第25話 鉄〇ダッシュ的思考で乗り切ります。そして戦争の予感…? もしかしてシリアスモード?
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ひとまず、フェンリル・ベルクに戻ることにしたわ。頼れるのはハンスのお父様だけだから、部材の申し入れをしてみたのだけれど…。
「生憎、金子は提供できませぬが」
ハンスに似て、生真面目な方よ。長年辺境伯に仕えているらしいわ。
「辺境伯閣下より、古い武具であれば利用して良いと許可を頂きました」
「ご厚意誠に感謝いたしますわ。ぜひ、拝見させて頂けます?」
ご案内いたします、という事で案内されたのはフェンリル・ベルク要塞の地下倉庫よ。ひんやり…を通り越して寒いわ、氷点下になっていないかしら? ともかく、防寒具を着こんで調査開始。ランタンを幾つか壁にかけて、最低限の光源を確保したわ。
「鉄だけ確保できれば、板金を依頼できるかしら?」
そう思っていたのだけれど。
「お嬢、すまねぇ」
街中に出ていたバルトロメとエラリーが戻ってきたわ。
「板金工、確保できなかった」
「そうなの?」
「なんかね、どの工房もすっごく忙しそうで…。なんでも、大増産の指示があったらしいよ」
「そうなの? 時期的なものかしら?」
「いや、お嬢。板金工が忙しい理由は一つだ。恐らく戦争だな」
「せ、戦争!?」
それはまるで想定していなかったわ。だって、私が生まれて以来…どころか、ミルドガルド大陸全体でもここ五十年ばかし、戦争らしい戦争は起きてないもの!
「ど、どこと戦争するのかしら? ルグ教国(東側)のどこか?」
「それは分からねぇが…どの工房も何十年ぶりの規模と言ってたな。大規模な戦で間違いないぜ」
「大丈夫かしら、私たち?」
「お嬢、戦争ってのはそう簡単に起こるもんじゃねぇぜ。今増産してるってことは、開戦までは猶予がある、ってことだ。第一、危ねぇならセシルの旦那が連れてくるはずねぇだろ」
「そ、そうね…」
だから一週間だったのかしら?
「ヨハンのおじさんがピリピリしてたのも、そのせいかも~」
エラリーの分析には確かに納得だわ。戦争手前の時期に、国交はあるとはいえ、他国の公爵令嬢がふらり、と訪れる…。私でも怪しむわよ!!!
「ほな、余計急がんとあかんのちゃうか?」
ニコラスの言う通りね。
「ハンス、大丈夫よね?」
「うん…予定通り、秋学期には学院に戻る予定…だよ」
「安心したわ…それじゃ、できるだけ加工が少ないようにしないと」
「ほな、これかなぁ」
ニコラスが持ち上げたのは銃身よ。旧式の火縄銃ね。
「筒の所だけ拝借すりゃ、なんとか…あとはねじ切りやな」
「ねじ切り?」
「筒同士をねじで止める方法や。ただ、銃身に合うねじは…作らんとないなぁ」
「作れるの?」
「多少なら知識はあるで。最後は真鍮で固めるんや、多少雑でも問題ないで。なぁ、バルトロメのおっさん、工場だけでも借りれんかな?」
「分からねぇが…」
「それなら、私が交渉してみる。設備が古いのでも大丈夫?」
「ま、やるだけやってみますわ」
「それじゃ、必要そうな部材を確保しましょ」
集めた部材を羅列するわね。
・旧式の火縄銃…10丁
・錆びた鉄の胸当て…2体、これはネジに再加工する用よ。
・緑青が付着して、所々欠けたラッパ…3本、これは真鍮製なの。すき間埋め用ね。
「このくらいでいいかしら?」
「配管部分はそれでいいで。あと、フランソワはん、どうしても必要なやつがあるんや」
「何かしら?」
「ストーブが欲しいんや」
「ストーブ…暖炉? 流石に持っていけないんじゃない?」
暖炉と言えば邸宅に据え付け…だと思っていたのだけれど。
「お嬢、軍用のストーブなら持ち運びできるぜ」
「そうなの?」
困ったわ、軍用品はあまり詳しくないの。武芸は習ったけれど、薙刀術とか馬術とか、伝統的なものばかりなのよね。
「バルトロメのおっさんの言う通りや。使えるもんがあれば、鯨油皿として完璧なんやけど…」
「ニコラス…これは?」
奥の方でハンスが声を上げたわ。ランタンを向ける。
「お、ハンスはんお手柄やで! それや、それ!」
見させてもらったわ。構造としては暖炉と同じだけれど、密閉度が違うわね。ところどころ錆が浮いているけれど、鉄製の四角い箱よ。開閉口があるから、ここに薪とか石炭を入れるのね。天面には煙突があるわ。
「中で薪を燃やして、煙突から煙を出すんや。今回出すのはガスやけどな」
「イメージできたわ、一階にこのストーブを置くのね」
「そういうこっちゃ! で、銃身を三階まで伸ばす、と」
「それじゃ、ネジ切りの加工はニコラスに任せていい?」
「任しとき! エラリーはん、交渉頼むで!」
「はーい。あ、バルトロメさんもお願い」
「俺もか?」
「うん。私らみたいな若いのだけより、強そうなおじさんがいた方が交渉、楽だもん」
たしかに、バルトロメの巨体に睨まれたら頑固な職人も首を縦に振るわね…。
ちなみにこれでホントにガス灯になるのか、私にはわかりません。(無責任)
理論上はなるはず…(AIの演算だと)
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※第二部『グランド・ディベート編』(このお話)の冒頭はこちら
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※不安な方、ご安心を。なんか言ってますけど第二部の完結までは予約済みです。
※この作品は『カクヨム』および『アルファポリス』にも連載しています。




