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『上位生産者を目指す理由・1』

◆◇◆◇◆


 翌日、宿を訪れ隊長と呼ばれる男と話をし、改めて迷宮を共に潜ることで合意した。初めて会った時と印象が変わり過ぎていた。こんなにすんなりと話がまとまったことが不思議でならなかった


 ともあれ、日の光が町を照らす中、テールの迷宮まで移動を始め、入り口を仮拠点にテールの迷宮を攻略することにした


 とはいえ近接5人は流石にバランスが悪いため様子見がてら2人1組で迷宮に入ることにした


◆◇◆◇◆


「よ、よろしくお願いします!」


「はい、こちらこそ」


 軽い挨拶を済ませつつ、テールの地下1階から2階へと下る予定を話しつつ、もうひとつの目的を果たすべく地下1階を散策して早々にそれを見つけた


『姿写し』───世界を基準とした自分の強さ?を可視化してくれる道具。Aに近ければ高い評価、遠ければ低い評価となる


「タイラーさん、自分はこれを

 使うなって隊長から言われてます」


「どうして?」


「分かりません」


「…」


 分かりません───多少なり意図を汲もうとする素振りが全く感じられなかった。いや、質問しても以前の隊長からは何も返事が得られなかったのだろう


 大方、初老の男もまた姿写しを使うことを禁じられていたからだろう。今はそれよりも(くだん)の『魂』がどの様にしてドロップに影響を与えるのかが気になる


 手っ取り早く比較できる指標があることに越したことはない


「これといった害はないですし

 隊長さんには後で僕から話しておきます」


「タイラーさん」


「はい?」


「自分は本当に

 上位生産者になれるのでしょうか…」


「…」


 隊長といい、この若者といい何で昨日今日で出会った他人に質問と答えを期待するのだろうか。理解はできるが肯定しかねる


 なりたいなら志せばいい、誰がそれを咎めるというのだろうか


「それは貴方が決めることですよ

 その一歩がこれです」


「…はい」


◆◇◆◇◆


〜『ハマ・レフト』〜


体力 D

魔力 E

STR C

VIT D

INT E

DEX D

AGI E


〜『成長性C』〜


植物 F

動物 F

鉱物 D

神秘 E

複雑 G


〜『成長性B』〜


◆◇◆◇◆


「これはどうなんでしょうか?」


「…」


 筋力がグレーさんと同じ値だ。グレーさん程強靭ではないものの俊敏が代わりに高い、攻撃面でグレーさんと役割は被ることはないと思う印象


「戦い方は今まで通りで良さそうですが」


 問題はドロップの位置だろう。植物の値がかなり低い、それとは違い鉱物値が高いことを知れたのは良いことなのか


「…」


「?」


 悪いことなのか


 僕の目の前にいる人の目的───もやしを拾わない。それは仕事ではないことを指す。それ即ち何か別の目的があるということ。それとも今でも言いつけを守っているのか


 では『上位生産者を目指す』───隊長さんとこれを約束し、目的としたなら『どうするべき』なのかを彼は考えているのだろうか


 具体性に欠ける。上位生産者とは何なのか


 迷宮を攻略すれば成れるモノなのか?条件は?誰がそれを認める?成ったとしてその後はどうするのか


「もう少し、探索しましょうか」


「はい!」


◆◇◆◇◆


 テールの地下1階、沈黙が苦ではないため、淡々と戦闘をを続ける


 素人目に見て、彼の剣は『素直』だと感じた。モンスターとの戦闘において再現性が高いことは『魂』の観測にもってこいであり、戦闘も安定する


 懸念点は『植物の値』が極端に低いことだが僕はこれを気にはしない。現在の稼ぎは眠りスライムで事足りている───なら、何が1番の問題なのか


「…ダメだ」


 レフトさんのモチベーションである


「こんな量のもやしじゃ」


 空気ではないものがドロップした。しかし、それは見るからに少ないものだった───大皿に5本と並べられたもやしは質素を通り越した散々たる絵面だった


 位置の値の絶対的な概念の残酷さを知ることになった


◆◇◆◇◆


 変わらないドロップに疲れが見え始めたレフトさんの変わりに周囲を警戒しつつ休憩を促す


「隊長に合わせる顔がない」


 落ち込むレフトさんの何気なく溢した言葉が気になり、話しかけてしまった


「隊長さんのことを慕ってるんですね」


 俯くレフトさんが肩で反応を示し、疲れた笑顔を見せてきた


「はい」


 レフトさんは言葉を続ける


「最後まで自分を見捨てないでいてくれた

 人なんです」


「見捨てなかった?」


「見ての通り、自分のドロップはこんなんです

 だから誰もパーティなんか組んでくれず

 途方に暮れていた時に救ってくれたのが

 隊長だったんです」


「…」


「剣と食事を与えてくれた人

 だからここで強くなって

 恩返しをするんです」


『上位生産者になる』───これは隊長さんへの恩返しの手段だったことが分かった。なら彼が目指すべきは『植物』ではなく『鉱物』


「レフトさん、鉱物が手に入る迷宮に

 入ったことはありますか?」


「…隊長が許してくれません」


 この世界では大きく分けて5つの迷宮があることが位置からでも読み取れる『植物』『動物』『鉱物』『神秘』『複雑』


 言葉の意味からも最低でも3つの種類は試せる筈だと思うが、どういった意図があるのだろうか?諸々を隊長さんと潜る際は聞いてみることにしよう


「機会があれば一緒に潜りませんか?」


「!い、いいんですか?

 でも…」


「隊長さんには僕から話をしてみます」


「ほ、本当ですか!」


「はい」


 次回の探索の約束を交わし、地上に戻った

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