の自慢の教え子が、証明してくれたの」

 そう言って、息子の髪を優しく撫でた。



第二部・完

第三部 フィヨルド動乱編に続く

お疲れさまでした! 無事に第二部完結です!

そして立て続けに第三部がスタートします。第三部はもうタイトルから不穏、『フィヨルド動乱編』


第三部は本日3月19日の18時30分に連載スタート!

https://ncode.syosetu.com/n6257jg/


果たしてフィヨルドに残ったハンス君はどうなるのか…。

そしてフランソワがどんな『理外』を見せてくれるのか!

ぜひお楽しみくださいませ!


最後のお願いです! ここまで読んでいただけたという事は、結構面白かったんじゃないでしょうか!?(懇願)

ブクマか☆か感想下さい!(直球)


※第一部『魔法大会編』はこちらから

 https://ncode.syosetu.com/n0962lq/1/

※第二部『グランド・ディベート編』(このお話)の冒頭はこちら

 https://ncode.syosetu.com/n4250ls/1/



※この作品は『カクヨム』および『アルファポリス』にも連載しています。

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