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第26話 ガス灯完成! 最後は『お兄様』の力技! これで蛍石を取得できるわ!

 翌日、8月24日。今日も二手に分かれたわ。工場(こうば)の交渉はニコラス、エラリー、バルトロメの三人。私とシオン、それにハンスは馬車を借りて、資材の搬入。それから、灯台の掃除…本気で一日がつぶれたわ。



 8月25日は仕入れた薪をひたすら燃やす作業。木灰を作るのよ。水場が微妙に遠くてね。フェンリル・ベルクとは逆方向に往復1時間。十分な木灰水を作るので終わってしまったわ。

 一方、ニコラスは無事に交渉を終えたらしくて、今日からネジ造りだって。溶かして、型に入れて、固める。らしいのだけれど、結構な重労働らしくてバルトロメが手伝っているらしいわ。エラリー、遊んでないで手伝って。



 8月26日 こっちの準備が終わったから、設計に入ることにしたの。ここで問題発生。というか、気付かなかった私もうっかりしていたのだけれど、真っすぐに10メートル上空に伸ばすにはスペースが足りないのよ。あと、固定する器具も必要だわ。シオンとハンス、エラリーの三人を連れて、再び地下倉庫へ。芯から冷える寒さなのよ、極力避けたいわね、この場所。古い馬具を見つけたわ。鐙に使う、本革のモノよ。螺旋階段には幸いに手すりが着いていたから、これで固定しましょう。あとは曲げをどうするか、なのだけれど…。

「ねじ切り、角度つけましょか?」

 その足でニコラスの板金工場へ。温かいのよ! ずっと火を使っているからね。ニコラスなんて汗だくで半袖だったわ。真夏みたい。季節的にはまだ夏だけど。

 ねじ切りは作り直しね。曲面計算が必要だわ。一日時間を貰う。



 8月27日 同じく地下倉庫で見つけた、ボロボロの六分儀を使って計算。角度、合ってるのかしら…? 若干どころかかなり不安だけれど、他に方法は無いわね。その間、シオン、ハンス、エラリーは鏡面とガラスの内側を掃除。木灰水はたーっぷりあるから、ピカピカにお願いね。

 午後はフェンリル・ベルクでニコラスと打ち合わせ。丁度いい金型が無いわ…。距離をロスしてしまうけれど、工場(こうば)の金型で対処するしかないわね。となると、再計算が必要だわ。ああ、マルタがいればすぐに答えが出せるのに…。そろそろ薬草の仕込みも終わったかしら。それに、決めていなかったけれどマルタとはいつ合流しよう。手紙でも送ろうかしら。今出しても、届くより前にグランド・ディベートが始まる可能性があるけれど。



 8月28日 困ったわ。銃身の長さが足りない。むしろ足りる訳がないわよね。頂上まで10メートル、銃身一つが1メートルなのだから、角度を付けた段階で足りない訳で。行きたくないけど再び地下倉庫へ。…本当に困ったわ、1本しかない。

 再びニコラスと相談。

「プレートメイルの手足の部分、どうやろ?」

 良いアイディアだわ。でも、多分頂点の方を細くしたほうが効率的だと思うから、配置するなら下の方ね。再計算。腕2本分と、追加で見つけた銃身を含めて11本。これで足りるはずだわ。



 8月29日 銃を解体。銃身とそれ以外に分けたの。ニコラスも戻ってきたわ。腕2本の部分、微妙にガバガバしているけれど…。

「お嬢、任せとけ」

 バルトロメがハンマーで叩いて何とかしたわ。不格好だけれど、ねじ切りには入るわね。ちなみに最初はシオンにお願いしたの。シオンの魔法なら、良い感じに『消して』くれるんじゃないか、って…。だけど、すぐに後悔したわ。丸々消えるとは思っていないのよ。もう一往復する羽目になったわ。



 8月30日、ニコラスは残って施工。分解した銃身の結合よ。シオンとハンスとエラリーが補助。流石に男手がもう少し欲しいわね。その前に、合流地点に向かいましょうか。

「フランソワ、会いたかったよ。蛍石は手に入ったかい? 超特急でギルテニアに…」

「お兄様、申し訳ないのだけれど」

 余計な話をしている時間は無いわ。もう本当にギリギリで。

「クジラを一頭、獲ってきてくださらない? あと、男手を5人ほど」



 8月31日、目の下に隈を作ったお兄様が帰ってきたわ。鯨油がたっぷり。後で聞いた話だと、アリアの漁師をとっ捕まえて、鯨油だけ分けてもらったみたい。

 ヨナスと言う士官が笑いを堪えていたのだけれど、何があったのかしら?

 施工は順調よ。流石海賊ね。小兵を中心に、一斉に窓拭き。マストでの動きそのままよ。あ、木灰水はまだ沢山あるから、全部使ってね?



 9月1日 とうとう点火式よ! トラブルもあったけど、全て計算通り。ストーブで鯨油を温めて、灯台室の火口(ひぐち)に点火…したのだけど…。



「…火が弱くない!?」

「変な匂いもする〜」

 流石にふらついたわ。ここまで頑張ったのに、まさか失敗だなんて!

「そんなアホな…! ガス管はちゃんと密閉されてるで!」

 念のため継ぎ目を中心に再検査。漏れたような音はしないわ。

 もう一度火口(ひぐち)を確認。燃えてはいるわ。と言うことはガスはここまで届いている、ということ。

 足りないのは…。

「わかったわ!」

「なんや!? フランソワはん!」

「空気よ!」

「そ、そうか! 今はいうなら『炭火焼きのパタパタ』が足りない状態、ってことやな!」

「それ! どこかに空気口が必要なのだけど…」

「どうみてもここでっしゃろ」

 ニコラスの言う通り、火口(ひぐち)よね。管の途中で穴を開けたら、そこからガス漏れするだけだし。

「手前に穴を開ける?」

「いやいや、仮にも銃身やで。素人じゃ凹み作るのが精一杯や」

「なら、火口(ひぐち)の上?」

「せやな、なんか穴の空いたもんがあれば…」

「あれだわ!」

「なんや、フランソワはん!」

 フェンリル・ベルクへ直行。ちなみに徹夜のお兄様は灯台でダウン。バルトロメが慌ててついてきたわ。首根っこを掴まれたシオンも一緒。一応護衛だったわ、あの子。

 ともかくもダッシュで地下倉庫へ。走ったせいかいつもより寒くは無いわね。

「これよ!」

 古びたチェーンメイルよ。これを上に被せれば…。


 一度火を消して、チェーンメイルを装着。最後はニコラス得意の番線加工よ。お願い、上手くいって…。


 最初はシュー、と言うガスの音。

 そして。


 ボウッ、と、神々しい炎が勢いよく飛び出したわ。

また登山話になりますけど、スノーピーク社とかのガス管あるじゃないですか。あのストーブ部分のやつ(火をつけるところ)ってよく見ると網目になってません?

アレ、空気口らしいっす。今回はそれをチェーンメイルで代用しました。とても鉄〇ダッシュ的。


※第一部、全面改訂行いました。この機会にぜひ!

 https://ncode.syosetu.com/n0962lq/1/

※この作品は『カクヨム』および『アルファポリス』にも連載しています。

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